釣りビジョン

2010.12.15号

つり幸・神奈川県川崎
乗合船で狙うプリスポーニングのシーバス!!

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船宿「つり幸」
海のルアーフィッシングの人気者、シーバス(スズキ)。海区から汽水域まで幅広く生息し、最大1mを超える大型魚でもある。近年多くのアングラーが周年オカッパリ(岸釣り)やウェーディング(立ち込み)で熱心に狙っているが、圧倒的に釣れるのが船釣りだ。川崎の老舗船宿『つり幸』では、既に20年以上前からシーバス船を出している。現在はプリスポーニング(産卵前)の大型が釣れる可能性が高いと聞き出掛けた。

ルアーセレクトは“その場”の状況で!

『つり幸』のシーバス船は午前船(6:30~11:30)と午後船(12:30~17:00)そして通しの1日船と3通りのプランがある。12月6日(月)、午前便に乗るべく朝5時半に到着。『つり幸』スタッフが駐車場を指定してくれるのでありがたい。受け付けを済ませ釣り座を決めた。午前船は私を含め5人、定刻通り6時30分に出船した。舵を握るのは、シーバス船担当の村山克英(むらやま・かつひで)船長。シーバスを狙い続けて15年、頼れるナイスガイだ。
現在、好適なルアーは、メタルジグ(40~60g)、テイルスピンジグ、バイブレーションプラグ。この3種類があれば取りあえず何とかなる。水深の違いやポイントの特性等で使い分けるのだが、船長からピンポイントでアドバイスがあるので使い分けで迷うことはない。また、ルアーカラーも重要だ。これも基本はナチュラル~アピール系でそれぞれ用意できればベター。そして、ルアーセレクトは“その日”ではなく、刻々と変化する“その場”の状況に合わせチョイスするのが基本になる。

船長の村山克英さん
基本のルアー3種類
基本的なタックル

朝イチから入れ掛かり!

最初の釣り場は、新設された羽田空港第4滑走路から少し離れた所。朝イチから下げ潮が流れ、60gのメタルジグでセイゴ、フッコクラス(20~50㎝)が入れ掛かりになった。キャッチした2倍以上はバイトがあった感じ。一体どれだけの魚がこのエリアに群れているのか ― と魚影の濃さに驚かされた。また丸々と太った40㎝級のアジも2尾釣れた。60gのジグに食い付いてくるとは驚きだ。
船長からのアドバイス通り、ジグを少しキャストし水深20mの底まで沈めてから中速で“ただ巻き”するパターンが良かった。ジグのカラーも実績のあるパールボディのピンクバックなどアピール系で結果が出ていた。ちなみにジグのフックの装着場所は、「リアにトリプルフックかチラシバリを装着すればOK。青物とは違いフロントにアシストフックを着ける必要はない」と船長。

ジグに飛びついたアジ
フックの装着場所

80㎝を優に超える大型シーバスゲット!

7時半過ぎ、アタリが遠のいたのを機に東京湾を千葉県側へ横断、木更津沖へ移動した。今度は水深6~8mの広大なシャローエリア(浅い場所)が舞台。フィーディング(捕食活動)に入っているであろう大型を狙う作戦で360°全方位がポイントだ。ここではエンジンを停止、船をナチュラルドリフトで漂わせて狙った。シャローでは、快晴の日にはどうしても食いが渋くなる。しかし、この日は薄曇りに時々陽が射す程度の天候。しかも潮は良い具合に流れている好条件が重なった。「今度はテイルスピンジグを遠投してみて」と船長からアドバイスがあり、いっせいに同じルアーをキャストした。シャローの一発大物狙い! という釣り場だけに羽田沖とは一転、一気にバイトは激減した。しかし、釣り始めて15分後、ついにドラマは起こった。「デ、デカイッ!」と右舷胴の間(中央)の釣り人が大声を上げた。沖目でヒットしたので魚体は見えないが、尋常でない引きにスピニングリールのドラグが悲鳴を上げる。シーバスにジャンプやエラ洗いをさせないように竿先を水中に入れ、巧みなロッドワークで魚の向きを誘導しながら慎重に寄せて来た。船長もタモを持って釣り人の真横に陣取り準備万端。数分のファイトの末、上がってきたのは80㎝を優に超えるブリブリのプリスポーニングシーバス。釣り上げたのは、目黒区の松岡謙次さん。このサイズを落ち着いてランディングまで持ち込んだテクニックに船内拍手喝采だった。

出た!モンスター!!
これがヒットルアー
80㎝オーバーを釣った人には、船長から大物認定ステッカーが貰えるのだ!松岡さん見事ゲット!!

60㎝オーバーが連発!

村山船長、難なくゲット!
それにしてもこんなグッドコンディションのシーバスはなかなかお目に掛かれない。今の時期、シーバスは産卵の準備段階、ひたすら栄養を蓄えるために餌を荒食いする。“腹太スズキ”とも呼ばれ、真夏が旬のシーバスではるが、それなりの美味さがある。大物ゲットに興奮醒めやらぬ船上。同じエリアを小移動しながら50~60㎝級のヒットが続いた。そして、竿を出していた村山船長にも50㎝オーバーが釣れて思わずニンマリ。しかし、その後は日射しも強くなりシャローゲームは厳しくなってしまった。そこで、10時前に東京湾アクアラインを潜り袖ヶ浦沖へ移動した。ここは水深17m前後。「今度はジグで狙ってみて」と船長からアナウンス。アドバイス通り60gのメタルジグを少しキャストして底まで沈め、中速で“ただ巻き”すると一斉にヒットした。しかも60㎝オーバーのサイズが連発!またしても入れ掛かりになった。
その後、1時間程入れ掛かりを堪能した10時50分頃、“午前船”の釣りが終了。11時半過ぎに帰港した。

納得のサイズ!
ナイスサイズ!
どんなもんだ!

美味しく食べるための活〆方

キャッチ&リリースが当たり前と思われがちなシーバスだが、「食べるために釣る」人も少なくない。そこで、シーバスを美味しく食べるための活〆方を『つり幸』シーバス船の常連・中台博(なかだい・ひろし)さんにご教授頂いた。血抜きをすれば更に美味しさ倍増!

一転、4時過ぎまで船中ノーバイト

工場萌~
午後船にも釣り人が集まっていると聞き、引き続き私も乗船した。12時半に私を含め4人が乗船して出船。川崎沖の水深30m付近で魚探に反応が出た。早速ジグを沈めると常連の中台さんにタチウオがヒット。しかし、後が続かなかった。そして、午前中の出来事がまるで夢ではないかと思うような惨状が続いたのだ。午前中同様、船長は、あちらこちらのポイントをランガンしたが、何と4時過ぎの沖上がり直前まで、シーバスは船中ノーバイト。最後の最後に中台さんが30㎝クラスを2尾釣って終了となった。
午前中とは一転、散々な結果に首をひねる船長。しかし、釣れる時もあれば釣れない時もあるから釣りは面白いのだ。ただ、帰港途中に見た川崎工業地帯のイルミネーションの輝きがちょっと寂しく映ったのは私だけではなかったようだ。今後は産卵が終われば体力回復のためにシーバスはまた荒食いを始めるという。まだまだロングランで楽しめるシーバスフィッシング。是非チャレンジしてみては如何だろうか。

(鈴木 恭介)

今回利用した釣り船
神奈川県川崎『つり幸』
〒210-0864 神奈川県川崎市川崎区池上町9-12
TEL:044-266-3189(定休日:毎週木曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
つり幸ホームページ
出船データ
乗船料金/午前・午後船:6,000円(氷付き)/1日乗船料金9,000円
※女性・中学生以下の子供は料金半額!
午前船/6:30~11:30
午後船/12:30~17:00 ※1日船/6:30~17:00(途中帰港)
レンタルタックルあり:500円
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