釣りビジョン

2015.2.15号

長福丸・千葉県大原港
千葉県・御宿沖のオニカサゴ、しゃぶしゃぶ&“ひれ酒”が絶品!

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狙えば周年釣ることが出来るが、寒ければ寒いほど釣りたくなる魚がいる。しゃぶしゃぶが絶品のオニカサゴだ。そしてもうひとつ、寒い季節に釣りたくなる理由が、“ひれ酒”である。実は、この“ひれ酒”のためにどんなに寒くてもオニカサゴ釣りに行くという釣り人も多い。そんなオニカサゴを釣りに、千葉県・大原港の『長福丸』を訪れた。

人気の理由は、やっぱり食べたいから!?

平日でも多くの釣り人が訪れる『長福丸』のオニカサゴ船。それほどまで人気なのは、やっぱり「オニカサゴを食べたいから」だろう。ところが、この日の予報は「南西の強風に加え、激しい雨」だったため、日曜日にもかかわらず釣り人は3人と少なかった。しかし、予報に反し雨も降っておらず風も弱い。午前5時。まだ真っ暗闇の中、出船した。港を出ても外房では珍しいほどのナギだった。

受け付けは船宿で行う。駐車場はその隣にある
釣り座の番号札を取り、乗船名簿に記入して受け付けをする
車のカギは指定の場所にかけておこう

宿の中は広々
コーヒーやお茶のサービスもあるので、出船までゆったりくつろげる
宿から船着場までは歩いてすぐ。釣り物を確認してから乗船しよう

餌のサバは自ら釣る。そのサバも“本命”のひとつ

1時間ほど走って最初のポイントに到着。まずはここで餌となるサバをフラッシャーサビキで釣る。水深は180~190mだったが、タナは船長が魚探の反応を見ながら「50mから下に出ています」などと指示してくれるので、その付近を狙うことが重要だ。
「フラッシャーで釣るサバは、あくまでもオニカサゴの餌で、5、6匹釣れたらオニカサゴを狙いに行くという船宿が多いのですが、ウチはサバも“本命”のひとつ。他の船宿さんとはポイントも変えていますし、釣る時間も長く取っています。この時期のサバは脂が乗っていてとても美味しいんです。マサバはもちろんですが、ゴマサバも大型は脂がたっぷりです」と話すのは藤井大祐若船長。
そんな“寒サバ”が次々と上がって来る。中・大型はすぐさまクーラーボックスへ。そして小型を餌にする。2、3回仕掛けを投入しただけで、餌にもお土産にも十分な数を釣ることができた。ここで、後半海が悪くなると予想した船長は、早めにサバ釣りを切り上げる。オニカサゴのポイントである御宿沖へと船を向けた。

仕掛けやオモリは船上でも購入可能。オニカサゴの仕掛けは特注で、ホタバリを使っている
船で用意してくれる電動リールの電源はバッテリー
『長福丸』では、サバも“本命”のひとつ。“寒サバ”は脂が乗っておいしいので、中・大型はクーラーボックスに入れ、小型を餌にする

サバを捌いてオニカサゴの餌を作る

仕掛け図
移動中、釣り人は釣ったサバを捌き始める。オニカサゴの餌を作っておくのだ。サバは頭を落として3枚におろし、身を削いで皮の部分を薄くする。それを幅3、4cmの縦長に切る。短く切る必要はない。長いほうがアピール力が強いからだ。また、サバを捌く時は、くれぐれも船縁や座席などに包丁の刃を当てないようにしよう。船にはまな板が用意されているのでそれを使うか、船を傷付けないようにタオルなどを下に敷いてさばくようにしたい。さらに、キッチンバサミなど大きめのハサミでも捌けるので、慣れない人はハサミを使うことをおすすめする。

移動中に餌を作っておこう。餌は中心線上に刺す。ズレて刺すと回転してハリスがヨレてしまう
船にも塩漬けしたサバ餌の用意はあるが、自ら釣った新鮮なサバのほうが喰いはいいと言われる
アピールグッズのタコベイトは有効だが、サメや餌取りが多いときは外そう

置き竿厳禁!手持ち竿でマメに底ダチを取ろう

空には美しい虹が架かり、何かとても良いことが起こりそうな予感がする。この日のポイントの水深は100~120m。船宿によっては200mほどまで攻めることもあるが、『長福丸』では、浅めの100~150mの水深を狙うことが多いという。この水深なら初心者にも釣りやすい。
船長の合図で仕掛けを投入。ポイントは海底の起伏が激しいので、置き竿ではたちまち根掛かりしてしまう。マメな底ダチ取りとタナ取りが根掛かり回避の有効な手段だ。また同時に、これが誘いにもなる。タナは“オモリトントン”の状態から少し高め。潮の流れにもよるが、基本は1mぐらいだ。
「置き竿が一番ダメですね。オモリが200号もあるので手持ち竿は大変かもしれませんが、オニカサゴを釣るためと思って是非頑張って下さい。もし誘いを掛けるのであれば、時々竿先を大きく持ち上げてから下げるようにするだけでOKです」と船長。
オニカサゴは海底の根や岩礁などに身を寄せて獲物を狙っている。とくに、上から落ちてくるものによく反応すると言われる。竿先を大きく持ち上げて餌をアピールさせ、ヒラヒラと落とし込んで喰わせるというわけだ。マメに底ダチを取るミヨシ(船首)の釣り人にアタリ。見事に“本命”である。そして次もミヨシの釣り人。なんと2連チャンだ。さらにはミヨシ2番目の釣り人には良型メダイやカンコ(ウッカリカサゴ)がヒット。その他、沖メバル(ウスメバル)などいろんな魚が顔を出した。これだけアタリがあると釣っていて楽しい。

ハッキリとした大きな虹が架かった。何かいいことが起こりそうな予感!
オニカサゴの釣り場の水深は100~120m
手持ち竿でマメに底ダチとタナを取ることが重要。根掛かり防止になり、そして誘いにもなる

強い引きを見せて上がって来たのはメダイ。とても美味しい魚だ
1.5kgもある大型カンコ(ウッカリカサゴ)も登場した
沖メバル(ウスメバル)は煮付けなどで大変美味

船長に教えてもらった通りに釣ると本命!

ここで私も竿を出した。サバ釣りは行わなかったため、餌は船に用意されている塩漬けのサバを使った。また、「オニカサゴは餌をアピールすることが重要なので、タコベイトは必須です」という船長のアドバイスを受け、ハリにタコベイトを短冊状に切って付けた。アピールグッズとしては、タコベイトの他に水中ランプや夜光玉なども有効になることがあるという。ただ、サメや“餌取り”が多いなど状況によっては逆効果となることもある。その時々の様子を見て対応しよう。
船長のアドバイス通りに手持ち竿でマメに底ダチとタナを取り、時折大きく竿を上下させて誘いをかけた。すると、なんと1投目でいきなりゴゴン!とアタリ。巻き上げ途中にも時折ゴンゴン、ゴンゴンと強い引き込みがある。“本命”だ。上がったのは1kgクラスの良型。あまりにも出来過ぎの展開に釣った本人がビックリ。この魚は船長のアドバイスをそのまま実践することでヒットした。初心者もわからないことがあればどんどん船長に聞いて、その通りに釣れば“本命”キャッチの可能性は十分にあるということだ。

船長が教えてくれた釣り方を実践したら一発でヒット。ドラグは引きがあったら出るぐらいに調整しておこう
オニカサゴは海底に身を寄せて、この大きな口で獲物に襲いかかってひと飲みにする
この背鰭の棘が大変危険。刺されたらその瞬間から猛烈な痛みに襲われる。くれぐれも注意!!

トップ“本命”3匹も“ゲスト”多彩でお土産バッチリ!

その後、予報通り南西風が強まり海上は大シケになり、少しだけ早く切り上げて帰港となったが、終了間際に胴の間(中央)の釣り人が“本命”を釣り上げ、終わってみれば1kgクラスのオニカサゴがトップ3匹、船中5匹。釣れる時はトップで7、8匹というが、良型が多いので1匹あれば家族3、4人で食べるには十分である。
“ゲスト”には1.5kgのカンコ、メダイ、ユメカサゴ、オキメバル、そして脂たっぷりの“寒サバ”多数と、多彩な魚が顔を出しお土産はバッチリ。それでも「これでも少ないほう」と船長。
最後に、クーラーボックスにオニカサゴを入れるときは、必ず背鰭の棘をハサミで切り落としておこう。そのまま入れてしまうと、調理時クーラーボックスから魚を取り出す際にうっかり棘に触れてしまい痛い目に遭うことも。ぷっくりと腫れ上がり、猛烈な痛みに襲われることになる。くれぐれも注意!!
この時期のオニカサゴといえば、とにかくしゃぶしゃぶが絶品。肝と一緒に食べる霜降りの刺し身も最高だ。そして極めつけは“ひれ酒”である。『長福丸』では、暫くの間はオニカサゴ船を出船させるとのこと。まだまだ寒い日が続く。オニカサゴ料理で身も心もぽっかぽかに温まろう。

2匹目も良型
なんと3匹目!
桶はオニカサゴで一杯だ。クーラーボックスに入れる際は、必ず棘をハサミで切っておこう

最後についに“本命”!諦めないことが大切だ
「手持ち竿で頑張って釣ってください」と藤井大祐船長
大型で清潔な「第二長福丸」

(釣りビジョンAPC・滝 徹也)

今回利用した釣り船
千葉県大原港『長福丸』
〒298-0004 千葉県いすみ市大原9823
TEL:0470-62-0603
詳細情報(釣りビジョン)
長福丸ホームページ
出船データ
オニカサゴ予約乗合
料金:氷付き1万2,000円
集合時間:4時30分
出船時間:5時00分 沖上がり:11時00分
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