鴨下丸・神奈川県磯子八幡橋
2017.2.22号
サワラ好転期待! 八幡橋のルアー青物船に注目
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秋口から春先へ向けて東京湾口のルアー青物船を出している神奈川県横浜市磯子八幡橋の『鴨下丸』。厳寒期は例年、秋のワラサに代わってサワラが主役になるが、今季は暖冬で群れが固まらないためか苦戦気味。それでも2月に入ってからは徐々に数が揃いだし、多彩なゲストも活発で今後期待は十分だ。ルアー担当の萩原敏広船長から今後の展望と厳寒期のジギングの基本を聞いた。
水温低下でベイトが固まってくれればサワラが本命か!
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魚偏に春と書いてサワラ。まさに「今でしょ!」と言いたい魚だが、今季は序盤戦が苦戦ながら、ようやく2月中旬から上向き加減になってきた。「サワラは例年、新春1月から3月中旬ごろまで狙えます。3~4年前までは良かったんですが、ここ1~2年は若干よくない。
その分、ワラサやイナダが落ちないで釣れ続いてくれるし、3種のほかにヒラメやマダイ、ホウボウなど美味しいゲストも多彩ですから、ルアー乗合船としては十分だと思いますが」と船長。
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それに現在、噂の超高級トラフグもたまに交じりだした。余談だが、昨春にトラフグフィーバーを巻き起こした張本人は、萩原船長。このルアー船が偶然、メガトン級の群れを発見したのだ。
話を元に戻すが、もっかサワラの状況はグングン良くなっている。「サワラはフィッシュイーターですから、餌になるベイトがいないと、どうしようもないわけです。しかし、今季は水温が高過ぎて、サバなどベイトが固まってくれなかった。
だからサワラも散っているのか、苦戦しました。ただここ数日(2月10日過ぎ)で12℃前後とガクンと落ち、最低水温期と言われる2月の平均的な数値になりました。これでベイトが固まってくれれば、サワラもそこを目指しますから、期待が出てくるというわけです」と船長は期待を込めて話す。
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この魚は確かに最近、難しいターゲットになりつつあるが、不思議と釣り客が多い。これはひとえに「うまい」からだ。サワラと言えば西京漬けや焼き物が世間では主流になっているが、実は刺身がこのうえなく旨い。なのに生では店にあまり出回らない。
なぜかというと足が早い=痛みが早い魚だからだ。サバより早いらしい。それが釣り人なら、釣った日に食べられる。大漁がない割りに乗船者が多いのは、実はこの味を知っている人たち…というのが答えだろう。今流行の“炙り”なんて食べた日には……是非ともサワラの好転を期待したい。
テールのトリプルフックがアシストフックを救う!
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鴨下丸では表層の群れを追わず、ジギングで攻めるのが基本で、ジグはロングやセミロングの100g前後が定番だ。これによりロッドは同ジグのカバーするオフショア用ジギングロッドか、流用するならシイラロッド。ただ、リールはしいて言えばスピニングがお勧めだ。
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「キャスティングで狙いませんが、チョイ投げでカーブフォール気味に狙ってと指示を出す場合があるんです。その場合、スピニングの方がトラブルが少ないです。もちろん、ベイトタイプでも投げられれば問題ないですよ」とのこと。
また、リーダーは5mと長め。これはサワラの鋭い歯で傷付けられると、定番ともいえる3mでは道糸とのラインシステムからやり直さなければならない。5mなら先端を少しカットしながら繋いでいけば釣り続けられるので、ピークタイムに残念な思いをしなくて済むわけだ。
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なお、ジギングでルアーカラーは大事だとよく言われるが、船長はサワラに関しては全く関係ないという。それよりもフックセッティングが重要とも。「テールにトリプルフックは必要です。もちろん、ヘッドにシングルかダブルでアシストフックを付けてください。しかし、意外とアシストフックは外れやすいんです。
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加えてサワラだと、アシストフックの糸をワイヤにしても切られる場合があるんです。それを拾ってくれるのがトリプルフック。鋭い歯並びの獰猛なやつですから、フック数は多い方がいい?と思うんです」と解説してくれた。
.メリハリの利いたワンピッチジャークで攻略
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『鴨下丸』がサワラメインで狙うのは本来、この時期にベイトが固まる観音崎沖から久里浜沖、鴨居沖にかけて。それが今期は内房の大貫沖から三浦半島剣崎沖まで、東京湾口一帯を走り回っている。しかもほぼ水深50m前後のライン。つまり、そのレンジにサバなどベイトの魚探反応が出るためだ。
水温が下がったので今後、ポイントが変わってくる可能性はあるが、今のところ、水深50mレンジの底から20~30m上層までを探っている。
この水深周辺の落ち込みのヘリ、つまりカケ上がりかカケ下がりを、じっくりトレースしている。
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「パターンはワンピッチジャークで、ティップ海面から45度くらいまでのストロークでシャープに探っていってください。大きいストロークは駄目です。フックが多いのでテーリング(リーダーとフックが絡む)が多発します。同じ理由でラインスラックを大きく出すとテーリングの原因になりますから、リールの巻きもしっかりジャークに追従してくださいね」とのことだ。
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なお、日によってはサワラの状況が良くない場合もあるが、他魚はワラサ、イナダ、ホウボウ、マダイ、ヒラメ、トラフグなどと多種多彩でおいしい魚ばかり。こちらの五目ジギングでも釣りとしては全くOKである。その状況になった時の各パターンは船長が教えてくれるから問題なしだ。
もうひとつ、潮が速い東京湾口なので、スロージグはNG。オマツリが多発する。もとより、サワラは足が速い魚なので、スロジギは不向きと言われているが…。とにかく、サワラが本命だが他のゲストも高級魚ぞろい。釣り物がないと言われる2月にはうれしい乗合船である。ぜひ、チャレンジを。