釣りビジョン

弁天屋・神奈川県金沢八景

2016.7.8号

東京湾タチウオ、早くも激浅夏祭り開幕!

東京湾で大人気のタチウオは年々シーズンが長期化。昨期も夏から延々と今春まで続いたが、今季はとうとうその2カ月後の梅雨からスタート。もうすでに、夏場の浅場激釣パターンが開幕しトップ平均は40~50匹と快調だ。この要因と言えるのがライトタックル(LT)化だが、その元祖ともいえる横浜市金沢八景『弁天屋』の本田和芳船長に、浅場必釣法をインタビューしてきた。

年々ロングラン化、今季はついに梅雨からシーズンイン

キャプテンズレポート
浅場の入れ食いを堪能できるのは今

「うちは午後2時半上がりのショート船で、6月26日に初漁。大体どこも7月10日ごろから乗合を始めますから、早い年と言えます。最初は釣れていた金谷沖の140mから狙いましたが、全くダメ。やはり荒天後なのでどこかへいっちゃいました。それで思い切って、午後から富津沖の浅場に転進すると入れ食い。それから超浅場の快釣が現在まで続いています」と話すのは、昔のオモリ80~120号の深場時代から30~40号のライトタックル化で浅場を開拓した本田和芳船長だ。タチウオは南方系の魚でやはり水温が高い方が活発化するのだが、今季は4月ごろからずっと21℃近辺を推移しており、それが早期の開幕になったとの説もある。まあ、6月末現在で21℃というのは決して高い方ではないのだが、安定しているという点ではタチウオの活性に高作用するかも。

「この魚は幽霊魚と言われるだけあって、南西風などでシケると散ることが多いんですが、今のところかなり魚影は濃い様子。短期間の行方不明はあるかもしれないですが、例年8月過ぎまで続く浅場パターンは安泰だと予想しています。それに昔より機器が良くなっていますから、みんなで大捜査線を張れば、見つけやすいんですヨ(笑い)」という。もっかの水深は10m前後。一番浅い場合は8mと、文字通りの超浅場だ。サイズも70~80㎝がレギュラーと夏場にしては大きく、もう最大で108㎝のメーターオーバーが登場している。やはり数を釣るなら夏。ビギナーも入門するなら今が最適期といえよう。

仕掛け図

超浅場のリールは流行の小型電動より手巻きが有利

昔は東京湾のタチウオというと寒期の釣りで、片天ビンにオモリ120号を使って100m以深を狙っていたが、それも今は昔。現在では、ほぼどんな水深でもライトタックルになり、深場でもオモリは重くて80号。『弁天屋』では目安として水深50mまでが30号、50~70mが60号、それ以上が80号になっている。竿は7対3調子のLTタチウオ専用の1.8m~2.1m。「長さに関しては体力次第。手持ち竿でシャクリ続ける釣りですから、短い方が楽で扱いやすいです。ただ、操作性は長い方が短いストロークでシャクリ幅が稼げますんで……まあ、そこらへんを加味して選んでもらえば」と船長。また、最近は小型電動リールが流行っているが、浅場は小型両軸で手巻きの方がお勧めだという。「後述の釣り方で話しますが、電動リールは巻きが速いので、浅場の巻き幅に合わない、つまり巻き過ぎちゃうんです。私としては、水深50mまでは手巻きが有利だと思います」。

キャプテンズレポート
メーターオーバーの指5本級

仕掛けは2本バリか1本バリ。これも好みになるが、やはり浅場だと手返しを優先して1本バリに軍配が上がりそう。なお、一般的な仕掛けには歯が鋭いだけにハリのチモト前後を保護する物が付いていることが多いが、『弁天屋』は浅場では特に付けない。ただし、深場になると魚も大型化して、食い込まれてのハリス切れもあるので、パイプで保護している。これについては店のベテラン勢らが少し工夫をしているようなので、釣行した際に参考にするのもいいかも。餌は定番がサバの短冊。他の魚も使う場合があるが、信頼性ではサバが一番だそうだ。長めのタチウオバリに皮側から始めて3回縫い刺しにする。

小刻みシャクリ&巻き上げが超浅場を制す

キャプテンズレポート

タチウオの浅場釣りというと、活性が高いやんちゃな小型がバリバリ餌を追い、勝手にハリ掛かりしてしまって数が伸びるイメージがあるが、実は超浅場ではそういうようにはならないことが多いという。「そりゃあ水深10m前後の現在は、アタリはバリバリに多いですヨ。ただし、ハリ掛かりさせられるかどうかは全くの別問題。トップの40~50匹を取る人は、ヒット率を上げるテクニックを駆使しているんです。ここが面白いところですね」と船長。まあ、仕掛けを投入して適当にシャクリ巻くだけでは、せいぜい10匹くらいらしい。なぜかというと、ずばり浅さに問題があるという。

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現在はまさにクーラー満杯の絶好調

現行のタチウオ釣りの基本は、指示ダナ下限から竿でシャクリを入れながら巻き上げ、初動のアタリがあった後もそのままシャクリ巻きを続け、本食い込みを待って聞きアワセする。ある程度の水深があれば、初動アタリから本食い込みまで多少時間がかかっても何とかなる。しかし、超浅場では初動アタリの水深が浅いため、本食い込みさせるまでの距離を取れないのだ。「例えば現在、水深は8~10m。底ベタからシャクリ上げていって5mくらいで初動アタリが来る。そうすると、あとわずか1~2mで食い込ませなければならないわけです。海面までまだ3mくらいあるじゃないかと言いますが、そこでアワセを入れると海面からオモリが飛び出してきてしまう。これは大変危険なので、やめてもらっています」という理由なのだ。

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では、どうするか。『弁天屋』流は、手首だけのごく小さなシャクリで竿先を20㎝ほど動かしつつ、1シャクリでリールを4分の1回転ずつ巻いていく。つまり、短い距離でも常時餌が踊っている状態を作り出し、本食い込みを促すわけだ。前述で船長が電動リールは速すぎると話していたのは、この動作を実現できないからだ。「アタリの多さは保証付き。後はいかに本食い込み率を上げるかにかかっています。難しいけれど、これがまたマニアックで面白いんですよ」と船長。なお、現在は仕掛けフォール時のアタリも多い。落とし込み中でも「コンッ」などオモリが止められるような感覚があるので、リールのクラッチを即オンにして、そこから小刻みシャクリの開始。大体2~3回でグングングーンと本食い込みが訪れるはずだ。船長はビギナーへ一言アドバイス。「暑いので大変ですが、飽きずにシャクリ続ける人に、やはり釣果は付いてきます。ビギナーさんは、うちのショート船で15匹釣れれば、かなり釣った感があって楽しいと思いますから、頑張ってください」。最後にタチウオは魚食魚で歯の鋭さは比類ないから、船内に取り込んだ後は十分に注意。下手に胴部分をつかむと顔を反転させてガブリとくるので、タオルなどでエラ付近をギュッと押さえつけるようにしてからつかもう。さばきやすいので料理も簡単。ムニエルや塩焼き、中華あんかけなどレシピも豊富だ。

今回紹介した釣り船
釣り船

神奈川県横浜市金沢八景
「弁天屋」

〒236-0027 神奈川県横浜市金沢区瀬戸2-22
TEL:045-701-9061
詳細情報(釣りビジョン)
弁天屋ホームページ

船宿データ
出船時間: 午前7時15分~14時30分沖上がり
乗船料金: 8,500円(税込)餌、氷付き
     割引有り、要確認
     タチウオ用手巻きレンタルタックルは500円

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