浅八丸・神奈川県平塚港
2017.1.8号
相模湾の冬の人気ターゲット・カマスが開幕!
相模湾の冬は、大人気のブリなど浅場の回遊魚が落ち着き、若干深い釣りになってくる。ヤリイカ、根魚などがそうだが、近年人気上昇中なのが、お茶の間でも知名度が高いカマス。 本来は秋口からのシーズンインだが、今季は遅れて昨年末からようやく釣果が聞かれ出した。乗合船を出す船宿の一つ、神奈川県平塚港の「浅八丸」では12月24日の初漁から、トップが頻繁に20匹をクリア。そこでカマス担当の塚野仁船長に現況をインタビュー。
遅れて年末開始もトップが30匹を突破して本調子
相模湾のターゲットになっているカマスは“アカカマス”(ホンカマス)。最大50cm前後と大型化し、寒期が旬とされて一番脂が乗る。何しろスーパーなどでもよく見かけるから世間一般の知名度も高く、味も保証付きだ。当然、船釣りでも人気が高い。十数年前までは、相模湾でカマスを狙っている船宿などほとんどいなかったが、ある時、偶然的に魚探反応を見つけ、それ以来、知名度の高さもあってどんどんターゲットにする船宿が増えた。
半面、食い気にひどく波があり、釣果もエレベーター状態。釣り方をあの手この手で工夫しても、一向に改善されないため、船長泣かせの釣り物でもある。
「今年は晩秋から、いいイナダがガンガン釣れたんで、そっちをかなり引っ張ってしまったんですよ。だから、カマスの群れを探す暇がなかったんですねえ。12月中頃にやっとイナダが一段落したんでちょっと探したら見つけたんで、12月22日から看板を出しました。初漁は同24日、魚探反応はバッチリ出ていたんっで、何とか数になるだろうと思っていたらトップが23匹取れた。
年が明けて30匹超の日も出たんで、まずまずの状況だと思います」と船長は話している。とにかく食い気にムラがあって、シーズンの見通しは全く立たないが、『浅八丸』では何とか2月末くらいまでは持たせたいとのことだ。
専用竿はないがアジ、イカ用がベストマッチ
カマス釣りの専用竿はまだなく、マッチするのはアジのビシ竿かイカ竿。狙うポイントの水深は深いと底知れず(400~500m)だが、食いダナは200m前後。今後はもう少し浅くなってくる可能性があるが、これによって使用オモリも150号が標準なので、上記2種の竿が使いやすいわけだ。
標準的には餌釣りになり、カテゴリー的には中深場釣りになるが、とにかく微妙な食い方しかしないのと、もう一方でしゃくったりする釣り方の場合も出てくるので、先調子の竿のほうが、アタリは取りやすいしシャクリもしやすいので、扱いやすいということになる。
「標準は餌釣りですが、ムラがありますんで、シャクリ釣りのようなことをする時もあります。そのときは船内に特製の仕掛けも用意してありますで、気軽に声をかけてくださいね」と船長。なお、餌釣り仕掛けは現在、どの船宿も胴突きに落ち着き、3本バリから多くても5本バリとしているところが多い。深いゆえ、あまり多いとオマツリ地獄に陥ってしまう危険が高いからだ。餌はサバの切り身が基本で、落下時に回転してしまわないように端をチョン掛けだ。
「もう一つ、道糸は300m以上、リールに巻いてきてください。深いので潮によってはオマツリし、高切れすることもあるんで。予備の電動リールか道糸を持参すれば万全ですが」とのことだ。
好調時は幅90m前後のタナが真っ赤っか!
カマスの魚探反応(泳層)は中層に出ることが多い。もっか水深(底ダチ)は様々だが、反応は160mから250mまでに出ていることが多い。
魚探を見ると真っ赤っかになっている。約90mもの広い幅だが、狭いと40m前後の場合もある。「魚はかなりいるのは分かっているんですヨ。毎年のように真っ赤っかな反応になりますから。ただ、これらか毎日食うとは限らない。面白い魚です」と船長。
餌釣りの基本操作は仕掛けをタナに止めてアタリを聞くこと。たまに誘いの意味で竿をゆっくりシャクり、仕掛けを上下させて餌を躍らせる。アタリは千差万別で、コンッと竿先に出たり、モゾッと持たれたり、フワッと糸フケが出たり。とにかく竿先や道糸の変な動きを察知したら、すぐにアワセを入れてみよう。釣り場が深いから、タイムラグがそれなりにある。
しかも歯が鋭いから餌が千切られやすい。これですっぽ抜けるようなら、アワセが早いか遅いかのどっちか。早いなら少し待ってググッと引き込むアタリが出てくるならしめたものだが、即アワセで遅いとなると、もうかなり難しい状況と言えよう。
「まあ、その時のために、シャクる釣り方を教えています。私の特製仕掛けも船中に用意してありますから、声を掛けてください」と船長。水深が深いので慣れないと分かりづらい釣りだが、そこがまた奥が深く攻略し甲斐のある釣り物ともいえる。ビギナーでなくとも、気軽に船長にアドバイスをもらうのがいいだろう。
「カマスがお茶の間でも人気なのは、ずばりおいしいから。干物や塩焼きなど、なんでも行けますが、私の現在のお勧めは炙りの刺し身。皮を残してバーナーなどで焦げ目をつける炙りにすると絶品ですよ~」と船長は太鼓判。
この魚、厳寒期にぱったりと脂が抜けてしまうことが多いらしいが、今のところは脂がバッチリ乗りきっていて、まさに食べごろだとか。お早目の釣行がお勧めだ。