浅八丸・神奈川県平塚港
2016.4.22号
伝統のビシ釣りで快調! 相模湾二宮沖のアジ
いまやマグロやルアー船など多彩なジャンルがひしめく相模湾だが、伝統のターゲットといえば130号のアンドンビシを使ったアジだ。もっか名場所・二宮沖では、乗っ込み前の大中型が深場で活発に食っている。同沖をメインエリアにする神奈川県平塚港『浅八丸』のアジ船担当・塚野仁船長から、春の好釣術を入手。
もっか深場の根周りでグッドサイズを連釣中
「乗っ込み前ですから、狙っているのが深場の90~100mライン。その根周りや魚礁周りの群れは小さくても22~23cm、大きくて40cm前後とサイズもばっちりです。釣り甲斐ありますヨ~。現在の水温は17度前後。例年より1度くらい高く、その影響かどうか分からないですが、トップはいい日だと40~50匹、悪い日でも20匹ちょっとと、このサイズなら納得できる釣果が続いています。ビシアジには、今が一番いい時ですねえ」と塚野船長。これで水温が上昇していけば、大半の群れが移動するので浅場を狙うようになり、小型も多く交じりだすようになる。
もっかの相模湾は潮が少しおかしいらしい。春潮は濁っているのが特徴だが、二宮沖では日替わりでスカーンと澄んでしまうことも。また、速くなったり遅くなったりも著しい。それでも『浅八丸』が好釣果を続けているのは、状況に応じた釣りをしっかりとやっているから。その現在のベストパターンを船長が解説してくれた。
手返し優先、3本バリより2本バリ
相模湾の昔ながらのビシ釣りは、130号のオモリが定番。流行のLT(ライトタックル=40~50号)よりだいぶ重いが、100m前後の深場で落下速度を考えたり、潮の速さに対応するには、そのくらいの重さが適しているためだ。ちなみに、東京湾口の浦賀水道周辺=観音崎沖なども、同じ理由でいまだにビシは重い。ビシアジ用の竿は現在、いろいろな調子のものが出ているが、船長のお勧めは昔ながらの硬め。「要はコマセワークをしっかりできること。ビシの中のイワシミンチが出てくれないとアジは寄りませんから」という。浅場ならある程度軟らかくてもビシへの力の伝わりはあまり影響ないが、深場でビシが130号ということを考慮すると、竿を振っても、弾力でその力を吸収してしまっては、意味はないという意見だ。
もうひとつ、特筆すべきはハリの数。船宿特製仕掛けは2本バリ仕様と3本バリ仕様があるが、断然2本バリを勧めると船長。「やはり数釣りでは手返しが重要なんです。エサの付け替え、魚のハリ外しなどを考えると、3本バリを3投しているうちに2本バリは4投できる。小アジは別として3匹はなかなか掛からないから、両方とも2匹掛かるとして、6匹 対8匹。やはり、海中のポイントに何回仕掛けを入れられるかは大事です」とのことだ。
きっちり指示ダナでコマセワークを
釣り方で重要なのはタナ取り。コマセを使う釣りは一にも二にも泳層=タナの探知だ。相模湾では泳層が上ずることがよくあるので、船長の指示ダナをよく聞いておくことが大切。 「現在は90~100mの根や魚礁が狙い。結構、起伏が激しいから、指示ダナは底から5mが基本で、高くて8m前後まで。根掛かりが危険なので、着底後はすぐ5m、タナを切るようにしてもらっています」と船長。よく定番釣法でハリス長の半分くらい下からコマセを振り上げてくる方法があるが、現在のポイントでは向いていない。ただし、状況次第では船長が指示を出す。
5mきっちりビシを上げたら、そこで竿を振ってコマセを出し、竿を水平にして待ちに入る。アタらなければまたコマセを振って待つ。大体、このコマセ振りを3回やってビシが空になるのが理想。時間にすると1分くらいで仕掛けを回収する。このインターバルを繰り返す。竿は手持ちでもロッドキーパーに置き竿でもいいが、どちらかというと、手持ちが船長のお勧め。
「ビシ釣りにも前アタリがあって、コンッとか小さい変化が出るんです。手持ちザオだったら、ここで少し聞き上げるとコココンッというハリ掛かりしたアタリが出ますが、聞き上げるのでバレにくい上アゴに掛かる率が高いんですよ。こういうちょっとしたテクニックが、面白さでもあります」とのこと。なお、もうひとつのテクニック、1匹目がヒットした後の追い食いも、あまり長い時間待たないほうがよさそう。深くて長い距離を巻き上げてくるので、あまり1匹目を遊ばせておくと、ハリ穴が広がって巻き上げ中のバラシにつながる。 「今は1匹、1匹、大事にとったほうがいいと思います。とにかく、ビギナーの方にはしっかりレクチャーしますから、気軽にチャレンジしにきてください」と船長。『浅八丸』のビシアジ船は7月ごろまでがシーズンだ。