新明丸・神奈川県鶴見
2016.5.8号
お手軽納涼釣りなら東京湾奥部の半夜メバル&カサゴ!
東京湾には不快指数が上がる初夏から秋口にかけて、涼しい夜釣りの乗合船を出す船宿がある。最近は数が減ってきたが、その伝統を守っているひとつが横浜市・鶴見の『新明丸』だ。風物詩のアナゴにも出船しているが、今回はよりお手軽な横浜沖を狙う夜メバル&カサゴを、担当船長の高橋英夫船長がレクチャーしてくれた。
油断大敵、“尺”クラスの大型もチャンス!
東京湾奥部の船宿がアナゴと並んで、昔から出船させていたのが半夜メバル船。以前はかなり多くの船宿が出船させていたが、最近では減少気味。『新明丸』は数少ない出船船宿のひとつだ。湾奥部の半夜釣り船は日中の暑さを避ける意味もあるが、日本独特の「納涼」というカテゴリーを踏襲している一面もある。とかく日本の夏は花火、盆踊りなど夜の催しが好き。その延長上に、ちょいと楽しむ半夜釣りがあるというわけだ。特に半夜メバル船は比較的難易度が低いので、釣りファンはもとよりビギナークラスの女性や子供でも楽しめる、お気軽な乗合船になっている。さらに『新明丸』は、鶴見駅からすぐ近く、釣り場も横浜沖一帯と近いので、より手軽に訪れやすい船宿といえよう。
「最近はメバルのほか、カサゴも人気になってきたので両魚狙いになっています。それぞれ少し狙い方が違いますが、ちょっとした基本を守ってくれれば、両方ともバッチリ釣れます。特に際狙いでは最近、“尺”(30.3cm)近い大型メバルが出始めましたし、カサゴもポツリポツリと定期的に同クラスが掛かるので、油断はできませんヨ」と高橋船長。釣果的には2月の開始後、絶好調時でトップが60匹台の日(両魚交じり)もあったが、平均するとトップ20~40匹台。それでも3時間足らずの短い釣りだから、この数字でも十分、忙し過ぎて満喫度はばっちり。狙う水深も浅くて6~10m、深くても13~14mと非常に釣りやすいのが魅力だ。
暗いので細い道糸はトラブルの元
仕掛けは日中のメバル、カサゴ釣りと同様の胴突き2本バリ(好みで3本も可)。メバルは目がいいので日中釣りは細いハリスを使うが、夜は警戒心が若干薄れるので太めでOK。もとより根にベッタリのカサゴも狙うので、幹糸2号×枝ス1.5号が手ごろ。船宿に特製仕掛けがあり、ビギナーはそれを購入するのがベストだと思う。餌は日中のメバルは藻エビを使うが、夜の定番は青イソメ。1匹チョン掛けが基本だが、あまり長いと食い込みが甘くハリ掛かりしないので、長過ぎる場合は10cmほどにカットする。ちなみに、シロギス釣りのような垂らしが2~3cmと短いのはダメ。ほぼ食いつかない。
なお、船長は「メバルはともかく、カサゴには色々な餌を使う人がいます。最近は夜釣りでもその傾向が。サバ切り身や、サケの皮など身餌を持ってくる常連がいて、一方のハリに青イソメ、他方に魚の切り身餌などと、臨機応変に使い分けて“好釣”している人がいます。余裕があれば試してみるのも面白いでしょう」と言う。
もうひとつ、道糸の号数。最近は浅場の船小物釣りはPE1号以下が主流だが、夜釣りに限っては暗いので細いと見えず、仕掛けを巻き込んでしまったりトラブルが多い。この場合、道糸部に大きい中通し玉ウキのオレンジや黄色を介しておくと、仕掛け部のサルカンで玉ウキが浮き上がって、巻き込みを防いでくれる。または、太い道糸を少し巻いておく。1.5~2号を購入して、50mほども巻いておけば、この釣りには十分。終わったらほどいて、スプールなどに巻いて保管しておけばいい。
根掛かりを恐れずタイトに狙おう
狙うのは主に港湾周りのカケ上がり。ゴロタ石などが交じってかなり傾斜がある場所を狙う。両魚の狙い方には多少の違いがあり、根に沿って群れが立ち上がるメバルはオモリを底からわずかに上げ、仕掛けを立てて縦の釣り。根にベッタリのカサゴは仕掛けを若干たるませて這わせ気味にし、餌を底付近に見せる釣り(図参照)。
「どちらも根掛かりに注意することが第一ですが、逆に根掛かりを恐れていては、この釣りはうまくいきません。ですから、仕掛けを入れっぱなしにせず、小まめに底ダチを取り直す。つまり着底しているオモリを、頻繁(10秒以内)に20~30cm上げ下げすることが大事です。これは餌が踊って誘いにもなりますから。重要な操作です。ただし、あくまでソフトに操作して下さい。派手にガチャガチャすると、魚は警戒して食ってきません」と船長。なお、カサゴの這わせは特に注意が必要で、下手に道糸を張ってオモリを引きずるようにすると根にかんでしまうので、思い切って1度たるませること。そこからスーッと一気に道糸を張っていけば、オモリはかみにくい。ハリが掛かったくらいなら、あおれば外れるが、オモリがかんでしまうと、なかなか外れずに苦労する。いずれにせよ、予備の仕掛けは十分に持参するのが得策といえる。
アタリは軟調子竿のこともあるので、明確にゴンゴンゴンと出る。メバルの場合は道糸を張ったまま少し待って、食い込みの本アタリを待とう。カサゴは、特にたるませで狙っている時は、アタって食い込んだら、すぐ竿をあおって根から離すのも大事。その分、追い食いはないが、バラシの軽減につながる。
「食ってくるパターンは様々なので、狙い方、誘い方、餌など臨機応変にやって下さい。それプラス、短い釣りなので手返しが重要。オマツリを延々ほどいているより、スパッと新仕掛けに替えてしまう方が、タイムロスが少なく釣り時間も長くなりますヨ」と船長。さらに楽しく釣るなら、出船前にハサミや替え仕掛けなど必要品を釣り座周りにセットしておくと、よりスムーズで快適な釣りができるというわけだ。
釣り場の横浜沖の夜景は素晴らしい。『新明丸』の半夜メバル&カサゴ船は10月最終土、日曜日までのロングランだから、ぜひとも1度チャレンジを。