野毛屋釣船店・神奈川県金沢八景
2016.11.08号
東京湾の超高級アカメフグ開幕!
フグの旨さは保証付き。釣りでは東京湾と外房~常磐でショウサイフグが人気だが、その上をいく旨さと言われるのがアカメフグだ。フグ釣りのパイオニアとも言われる神奈川県金沢八景『野毛屋釣船店』では、地先の八景沖を狙って先週始めの10月31日から開始。21~40cmを2~13匹とこの魚では爆釣ともいえるスタート切った。湾フグ釣りのカリスマ“健流”こと黒川健太郎船長に必釣術を聞いたのでご参考に!
プリプリのアカメフグは釣りじゃなきゃ食べられない!
「トラフグは、たとえ高かろうがお金を出せば食べることができますが、アカメフグは釣らなきゃ食べられませんからねえ……」とは健太郎船長。数の少なさなど、市場に出回る規模ではないため、「食べてみたい!」というフグ通がいたら、釣りを始めなければならないわけだ。つまり、アカメフグを味わえるのは釣り人の特権なのだ。
『野毛屋釣船店』は東京湾のフグ釣りの元祖とも言われる老舗で、三代目の健太郎船長のおじいさん、つまり横浜の凄腕漁師だった初代・黒川忠治船長が、竹竿を自作してカットウ釣りを始めたと言われている。そのころのターゲットは魚影も濃かったショウサイフグ。以来、同店では休止時期はあったものの、ショウサイフグ釣りを看板の一つとしてきた。それが三代目がフグ船長になって10数年後、今から6~7年前にショウサイのメインポイントとは違う地先の八景沖一帯で、晩秋から春先にアカメフグが釣れることが分かった。
アカメは超ウマいと知っていたので、急遽スポット乗合船を開始すると、すぐに評判が立った。現在ではその時期にショウサイの釣果が若干落ちることもあって、専門に乗合船を出すようになったわけだ。
「今季は10月31日に八景沖で始めました。例年、最初の頃に特大40cmオーバーのガマガエル級が連発するんですが、2日目までは21cmから40cmまでと、ちょっと小さめ。しかしトップが連日2ケタを突破していますし、何よりオデコがいませんから、釣れ過ぎですかネ。そのうちガマガエルちゃん級も顔を出し始めるでしょう」と船長。
姿かたちはまさにガマガエルそのもので、大型ともなるとド迫力だが、身の旨さは正反対に超美味だ。通常だと釣果は0~5匹くらいが普通で、型を見られれば御の字と思ってもらいたい。年明けの2月までは狙うというから、是非ともチャレンジしてほしい。
タックルは湾フグ仕様でお間違いなく!
タックル&仕掛けはショウサイフグのカットウ釣りと全く同じ(図参照)。俗に言う湾フグ仕様と言われるもので、オモリ10号以下が基本のライトタックル。外房~常磐方面の重いオモリ(25~30号)を使うものとは違うので注意。マイタックルを購入する際は間違えないように、しっかり“湾フグ”と釣具店のスタッフに明言しておこう。
仕掛けはカットウの上に胴突き2本バリを足したハイブリット。カットウ釣りは市販仕掛けが充実しているのでお勧めだが、こと『野毛屋釣船店』と言えば船長の名を取った“健魂”シリーズが実績あり。ただ、この発売元の会社が現在はなくなってしまい、周辺の釣具店でも品薄だ。
「船には乗船客さん用にある程度確保してあるんですが、限りがあるので、どこかの釣具店で見つけたら手に入れておいたほうがいいかもしれませんね。ただ、他の仕掛けでも問題ありませんヨ」と船長。ちなみにレンタル竿も“健流”オリジナルでいい調子だから、初挑戦の人ならまずは、レンタルしてみるのも一策だ。
餌は冷凍エビで付け方は一工夫いるが、乗船前に船長に尋ねれば丁寧に教えてくれる。意外とこの餌付けが大事なので、しっかり教わっておこう。
竿先にアタリを出すにはゼロテンション
「湾フグのカットウ釣りはオモリベタのゼロテンション(ゼロテン)が基本。だから釣り方のキーポイントは竿の角度です。これが悪いとアタリが出にくいですよ」と船長。
湾フグ竿は8対2や9対1の超先調子だ。穂先は微妙なアタリを取るために繊細で軟らかく、その他の大部分はガッチリ掛けるため硬い。このタイプで竿先を水平より下げてしまうと、穂先が死んでしまい、非常にアタリが出にくくなるのだ。
基本的な釣り方はオモリ着底後、糸フケを取ってゼロテンになった状態で竿が水平やや上の角度=目線の延長戦の位置。ここから20cmほど竿先をチョンッとシャクってオモリを浮かせ、そこから竿をゆっくり下げてオモリを落としていく。オモリが着底したら3~5秒待ち、また軽く20cmほどチョンッとシャクり……を繰り返す。
この下げていく間とゼロテン待ちの時にアタリ、というかわずかでも違和感を感じたら即アワセ。リールをパーミングしている方の手首を軽く上へ返す感じのアワセを入れてみよう。掛かればすぐ重量感がくるので、スムースに巻き上げにかかる。
大振りなアワセやビュンッという強いアワセは厳禁。フグが警戒してすぐ逃げていってしまう。「ショウサイフグよりゆっくりめにオモリを落とすのがいいかも。アカメフグはショウサイよりゆるやかに寄ってくるようです」と船長。
もうひとつ、ショウサイフグとは明らかに違うパターンがあって、非常に重要だと言う。それは、アカメフグ狙いはショウサイのようにアンカーを入れず、ポイントを流していくこと。だから、ゼロテンで長く待ちにくい。待とうとするとサオの角度が保てなくなり、竿先にアタリが出にくくなる。だから、オモリ落としをゆっくりめにして、のんびり派のアカメの寄りに合わせてやることが大切だ。
最後に、最善の食べ方を船長がレクチャー。「ショウサイと違って釣った直後は硬くてお勧めできません。1週間熟成させれば、もう絶品。刺し身、しゃぶしゃぶがお勧めですね」。方法は船長が身欠きにしたものの尻尾をカットし、よく水洗いする。キッチンペーパーで水分をよく拭き取る。キッチンペーパーでくるみ、ラップをして冷蔵庫へ。
その後、毎日新しいキッチンペーパーに替えて熟成。1週間で程よく軟らかくなって美味しくなる。なお、その後もキッチンペーパーを替えて冷蔵庫保存なら、10日間大丈夫だとのことだ。是非ともお試しを!