第八幸松丸・静岡県 沼津静浦港
2016.7.8号
沼津沖は派手なムギイカから繊細なマルイカへ!
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静岡県・駿河湾ではムギイカが終盤の声が聞こえるとともにマルイカが釣れ始めた。マルイカは例年6月半ばから少しずつ釣れ始め、7~8月にピークを迎える。マルイカを得意とする沼津エリアの釣り船は、アンカーを打ち半夜の掛かり釣りで狙う。沼津沖を主戦場とする『第八幸松丸』の松阪孝憲船長にマルイカ釣りのコツを聞いた。
マルイカはとにかく旨い!
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沼津沖はロングランで狙えていたムギイカも7月に入り終盤を迎え、マルイカの季節が到来! “食感”のムギイカと例えるならば“味”と例えられるのがマルイカの特徴だ。
とにかくマルイカはイカそのものの味が良い。マルイカは捨てるところが無いと言われており、墨を使ってイカ墨パスタを作れば、それはもう絶品。『第八幸松丸』船長のお勧めは“マルイカ丼”。熱々のご飯の上にマルイカの刺身を乗せ、真ん中に卵の黄身を乗せて醤油を一回し。お箸で口の中に運べばマルイカ独特の甘みと香り、モチっとした食感がありそれは至福のひと時である。
繊細なマルイカ、派手なムギイカ
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「沼津沖ではムギイカとマルイカ狙いの釣り場は水深が大きく変わります。ムギイカを狙う水深は100m前後で、タナは50mから上を狙う感じですが、マルイカはグンと浅くなり水深30m前後がメインとなります。
ムギイカ釣りは派手に動かしてドンドン上にあげてくる釣りなので、指示ダナより少し下から上へと誘いあげてくるのがオーソドックスな釣り方です。それに対しマルイカは細かいアタリやモタレを取って、その日の状況を制覇した人が釣果を伸ばします。そのため、感度の良い竿先が重要となります。マルイカは冬にも沼津湾内で釣れるんですが、この梅雨時期~梅雨明けにかけてがメインですね」。と船長。
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潮の速さでオモリをチェンジ
近年のマルイカ釣りはライトタックルの釣りがメイン。これは浅い深いに関わらず、繊細なアタリを捉えなければならないためだ。道糸の進歩による細いPEラインの登場で、ある程度の水深でも軽いオモリが使えるようになり、よって繊細なアタリを取れる調子の竿=ライトタックル=が登場したわけ。だから『第八幸松丸』では、潮が効いていない場合は極軽のオモリ15号、潮が速い場合でも30号まで。
竿の長さは仕掛けの長さによって好みが変わるため、自分が仕掛けをうまくさばき易い長さが丁度良いだろう。小型~中型ベイトリールを使用する人は、道糸PE0.8~3号、3中型電動リールを使用する人はPE3号で必ず30号を使用しよう。
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仕掛けはブランコ、直ブラ、直結の3種類。一般的なマルイカのブランコ仕掛けの場合は、幹糸4号で枝間は矢引きくらいがちょうど良い。浮きスッテは1.5~2.5号で種類は布巻き・ストッキング・プラスチックなど素材は様々だが、大量に用意すると高額になるため、スッテの種類もあまり用意できない初めての方は布巻きがおすすめ。
ムギイカのように動かし過ぎない!
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マルイカ釣りは着底させて糸フケを取り、誘いをかけて底から各タナで本命の触りを調べていく。マルイカが触るタナが決まってくれば、同じ場所の近辺から誘いをかけていく。水深は30mと浅いため、マルイカの群れは常に流動的に動いている。一度触らなくなった場合は、もう一度上から下まで探りなおす事も重要だ。
「慣れていない釣り人はスッテを動かしすぎるんだけども、ムギイカの感覚だと動かし過ぎなんです。本当に微妙な感覚なので、初めての人や誘い方がわからない人は最初船長に聞いてください。マルイカはムギイカのように1杯ノッたら2杯、3杯と追いノリを待つ釣り物ではないので、1杯かかったら迷わずすぐに上げましょう。追いノリを待っていたらいなくなってしまいますよ(笑)」と船長。
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人気のイカメタル(ひとつスッテ)でも!
ブランコでちょっとノリが悪いかなと思った人は水深の浅い場所で効果を発揮するのがイカメタルだ。幹糸3~4号に枝スを1本伸ばしイカメタルは10~15号を使用する。「みんなが好きな釣り方があるので、好きな釣り方をしてフリースタイルで楽しんでもらいたいですね。こうじゃなきゃダメだと言う釣り方はないので、『幸松丸』に乗船した釣り人がやりたい釣り方で自由にやってもらえればベストです。
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最近の釣り人はネットの見過ぎで、釣り船に乗って釣りをするよりも先に、ネットで色々調べてから来るため知識は凄くても…なんて方もいらっしゃいます。マルイカのように繊細な釣り物は実釣がすべてものを言うので、まずは一度チャレンジしてみてください。それでマルイカ釣りの楽しさを体感してもらいたい。そして自分で釣った“マルイカ丼”の美味しさも是非味わってもらいたいですネ♪(笑)」。沼津沖では安定して竿頭20~30杯の成績が出ている。食べたい! 目当てで釣りに出かけてみていは“イカ”がだろう?