かめだや・東京都羽田
2017.1.8号
東京湾のシロギスは束釣り長期連発で安泰!
東京湾の冬のメイン小物の1つシロギス。もっか落ち前の入れ食いモードがロングランで続いている。キスは同湾では一年中狙える人気魚だが、今シーズン(昨春~今冬)は夏ギスが今ひとつだっただけに、ファンにはうれしい限り。担当の鈴木祥太船長がコツを教えてくれたから、2月過ぎからの最低水温期に突入する前に、束釣りを満喫しにいきましょう!
夏ギスはイマイチでも冬の落ちギスは安泰!
今シーズン、夏ギスは激シブではなかったものの、何故か釣果が上がりきらず、ファンも消化不良気味。実際、シロギス船の船長陣からも、「ダメという状況ではないんだが、ここ数年の盛況ぶりからすると、数がまとまらなかったなあ」という声は聞こえていた。
このため、湾ギスのもうひとつの盛り上がり、冬の落ち前の荒食いも、どうなるかと不安視された。しかし、若干遅れたものの、キスを得意とする羽田『かめだや』では11月後半から束釣りが頻発し本調子。新春の初出船からも束釣り行進が続いている。
「昨年以前も、この時期は良く釣れていましたヨ。だから、夏の状況がそのまま冬に影響して来るかどうかは分からないですね。また、今季の高めの水温が理由で、食いがいいというのも、あっているかどうか……実際、年明けは2度くらい落っこちて11℃台前半になりましたが、バリバリ食ってますから」と船長。
この冬というか、このところ毎冬だが、『かめだや』が狙っている木更津沖の水深は18~22mとほぼ変わらない。そして年明けの水温低下でも、さして数が落ちていない。
結局、東京湾のこの時期の“居心地がいい所”=固まっている所=を知っていれば、好釣果に繋がるということで、密度が濃い分、多少活性が低くても効率が良いということになる。船長にそこのところを質すと
「まあ、そういうことになりますかねえ。魚影がある所は把握しているつもりです」との答え。当分、釣果は安泰の見込みだ。
数を伸ばすなら片天ビンが有利
東京湾のシロギスは、長年の歴史あるジャンルだけにタックル&仕掛けスタイルは確立されている。竿も良いものが多種出回っているし、船宿のレンタル品もキス竿はあるところが多い。もちろん『かめだや』も同様で、ビギナーなら最初はレンタルというのも、気軽だしリーズナブルでいいだろう。仕掛けは近年、大昔に一時出回った胴突き仕掛けが復活して話題になったが、主流は片天ビン仕掛け。ハリスも1号が定番で、時期や魚の大きさによってハリの号数&形を変えていくくらいだ。
「数年前に復活してきた胴突き仕掛けは、真下を狙うんで投げるテクニックがいらないためと(片天ビンは多少いる)、冬の深場狙いは真下も有望なのでビギナーにはいいですが、数を狙うなら、やはり片天ビン仕掛けがお勧めです」と船長。理由は2つ。
胴突きは1本バリか2本バリだが、2本バリの場合、上のハリの位置が高過ぎて、活性があまり高くない落ちギスには向かず、結局1匹しか掛からないことが多い。1本バリは何をかいわんやで、1匹ずつしか掛からない。もう一つの理由は、「落ちギス期ながら、投げてもバリバリ食ってくるんですよ。うちは2本まで竿を出していいので、1本は手持ちで遠投、もう1本は手前狙いで置き竿が有意義。この場合、順番によってどっちの竿でも遠投する可能性がありますから、両方片天ビン仕掛けにしておくほうがいい」とのことなのだ。
釣りが全くの初体験というのなら、トラブルが少ない胴突き1本バリの真下狙いをお勧めするが、束釣りを目標にするファンなら、片天ビン仕掛けの2本竿スタイルをお勧めしたい。
餌を躍らせた後の“待ち”は長めに
片天ビンも胴突きも、重要なのは餌の青イソメを躍らせてシロギスにアピールすること。片天ビンはある程度投げて、オモリが着底したらオモリを軽く跳ね上げる感じで、竿を軽くシャクり、手前に持ってくる。これでフワッと餌が踊る。胴突きは下に落としてオモリが着底したら、まず糸を張り、そこから竿を緩やかに上下させ、糸が張る、緩むを4~5回繰り返す。これで餌が踊る。
「重要なのは、どちらも一連の動作を終えた後。必ず食いつく間を取ってください。活性の高い夏ギスだと、動かしていてもひったくるように餌を捕食し、ビビンッとアタリが来ますが、良く釣れていると言っても冬ですから、さすがにそうはいかない。少し餌をフワフワする時間を長くとってあげないと、吸い込んでハリ掛かりはしません」と船長はアドバイス。また、アワセもそのまま竿を止めて待つくらいでよく、勢いよく竿を引いて、こちらから掛けに行くようなアクションはNGだ。そうなると餌の青イソメの長さも吸い込み度のうえで重要になってくる。
「ハリからの垂らしが2cmくらいで最初は始めてください。長すぎるとハリ掛かりしないことが多いですから。2cmでアタリがないようでしたら、活性が低いとみて3cmとか少し長めに。その場合、食い込むまで時間がありますから、当たってもいきなりのアクションはNGですよ」とのことだ。
もっかのキスは、落ちる前で餌を食いだめしているので、肥えて脂の乗りがバッチリ。夏のピンギスも育って20cm前後が中心と申し分ない。今後、2月に入って最低水温期を迎えると、元気なキスもさすがにガタンと食いが落ち、また水深も30m前後とより深くなるので、難しさが出てくる。ポコポコの落ちギスの数釣りを楽しみたいなら、今がチャンスですヨ。