庄治郎丸・神奈川県平塚港
2017.7.8号
待ってました! 相模湾にキハダマグロ!
ここ数年、夏になると関東の相模湾に来襲するキハダマグロの猛者たち。今年は黒潮の入りの遅れの影響か、なかなかいい情報が聞かれなかったが、6月末からガラっと海が変わり、待望の第一陣が回遊してきた。8月のコマセ解禁までルアーで狙う神奈川県平塚港の『庄治郎丸』では、6月最終週あたりから14~20㎏のグッドサイズを連発中。担当の1人、大堀耕史船長に現状とアドバイスを聞いてきた。
6月末のルアー船初日2日目に20㎏級含み連発!
最近は夏の相模湾といえば回遊魚。黒潮の接岸とともにキハダマグロをはじめとしてカツオ、シイラなどが湾に入り込み、高速で疾走する。一昔前だとマグロは小さいメジが若干、カツオもそれほど大きくない2㎏以下が大半。ワカシやイナダ、サバなどがメインターゲットだったことを考えると、ビックリするほどの変貌ぶりである。要因は温暖化など様々な条件によるだろうが、ともかく、強烈な引きを味わいたいファンにはうれしい限りと言えよう。
ただし、今季は到来が遅れ気味。毎年、いの一番に姿を現すソルトルアーのベーシックターゲットのシイラでさえ、6月中旬を過ぎても音沙汰なかった。ようやく海の変化が現れたのが6月下旬。まずはシイラが釣れ始め、月末に湾内に速くて澄んだ潮がグッと入ってきたことにより好転。これによって他の中深場釣りや浅場のLT五目は一時、大苦戦に陥ったのだが、その代償としてかキハダマグロなど回遊魚が湾内各所に見え始めた。
「やっと、回ってきましたね。シイラはちょろちょろ勝負になり始めていましたが、キハダマグロの気配が出てきたのは本当に25日過ぎの月末。そこで29日にルアー船の初出船をしたら、当たってくれました。早いうちから伊豆大島の先にいるよ、という情報は入っていたんで、いつ来るのかな~って待ってたんですヨ。でも、まだ本調子ではない感じ。ナブラもそんなに立っていないし、イワシボールなんかも見えません。現状では単発的なハネを見つけてすっ飛んでいくか、鳥の様子を見てキャストしてもらっています。もう少し夏の感じが出てくれば、もっと状況はよくなると思います」とのことだ。
長めのロッドでロングキャストがセオリー
タックルは標準的なものだが、基本的に上層の釣りになるのでキャスティングが重要なため、ロッドはキャスティング仕様の長めがよく7~8フィートクラスがおすすめだ。リールも当たり前の話だが、性能が良ければ良いだけ魚をランディングできる確率は高くなる。なお、リーダーに関しては各アングラーの自論があったりするので、庄治郎丸では特に定めていない。「まあ、100ポンド以上で1.5mから5mくらいの間で作っていただければ……1匹釣った後に、リーダー前部が擦れていて少しカットする必要が出た時なんかには、長い方がいいかもしれませんが、逆に長すぎると飛距離の問題にもなりますんで。アングラーさんの判断に任せています」と船長。
ルアーはサーフェスプラグ各種。ペンシルベイト、ポッパー、フローティングミノーなどを大小、カラー、シルエットなどにバリエーションを持たせて用意していこう。「ルアーにも当然、決まりはありません。各自でこれこそは! というものを持ってきてチャレンジしてください。ただ、ルアーを水面でガチャガチャ騒がせて、やる気のある魚を浮かせて釣るので、ジグだけはご遠慮してもらっています。まあ、ごくまれに例外はあるんですが、基本はサーフェスです」。
なお、至近距離のフックアウトでの身体ヒットや、他人のキャストルアーにヒットされる危険性があるので、頭を守る帽子(キャップなど)、目を守る偏光グラス類、上半身の長袖着用、フィッシンググローブ着用など、出来る限りの防御対策をして臨んでほしい。
アングラーと船長が一体になってチャレンジ!
釣り方の基本は、船長が群れを探して船を走らせ、発見し次第アングラーがルアーを投げ込んで魚をヒットさせる。一見単純で簡単そうではあるが、これがなかなかどうして、奥が深い。「シイラ船もそうですけど、ルアーのキャスト船は船長とお客さんの呼吸が合わないと、まずうまくいかない。私たちも指示を出すには出すんですが、それを聞いてからキャストしているようでは、ヒット率はなかなか上がりません」と船長は言う。
具体的には船の動きを知っておくこと。いきなり方向を変えてスピードアップしたら、魚のハネや何かを見つけてすっ飛んでいってる証拠。これがスピードダウンすれば目標近しで、自分で目視出来たら即キャスト。「ビギナーさんは、特にこれが遅れることが多いです。勝負は早いですから、ワンテンポのキャスト遅れは他の人に持ってかれるか、キャストポイントを逸するかです。大変なことではありますが、いつも気を配って待機していてほしいです」。
また、普通の探索クルージング状態でも、船のトップ近くにいるアングラーが急にキャストし始めることがある。これはアングラーが何か変化を見つけてトライしたもの。自分自身も即、臨戦態勢を整えて、ルアーが飛んでいっている方向や距離を把握して、キャストしよう。
船もそちらの方向へ向くことが多い。「トップにいる人はベテランが多く、目も利くんですヨ。船の動向とともに、気を配っていてください。もちろん、自分自身でそういう行為を出来るよう、よく見ていることも大事です」と船長。まずは魚探しが先決だからである。
最後にルアー選び、そしてリトリーブ方法だが、これは把握できないと船長は言う。ものすごくたくさん釣れれば、ルアーはある程度の傾向は出てくるかもしれない。しかし、統計が取れるほどいっぱい釣れない。リトリーブも基本的にはポイントを越えて着水させてから、とにかくファストリトリーブなんだが、それじゃ食わない時もある。変な話、出たとこ勝負というか、現場を見てマッチパターンを自分で想像して攻めるしかない。
逆にだから、ハマってしまった時がビンゴ的な快感なのかもしれない。しかもビッグファイトになること必至だから、アドレナリンが想像以上に出て、さらに快感が増す……やはりこの釣り、一度ハマったら抜け出せそうにない。やる気のある人は是非、チャレンジを。