新修丸・神奈川県金沢八景
2016.6.8号
夏の最盛期突入! 東京湾の浅場カサゴが入れ食い
東京湾のカサゴ船と言えば神奈川県横浜市金沢八景『新修丸』。同宿がいよいよ夏の絶好機に突入だ。5月14日に111匹の大釣りを達成すると、遅れていた水温もグッと上昇してきてトップは平均30~40匹。ちょっと日並みが避ければ60~80匹にも達する。高水温になり過ぎる8月まではイケイケモードだから、初チャレンジでも全く問題なし。カサゴ担当の石田和也船長にビギナー必釣術を聞いてきた。
浅場の魅力はアタリの回数と派手な引き!
カサゴ船は『新修丸』が一年中出船させる大看板。冬の繊細な釣りも一興だが、最も食い気が上がる夏の浅場釣りも、アタリの多さで魅力十分だ。「例年、5月中旬から7月が一つのピークなんです。今年は水温が低めだったんですが、例年通り中旬の11日に束釣りすると、あとは水温上昇に伴って食い気は上昇。一番楽しい時期に入ってきました。ビギナーが始めるなら今ですよ~。親切にバッチリ教えますからネ」とは石田船長だ。
夏カサゴは、水温が上がって魚の動きが良くなる、そして餌も豊富で活動がしやすい浅場へ寄ってくる、よってアタリは分かりやすくなるしアタリの回数も多くなる……という寸法だ。サイズも18~23cmを中心に最大で28~30cm超と良いので、浅場と相まって引きも思った以上に強く、釣趣的にも満点と言えよう。釣り場は出船地の金沢八景より少し北の本牧沖一帯から、横須賀市街の目の前に広がる猿島沖、さらに南の観音崎沖一帯と広範囲。一年中、カサゴ狙いで釣り場に精通する石田船長が、臨機応変に広大なポイントを探っていくから、よっぽど悪条件でなければ貧果はないとみていい。水深は現在10~20mと十分に浅いが、今後はさらに5mラインの超浅場まで攻めるようになる。こうなるとアタリ即、突っ込みでスリリングなこと、このうえない。「ただ、さすがに8月の酷暑期に入って水温が27~28cmになってしまうと、若干食いが落ちてしまいます。だから、本当に今がチャンスなんですヨ」と船長。初チャレンジを目論むならお早めに。
カサゴ一筋だけに、タックル&仕掛けにもこだわり有り!
カサゴ釣りの老舗だけにタックル選びもさすが綿密。船長は出来れば軟調子のメバルタイプの硬調子のカワハギ系の2種の持参を勧める。「狙う場所は、なだらかな根の猿島沖方面とかなりきつい根の本牧沖方面。なだらかな根には食い込み重視のメバルタイプ。きつい根には操作性重視で根掛かりを回避できるカワハギ系の竿がお勧めです。ベテランは2タイプ持ってきます。ただ、ビギナーさんなどで、どちらか1本という場合は根掛かり回避率のいいカワハギ系がいいかもしれません。まあ、迷ったらレンタルロッドがありますから、利用してください」と言う。
仕掛けも熟考されている。幹糸と枝スの接続は三又サルカンか、クロスビーズ。市販仕掛けだと糸と糸が直結の物が多いがヨレが入りやすく、格段に食いが落ちるという。その点、サルカン類なら即、枝スを交換出来て便利。だから、50cm前後のハリスにハリを結んだスペアを十分に用意しておくのが得策だ。これはメバルとは全く逆なのが面白い。メバルは目がいいので、食い渋った時、クロスビーズなど接続具を付けていると余計食わず、糸と糸の直結じゃないとダメと言われている。
なお、ハリも『新修丸』は細地ムツをお勧めする。アタって糸にテンションが掛かった時、ムツバリは口先まで出て、口でハリ先が立って掛かってくれるためという。結構、丸セイゴバリを使った仕掛けが多いだけに面白いが、その分、ヘタに合わせるとスッポ抜けるので、ゼロテンションくらいで待つとのことだ。餌は定番のサバ切り身。ハリに付けてクルクル回ってしまうと枝スが撚れる原因になる。「皮側から短冊の端の真ん中にチョンと刺してください」。他にハゼなど釣り人が持参の特餌があるが、これは各自好み。一応、船宿に連絡して持参してよいか確認をしておこう。
まめな仕掛け確認も好釣への近道だ
釣り方は胴突き仕掛けの王道、トントンオモリ。海底にオモリをト~ン、ト~ンとあおっては当てながらの繰り返しで探っていく方法だ。「ただね、ビギナーさんには何㎝前後仕掛けを浮かせては沈めろ、とか数字で言っても、なかなか上手くいきません。だから数字を入れない自分流の教え方をしています」と船長。具体的には仕掛け投入後、道糸が止まったら1~2回リールを巻き、竿を頭上まで上げて再び下げる。そしてトンッという感触が伝わったらそこで下げるのを止めて待つ。5~8秒待ってアタリが来なかったら、また竿を頭上に上げて、この動作を繰り返していく。これでほぼ釣り方の基本になっているといい、やがて底ダチが分かるようになり、素早いリールクラッチ操作で底ベタを狙えるようにもなるわけだ。
アタリは派手だ。現在は浅いこともあって竿先にガガガッとくる。見ていても楽しい。ただ、ここでビックリして竿をあおってしまうと口からスッポ抜ける。ムツバリを使っていることもあり、ここはそのまま何もせず待つのが得策。さらに十分重みが掛かるまで待とう。しかし、タイミングの遅すぎは根に潜られてしまう可能性も出てくる。「ここのあたりが難しくもあり、この釣りの面白さでもあるんです。何回も経験しているうちに分かってきますから、最初のうちはビギナーさんには『迷ったら巻いてくれ(リールを)』と言っています」とのことだ。
最後にもうひとつ、仕掛けはまめに回収して確認を。根を狙うので意外と枝スが絡んでしまっていたり、餌が千切れてしまったりすることも多く、それではまず食ってこない。深場だと仕掛けの上げ下ろしは面倒だが、浅いからビギナーはも、それほど手間にはならないはず。船長の話すことを実践すれば、派手で強引さが魅力のカサゴの引きを、十二分に味わえること間違いなしだ。