庄治郎丸・神奈川県平塚港
2016.10.22号
超高級魚アマダイ、今季も相模湾で絶好調!
アマダイと言えば今や、マダイをしのぐとさえ言われる“超”が付く高級魚。癖のない軟らかな白身が何の料理にも馴染むため、年末ともなると40㎝オーバーの値段は“万”を超える。好スポットの相模湾は今期もスタートの秋口から好釣果を連発。そこで湾のほぼ中央に位置する平塚港『庄治郎丸』の大堀耕史船長に、展望と基本釣法を聞いてみた。
ライトタックル化が超高級魚を身近に!
「ここ数年、ずっといい年が続いていますが、今年も裏切られず、好釣果が続いていますネ。9月下旬の乗合船開始からトップは頻繁にツ抜け(10匹以上)しますし。40㎝オーバーの型モノも連日出ていますから。
アマダイの目の良さを頼りに潮の澄んだ時期を狙いますから、2月くらいまでがシーズンですが、ビギナーには水深も浅めで数も出る年内がお勧めですね」とは耕史船長。
このアマダイという魚、コマセを使わないオキアミ餌の2本バリで、それなりに深い水深を狙うため、とかく昔は数が釣れなかった。一日で片手(5匹)いけば万々歳で、オデコでもやむなしという釣り客はいっぱいいた。
それが細くて強いPE道糸登場で一変。軽いオモリを使用できることによるLT化で、仕掛けが適度に潮になじんで広範囲を探れるため、飛躍的に数が伸びた。
まあ、数が伸びたと言っても船中の最高が10匹ちょっとだから、すさまじい場荒れも起こらず、毎年いい状況で秋の開幕を迎えられるわけだ。海面に浮きあがった濃いピンクに黄色とブルー掛かった魚体(メインのアカアマダイ)は美しく、いかにもおいしそう。40㎝超の大型なら1匹でも十分、30㎝以下の小型でも4~5匹あれば御の字である。
100m前後の水深も、ライトタックル化で楽チン!
昔のアマダイの標準オモリは80号。今の相模湾は50号か60号で、『庄治郎丸』は50号。半分近い軽さだ。道糸がPE2号だから、この重さが使える。ゆえに竿もライトになり、オモリ負荷30~40号で2.4m前後のライトウイリー竿やゲーム竿など。手持ちで一日やっても耐えられるクラスで、女性などビギナーにも十分扱えるため人気が出たとも言えそうだ。
ただ、問題はリール。道糸の号数から考えると適すのは小型両軸リールだが、100m以上の水深を狙うこともあるだけに、手巻きでは苦しい場合もある。最近はかなりコンパクトな電動リールが出ており、非常に使い勝手が良いので、予算が許す人にはぜひおすすめだ。
仕掛け周りは至ってシンプル。片天秤にオモリを吊るし、腕から2本か3本バリを結ぶ。 元々は、ちょっと重さがある三又サルカンを介した2本バリが基本だったが、これは潮が速い東京湾口ポイント仕様。東京湾口ではさらに潮が速い場合は先のハリ上30㎝くらいにガン玉まで付けて対処する。底近くにオキアミ餌を流すためだ。
これに対して相模湾。夏の黒潮系が入っている時期こそ速い場合もあるが、秋からは東京湾口ほどは行かなくなるので、もう少し軽く、ナチュラルにたなびく仕掛けであってほしい。
同湾も以前は三又サルカン仕様を使っていたが、それではペタリとしてしまいがちなので、最近は少し軽くして、底付近をうまくたなびくような仕掛けが登場し、人気も得ている。ハリス接続部に軽いクロスビーズを使ったり、直に八の字結びなどの製品で、もちろん実績も上がっている。
「ただし、フカセ効果を考えすぎるために、フロートなどが付いたごちゃごちゃした仕掛けはご法度ですヨ。何事も適度な感じが大切です。必要以上に浮いちゃう仕掛けなど、オマツリ多発で何の利点もありません。隣の人などに迷惑が掛かる場合もありますから、十分注意してください」とのことだ。なお、餌は乗船時に付いてくるオキアミを1匹付け。たまに他の冷凍エビを持参する人もいるが、オキアミで全く問題ない。
とにかく餌を底付近に漂わせよう!
釣り方自体は、仕掛け同様シンプルだ。アマダイは通常、海底の砂地に潜って眼だけを出し、餌を待ち構えている。だから目が上部についている。間抜けな面に見えるが(愛嬌があるとも)、理に適っている。眼もいいらしい。その海底すれすれの目へ、2本バリか3本バリのオキアミ餌をアピールすればいい。潮が適度に流れてくれていれば、底からオモリをハリス全長の半分くらい上げれば、オキアミは底スレスレを漂い、かつ適度な速度で仕掛けが流れていってくれる(船も)。これが理想だ。
ただ、アマダイ側も見える範囲はそう広くないから、ときたま竿をあおってオキアミを高く躍らせ、アピールする。これが誘いにもなって、より確率が高まるわけだ。要はハリス&餌がうまく漂ってくれるかどうか。
潮が速いとどうなるか。ハリス全長の半分、オモリを上げたら、餌は海底よりかなり上層を流れてしまう。そして、食いつけない速度で流れていってもしまう。だから、オモリを海底から少ししか上げず、抑え込むような感じで、餌がすっ飛んでいくのを防ぐ。
逆に遅かったら。半分オモリを上げても、餌は真下に垂れたまま。船も動かないから、多少の竿のあおりでは、餌は踊らない。まともにハリス分持ち上げて、なおかつ頻繁に誘いを入れて、餌を躍らす。
このオモリの位置を決めるのをタナ取りというが、アマダイ釣りは、ほぼこの調整一つにかかっていると言っても過言ではない。海底の潮との対話。釣り自体がシンプルだけに、意外とはまってしまう人が多い。しかも釣れれば超高級魚である。昔はアマダイは一部マニアの釣りだった。ライトタックル化で女性などビギナークラスに門戸が開かれた現在、是非ともチャレンジしてほしいターゲットである。