釣り船 魚英・兵庫県播磨灘明石港
2016.5.8号
水温が高く好調なスタート!兵庫県・明石海峡のタイカブラ
明石海峡のタイカブラで釣るマダイが、今年は水温の関係から例年より早くシーズン・イン。釣れ出しから現在まで好調をキープしており、GW以降のズバリ狙い目。兵庫県・明石港からタイカブラの釣りに出船している『釣り船 魚英』の魚谷直毅船長に聞いた―。
マダイの群れが明石海峡に入ってきた
明石沖のタイカブラのマダイ釣りは、例年なら4月中旬(早い年は上旬)から釣れ始めるが、今年は水温が高かったためか、3月の末から釣果が上がりだした。明石海峡のマダイは、冬場は水温が下がるため、多くは南の水温が高い海域へと移動する。ところが今冬は高い水温が続いていたため、いわゆる“居残り組”が例年に比べて多く、そこへ南から入ってくるマダイも加わって、カブラのマダイ釣りは好調なスタートを切った。
船長によると、「例年より水温が1、2度ぐらいは高いかな。今で(4月15日)13度ぐらいはある。4月から始まった漁師の“吾智網(ごちあみ)漁”でも、“桜ダイ”が数獲れているから、タイの群れが明石の方に入って来てるのは確かやな。今のところはこの時期のレギュラーサイズ、30cm前後の“ミドル級”が多いんやけど、中に50cmクラスのええタイも交じってる。これからもっと大群がガバーッと入ってきて、本州側に接岸してきたら、60、70cmの大ダイも狙えるようになるよ。毎年、GW前後から乗っ込みものが上がり出すんよ。その頃は腹もパンパンなのが釣れる。もうすぐやな(笑)」。
気合を入れ直してブランドの“明石ダイ”を狙う
明石沖のタイカブラのマダイ釣りはファンが多く、これまで小豆島方面へ“タイサビキ”の釣りに行っていた釣り人も、気合を入れ直して明石のブランドマダイを狙う。タイカブラの釣りは着底したら素早く巻き上げ動作に移り、超スローで巻き続けるのが鉄則。明石海峡は潮が速いため、2ノット(秒速約1m)以上の速い潮を釣ることもあり、モタモタしていると即、根掛かりして高価なカブラをロストすることになる。リールのドラグは緩めの設定でいい。等速で巻いているとマダイがカブラを突きに来る。このとき慌ててビックリ合わせをしないよう、心を落ち着かせて完全にフッキングするまで巻き続けて釣り上げる。「シャクリは特に必要ないけど、アタリがないときは巻くスピードを変えてみたりするとアタってくることもある。タナは船頭が言うので、自分勝手に探らないで指示を守って釣り続けてもらえばええ結果が得られると思うよ」と船長。
アイロンの先端のような下アゴをした明石のタイ
「明石のタイは、よそのタイと顔が違う」と船長。「下あごがアイロンの先端のようにぺったんこのタイが多いんや」と言う。人間でいう下唇に当たる部分も「ぷっくりと白くセクシーなのが普通やけど、明石のタイは黒っぽいものが多い」。また、目の上のブルーのアイシャドーも強く鮮やかで、背ビレあたりまでブルーがかっている個体もある。これらは海底の甲殻類などを餌にしている証拠ではないかと船長は言う。
したがって、カブラ釣りもタイがシラスやイカナゴを捕食しているときは底から20、30mほど浮いているので広範囲を探るが、今年はイカナゴが少ないこともあり、まず、底から5mぐらいのところを重点的に攻めてみるのがよい。明石のマダイ釣りは、徳島県鳴門や岡山~播磨周辺のマダイ釣りのように、底から上層までカブラを巻き上げているとロスが多いので、着底したらマダイに見切られないよう素早く巻き上げ、アピールして食わせることが重要だ。
エギングロッドでもOK、リールはスピニングが流行
タイカブラの釣りは、通常ベイトタックルを使用するが、リールはスピニングリールでもOK。最近はキャストしやすくカブラがスムースにフォールするスピニングリールを使用する釣りが流行っている。明石ではかなり以前からキャステイングして斜め引きすると、直下の釣りより長くアピールするので効果的だとして、シマノのスピニングなら2500~4000番程度が使用されてきた。道糸はPE0.8号を200m巻いておけばOK。リーダーはフロロカーボンの3号程度を3m。あまり長くない方が底を取りやすい。
ロッドは穂先がしなやかな2m前後(6~7ft)の専用ロッドがベストだが、エギングロッドでもやれないことはない。ただ、グリップエンドが短いものだと、大ダイがヒットしたとき巻き上げに少々苦労するかもしれない。ロッドをセレクトするとき注意しなければならないのは、穂先が硬いと巻き上げ時にアタリが出ても弾いてしまうので、ロッドパワーよりしなやかさ優先でセレクトすること。
カブラにボリューム感を出すのも有効
タイカブラはオモリの部分は鉛、タングステンがあるが、『魚英』で使用しているのは基本15号60g。潮が速いときでも18号80gまで。マダイが捕食しているベイトにもよるのだが、アタリがよくある時なら45g程度の小さなものが食いがよく、カブラのカラーは定番のオレンジ、ピンク、赤、金、鉛色など数種類用意しておいた方がよい。
カブラに付けるネクタイの色、長さ、形状もマダイが捕食している餌によって当たり外れがあるので数種類用意しておこう。この時期はカーリーなどでボリューム感を出すのも有効だ。また、タコやイカを捕食しているような時は、頭を大きく見せるようなカブラが有効だったりする。ちょっとした差で食いに差が出ることが多いので、周囲の釣り人がどんなカブラ、ネクタイを使用しているかよく観察しておくことも大切だ。