南伊豆忠兵衛丸・静岡県南伊豆手石港
2017.1.22号
目指せ80kg! 最盛期のアブラボウズ!
伊豆半島先端に位置する南伊豆手石港。そこから出船する『南伊豆忠兵衛丸』でアブラボウズ狙いが最盛期に入った。アブラボウズのベストシーズンは1~3月。スロージギングや餌釣りの両方で狙えるターゲットだが、まだまだその魅力は深海魚だけに未知数だ。今回はその魅力に迫るべく、釣り方や食味について南伊豆手石港『南伊豆忠兵衛丸』の浅沼清人船長に取材した。
アブラボウズは美味いんデスっ♪
アブラボウズは釣りをしない人の口に入る事はほとんど無い知る人ぞ知る魚。それもそのはず、船長曰く「アブラボウズを一年中釣ろうと思うなら、アコウ等が生息する水深1000m近辺を常時探れれば、釣れる場所はあるにはある」のだそうだ。それだけ深海に住んでいれば、光がほとんど届かない海水温も冷たい場所という、体を守るために必要な脂がぽってり乗って美味しいと言うのも納得である。アブラボウズの見た目は真っ黒なシルエットに白い横縞…とてもキンメダイのように“わぁ!美味しそう”とはならないのだが、その身は意外に白身。さらに脂の乗りはマグロのトロに匹敵する。
「新鮮なアブラボウズは刺身やお寿司で食べるととっても美味しいんですヨ」と船長。脂が強いため生で食べるには4~5貫くらいの量が適量だそう。船長のお勧めは照り焼きがNo1。更に余った切り身は味噌漬けや西京漬けにしておけば、日持ちもして美味しさも倍増だそうだ。アブラボウズはアブラソコムツやバラムツのように脂にロウ(ワックス)成分が入っていて販売が禁止されている魚ではないため、食べ過ぎなければ問題はないのだとか。食味は銀ダラに近いイメージと言ったところだろうか。
スローピッチで狙うんデスっ♪
近年従来の餌釣りだけでなく、スローピッチ・ジャークジギングで狙うアングラーも増えてきている。ヒットカラーの定番はグロー、レッド、グリーン、ブルー、それに加えゴールド、シルバーなどの光るものも良いそうだ。ジグはスロー専用の900gを軸として持っていこう。
700、800gもしくは1kgを使う場合もあるため持っている人はその大きさも有ればベストだ。ロングジグのような中層・表層を意識したジグは必要がなく、カサゴやハタを釣るイメージでジグ選びをすると良い。しかし、相手は30~80kgの大型魚なので心して挑もう。
船長曰く「アブラボウズは通年狙える魚なのだが1~3月にかけては産卵シーズンなので、水深750⇒550mへと少しずつ上がってくる」そうだ。ベイトはイカや深海アナゴ、カニなど様々。1月現在のアタリダナは750m。今後は550mまで時期を追う毎に浅くなり、より釣りやすくなる。
アブラボウズの反応は魚探に出ない!ベイトの反応や根のポイントを見る
数十キロにもなる魚のアブラボウズであれば、魚の反応が魚群探知機に出そうな気がしたため船長に聞いてみると、「アブラボウズの反応は出ません。 ベイトの反応が出る事はありますが、基本的には根などの海底の地形を見てポイントを決めて投入の合図を出しています」と船長。 釣り場は石廊崎沖の広範囲。見えない魚をその中から釣らせるべく日々苦悩しているのだ。
まず、ルアーの誘い方は、着底後スーッと下から頭上まで竿を持ち上げてからクラッチを切り、フォールでジグを泳がせていく。そのイメージで海底から10mくらいまで探ったら再び海底まで落として、同じ事の繰り返し。 タナを上げすぎるとバラムツが掛かってきてしまうため、あくまで底から10m以内を探るように心がけよう。
竿はPHPJ 410 ハイピッチジャーカー410、リールはオシアジガー5000Pが船長の一押し。 それに道糸FireLine3~4号1200m。リーダーはフロロ22~30号3m。 フックはがまかつスロー用シングルフック#7/0をリアに2本、フロントにアシストの1本が良いそうだ。
餌でも狙うんデスっ♪
餌釣りの場合はミヤマエの大型電動リール12Vや24V対応のものを使用する。キンメのタックルをそのまま流用できるのでキンメ用のタックルをお持ちの方はそれで挑もう。道糸はPE14~16号1200m以上。仕掛けはハリス(枝ス)40号3m、幹糸(ハリスの上)60~80号4m、捨て糸は18号4.5m。ハリは1本バリでムツネムリ30号。餌はスルメイカ又はヤリイカの1匹掛け。餌は船宿で販売はしていないためスーパー等で購入してから出掛けよう。餌のイカは耳の表からかけて裏側まで抜いて、ハリにグローのタコベイトを貫通させて完了。 タコベイトを付ける事でさらにアピール出来るのだそうだ。そして、最後に仕掛けの一番上にタチウオなどで使用する赤のLEDライトを1個セット。オモリは鉄筋2kgを使用。
誘い方は簡単でオモリトントンの状態を作ってひたすら待つ。時折底を取り直したり約10m上げて落として…を繰り返す。潮によってはオモリに鉄筋2.5kgも使う。餌釣りはあまりやる事が無い気がするが、実は魚を掛けてからが腕の見せ所。
ルアーの場合は掛かってからすぐにやり取りを開始。竿の弾力は基本的に使わずに魚を上げてくる。しかし、餌釣りの場合は魚が掛かったらすぐに10mラインを伸ばす。そして、2kgの鉄筋オモリを根掛かりさせて切るのが重要だそう。それによりラインのテンションがほぼ魚のテンションだけになり、取り込める確率がグンと上がるそうなのだ。
3月半ばまでがチャンス絶大!
アブラボウズのいる場所は、カケアガリなど変化のある場所が中心で群れでいる場合が多いので、船の中で誰かがヒットしたらチャンス絶大。
うまくいけばペアで50kg近い良型が2本あがることもあるのだ。アブラボウズは3月半ばになると産卵を終えた個体から再び1000mの深場へと戻っていく。チャンス絶大な今が釣りドキだ。