庄治郎丸・神奈川県平塚港
2016.5.22号
相模湾で灼熱のファイター・シイラ開幕!
夏の相模湾と言えば、最近はマグロなどルアー船が大盛況。中でもルアー乗合の元祖ともいわれる“万力”シイラが、先陣を切っていよいよ開幕だ。老舗の平塚港『庄治郎丸』では、すでに5月19日に仕立で初出船し、22日から予約乗合を開始。そこでシイラ担当の世古勇次郎船長に、回遊状況やテクニックを聞いてみた。
水温が20℃台に突入すれば本番か
「もっか第2陣待ちですかね~。5月初めに入ってきた第1陣は落ち着いちゃいました。ひと荒れしたり、水況がちょっと変われば食い気が出ると思いますが。とはいえ水温は19℃台まで来ていて、20℃を超えて夏っぽくなって来れば、第2陣以降が続々と湾内に入ってくると思います。6月からが本番でしょうか」と話すのは世古船長。19日の仕立船では沖ノ山や初島沖など主力ポイントを探る一日。高活性の証しである跳ねは見られなかったものの、いくらかの魚影は水面に確認できた。
もともとシイラは黒潮の寄りによって相模湾内に入ってくるのが定例で、総じて6月から本格化することが多い。13℃台など低水温で推移していた相模湾は5月初旬にピョコンと上昇して18℃になったあと、徐々に上がって中旬には19℃台。順当にいけば6月には船長がベストと言う20~25℃に入ってくるはず。黒潮も蛇行しながらも徐々に寄ってきており、船長の予想はビンゴになる可能性が高そうだ。
「ルアーシイラ船は1人や2人で行っても活性が上がらず、うまくいかないんですヨ。大勢でルアーをバンバン繰り出せば、シイラもベイトが多いと思って興奮してくる。そうなれば船のトップにいるアングラーのみならず、胴の間やトモでも竿満月の好ファイトが味わえるんです。だからこの釣り、チームワークは大事です。ビギナーの方には丁寧にレクチャーしますから、乗り合わせたお客さんは一帯になって楽しみましょうネ」と船長。『庄治郎丸』はシイラ用のレンタルタックルもあるから、果敢にチャレンジしてみてほしい。異名の“万力”とはケタ違いのパワーという意味。一度シイラフィッシングを味わうと、病みつきになること請け合いだ。
ルアーバリエーションで多様な状況に対応
ロッド&リールはシイラ用の専用品がメーカーから出ているので迷わないが、気になるの、は多数のメーカーから出ているルアーの選び方。ペンシルベイト、ポッパーなどトッププラグをメーンにして、水面直下を探るミノー、ジャークベイトくらいまでは必需品。これにパヤオなど縦のストラクチャーを狙うジグやジグミノー系を持っていれば、大体は対処可能と言える。「ルアーは同じ種類でも物によってデザインや特性が違いますから、一概に言えません。トップ、水面下など大まかなカテゴリーを網羅しておけば、あとは好みで集めればいいです」。
カラーは晴天、クリア潮ならフォログラム、クロームなど光物ベースで、バックが黒、緑、青などベイトフィッシュに合わせたナチュラル系。曇天や雨、潮色が悪い時はラメボディーやパールベースにピンク、チャートなど派手系からが実績ありだ。なお、この釣りのお約束がフック。キャスティングゲームなので、人に刺さる危険がゼロとは言えないので、ハリはすべてバーブレスか、カエシを潰して使用することが決まりだ。
その一環として、身の周りの装備もしっかりと。偏光グラスは水面の魚発見にも役立つが、飛んでくるルアーから目を保護する意味もあり、同じ意味でサンバイザー、キャップも必要だ。また、取り込んだシイラはとにかく暴れることが多く、フック外しは手では超危険。必ずプライヤー類を使おう。もうひとつ、炎天下の釣りになることが多いので、日焼け対策も忘れずに。
生命線はトッププラグ
シイラは躍動感あふれる魚体で海面上へ飛んだり跳ねたりする魚。もちろん回遊魚でフィッシュイーター。だから釣り方もそれに準じたものになる。基本はシイラの跳ね、ベイトの小魚が集まっている証しの鳥山、シイラが居付きやすい流木などを見つけてキャストだが、ほとんどの場合は、まずはトッププラグのファストリトリーブで探ることが多い。「理由として、シイラは活性が高ければ高いほど水面付近にいることが多いのが一つ。だからまず、トップで様子を見る。食ってくれればみんなでトップを使って、どんどん興奮させてヒットさせる。もう一つの理由は、海面で掛けたほうがファイトが面白いからです。シイラ独特の大ジャンプや、魚体が見えながらの横走りは、本当に爽快です」とのこと。真夏の炎天下、ピョンピョン跳ねるシイラや流れ藻周りなどに魚影を見つけたらしめたもの。直行してトッププラグを投げればダブル、トリプルの連続ヒットに繋がるのだ。
活性が低い時でもまずはトップで探るが、ダメならミノーやジャークベイトに切り替えるのも一手。それでもダメな時はパヤオなど人工漁礁へ行って、水面下をミノーやジャークベイトでやったり、ジグ系でより深いレンジを狙ったりと臨機応変。「ただ、そういう状況のときは、かなり苦しい時が多いです」。やはりシイラゲームはできるなら、好天日を選んで海面で勝負するのが一番の近道と言えそうだ。
「実戦でやっちゃいっけないことを一つ。トッププラグやミノーで勝負になっているときに、ジグは駄目。シイラが沈んでしまって、他の乗船者に迷惑をかけちゃいます。何度も言うように、みんなが楽しい釣りをするには、チームワークが大事なんです」とのことだ。ルアーシイラ船は大海原を終日走り回って魚を探していく釣りで、実際に釣りをしている時間はそんなに多くなく、クルージング状態のときも多いので、夏の日差しを浴びたり、遠望できる陸地や島を眺めたりと、意外とまったり気分の釣りだ。ぜひ一度チャレンジしてみては。ハマっちゃいますゾ。