つる丸・千葉県大原港
2016.5.22号
大原沖マダイ乗っ込み本番、一つテンヤで大型絶好
一つテンヤマダイの発祥地として知られる千葉県外房、大原沖一帯がいよいよ乗っ込みの本番を迎えた。これから水深が徐々に浅くなりながら、ドカンドカンと大ダイが浮上。一発大物指向のベテランマダイファンには見過ごせない時期の到来だ。そこで大原港『つる丸』の岩瀬正尚船長から、もっかの現状とアドバイスをレポート。
5月中旬からグーンと水温が上昇し状況好転!
「5月初旬過ぎからグーンと水温が3℃ほど上がって、ようやく乗っ込み体制に入ってきました。一度また冷たい潮が入りましたが、13日にまた上がって18.3℃。これでもう大丈夫でしょう。暖冬とは言われていましたが、ずっと13℃くらいから上がらなかったんですよ。乗っ込みが遅れたのもそのせいです。これから取り戻しましょう!」と船長も明るい。
例年だと早いと3月末には乗っ込みの兆候が出だし、遅くても4月の末くらいには乗っ込みの序盤戦が始まる年が多いのを考えると、今季はだいぶ遅れてしまったようだ。ポイントは大原沖から岩船沖にかけてで、もっかの水深は40~70mと、まさに乗っ込みレンジ。7月に入ると急に浅くなって10~20mほどの中ダイ期に入るが、それまではこのラインで5kg前後からそれ以上の大型と対決できるというわけだ。最近は各地でダラダラ乗っ込みの兆候が多く、今一つ盛り上がりがないマダイシーンだが、大原沖だけは5月に入ってからはっきり乗っ込み魚といえるサイズが連発し始めたので頼もしいかぎり。狙うならまさに今、といえよう。
臨機応変にテンヤorタイラバ
『つる丸』では現在、一応の主力は一つテンヤ釣法だが、もちろんタイラバもOK。逆に深場では結構強い味方になりつつあるようだ。船長自身が開拓精神に富んでおり、現在はマイクロフリップなどを試しているほど。ファンもできればテンヤ、タイラバの二刀流で臨機応変にチャレンジするのが得策と言えよう。その意味で、タックル&仕掛けにも船長が熟慮した末のパターンがある。「一つテンヤは潮の抵抗が少ないカブラのタイプがいいですね。サイズは8~15号。そしてタイラバは60gが定番。これは、一つテンヤ専用ロッドをタイラバに流用した場合、アクションをかける場合など、操作性で一番バランスがいい重さなんですヨ」とのことだ。なおタイラバのスカート類については、ネクタイなどがゴテゴテと付いていればいいというわけではない。スカート2~3本がひらひらしているだけでも食ってくる場合があるし、またゴテゴテ盛りだくさんでヒットすることもある。 「まあ、一長一短、いろいろ試してほしいですが、深場を狙っている現在の傾向としては、あまりゴテゴテは潮に乗ってしまって、扱いづらいですよ」という。
なお、同じ理由で、一つテンヤのエビの付け方も船長の一家言があり。「うちは親バリを尾の下側に抜きます(図参照)。親バリを殻側の上に抜く方法もありますが、殻を破ってしまうので、抵抗が増して頭部の殻がめくれちゃったりと、エビの原型を崩してしまうことが多いみたいで、深場にはあまり向いていない気がしますねえ」と船長が解説してくれた。もうひとつ、仕掛け各部のカラーも重要項目だが、これはセオリー通りがよく、潮が澄んでいるときはグリーンやブルーなどナチュラル系、濁っているときはレッドや蛍光系などアピール系が実績あり。色の組み合わせ(タイラバのオモリとネクタイなど)はそれこそ千差万別でこれといったものはなく、各個人で試し、オリジナリティーを発揮していくしかないだろう。
乗っ込み魚は着底直後に食ってくる!
「乗っ込み中は、実は根のない所を狙うんですよ。浅場のいい場所へ移動中なわけですから。それに水深が深いことに加え、潮がある程度行かないと乗っ込みは食わない。底ダチを取ることが大前提の釣りですから、これらが結構なハードルになる。特にビギナーさんは頑張ってください」。根のない所、つまり砂地や砂泥は潮がよどむ所、いわゆる仕掛けが落ち着く所も少ない。それに水深40~70mの深さ、潮の速さを考慮すると、底ダチを取る難易度は高くなる。
それになのに、乗っ込みの魚はほぼ、着底直後に食ってくるという。つまり、浮きもせず、底から餌を待ち構える状態だ。だから、仕掛けの落とし込み時に神経を集中し、着底時を見過ごさないことが重要。特に一つテンヤは当たったら、深場のラインスラックも念頭に入れて、すかさず、しっかりとアワセを入れることが大切だ。
もうひとつ大切なことは、最初に当たらなければ、同じ場所を何度もやったところで当たらない。つまりいないということ。定番の手順としては、着底後、当たらなければ竿を持ち上げてテンヤを50~60㎝浮かせ、また落とし込んで着底させるのを繰り返すが、現状ではこのシャクリはせいぜい2~3回。その後はすぐ巻き上げて回収し、新たな場所へ仕掛けを投入していこう。タイラバも着底後、スローリトリーブで巻き上げるが、せいぜい20m上層まで。それでアタリがなければ、回収して新しいポイントへ投入だ。
とにかく乗っ込み魚、特に大型魚は群れてはおらず、ぽつりぽつりといることが多い。それを探して仕掛けを投げまくるというのが、ビッグワンへの道と言えよう。この状態が続くのは7月過ぎまでの、あと1ヶ月ちょっと。気合を入れて、名場所・大原沖の大ダイに挑戦してほしい。