深田家・神奈川県佐島港
2017.8.8号
夏にお手軽! 佐島湾のマダコ&根魚リレー
今年は梅雨が明けても雨の日が多くなっているが、その分、蒸し蒸しして快適とはいえない。それでも夏だから、カツオなど回遊魚をガンガンやりたいと思う人もいるだろうが、反面、出来ればあまり激しくなく、汗をかかずサラリと楽しみたいと言う人もいる。そんな人にもってこいなのが、神奈川県佐島港の『深田家』が出しているマダコ&イワシ餌の根魚五目リレー。ノンビリのほほんと釣れて、なおかつ美味しい獲物。高橋健治船長に楽しみ方を聞いてみた。
数より質。バラエティに富んだ高級魚が魅力
「うちは2隻体制ですが、夏はLT五目などのほか、1隻を昨年まではヒラメ専門にしていたんです。
ただ、ヒラメ一本だとなかなか釣果が伸びないんで、今年は5月から朝のうちマダコ釣りを加えて、さらに後半はイワシ餌だけどヒラメ1本ではなく、広く根魚を狙うようにしました。お客さんもこのパターン、結構楽しいようで、喜んでもらっています」とは船長。
マダコは佐島の名物でもあり、味でも定評あるのでうれしい限り。どうしてもオデコが出やすい釣りだが、今季は8割がたのお客さんがゲットできていると言う。後半の五目もなかなか捨てがたく、もっかヒラメ以外にカサゴ、アカハタやキジハタなどハタ類が当たる。カサゴはイワシ餌を使うので比較的サイズが大きいのもうれしい。
「午前6時出船で午後1時上がりですから、一番暑い昼過ぎを回避できるので、グロッギーになることはないです。釣り時間の割合は大体マダコ4に対し五目6という感じですが、状況によって変えています」。
この釣り、両種ともそれほど入れ食いになるようなことはないが、良型がポツポツ上がってくるので飽きることはない。
しかも、釣る動作がともに激しくないので、夏の景色を見ながらノンビリ釣ることになり、体力の消耗も比較的少なく、汗だくとは程遠いので楽チンだ。
マダコはテンヤで海底の気配を感じられればチャンスあり!
前半のマダコ狙いは専用道具を無料でレンタルできるので便利。写真を参照だが、枠に巻かれた太いビシ糸に、タコテンヤが装着されたもの。これにカニ餌が付く。ただ、根掛かりなどでテンヤを損失してしまうとテンヤ料金800円が掛かるし、続けて釣る場合にはテンヤは貸し出すが餌のカニ代300円が掛かる。
「釣っていてテンヤに違和感を覚えるのはマダコが乗った時か、根掛かり。海底に引っ掛かってしまったなと思ったら、無理に引っ張らず船長に声を掛けてくだされば、船を回して回収します。無駄なお金を支払わなくて済みますヨ」とのことだ。
釣り方は図を参照だが、体力を使わず、とてものんびりしている釣りだ。一番のカギはテンヤが底に付いているか確認でき、なおかつ、どんな地形を釣っているかが把握できること。
「よく、ビギナーの方には目をつぶって小突いてみてください……と教えるんです。そうすると、不思議とテンヤがどんな状態か分かるようになる。それで、少し引っ掛かったような違和感を感じたら、底から剥がす感じで大アワセしてください」
注意したいのは、夏ダコで狙う水深が5mなど、ほぼ10m以下のこと。タコが乗って手繰り出すと、すぐ水面まできてしまう。実は水面でポロッと外れることが多いのだ。
取り込むには、そのまま抜き上げるか、玉網を使うかだが、乗った時点でどっちか決めておかないと、失敗することが多いらしい。「水面に来たら意外と大型だったので、そこで初めて『玉網くださ~い』なんてやってるとバレます」。ある程度、合わせた時の重量感で分かるから、判断は的確にしてほしい。
根魚五目はイワシ餌でタナを上めに!
後半の根魚五目も、タナをまめに確認してさえいれば、後は手持ちザオでアタリを待っている、静かな釣り。こちらも掛かった時以外はそう体力は使わずノホホンとして楽しい。
イワシ餌と根魚という組み合わせは、ご当地名物のイワシメバルを想像するが、タックルはメバル釣りのように長くて軟らかい竿では、大きめのハタ類やヒラメが来るので不向き。
ライト五目やライトヒラメなど、使用オモリの30号にあった若干張りのあるものが良く、長さも2m前後の定番サイズがベストだが、1.6mクラスの短ザオでもいい(図参照)。 仕掛けも同様でイワシメバル用の繊細なハリス1号仕様などは、あまりお勧めできない。
「胴突き2本バリなんですが、うちではヒラメ対策に『東北ヒラメ』というハリス4号のものを常備しています。まあ、ハリスは2号以上なら大丈夫だと思うので、購入する人はそれを目安にしてください。ちなみにハリはチヌ5号です」と船長。
餌は佐島ならではのイワシが基本だが、夏場は高水温ゆえ、ごくたまに入荷出来ない時があり、その時はサバ切り身餌。ここではメインのイワシの釣り方を紹介しておく。
「釣り方は底をキープのトントンオモリが一応の基本で、タナ取りがキーポイント。ただし、ひとつだけ、名手や常連に共通点があります。イワシ餌の場合、餌がフワフワ動いているわけですよね。根魚たちはどちらかというと目が上めに付いていて、上層を意識しているんです。だから、いい釣果を上げる人、大きいのを釣る人はタナを極力、上めに設定しています。ここは大事なところです」。
まあ、活性が低ければ底ベタを狙うことになるわけだが、通常の水況なら上層を意識したタナ取りを行うべし。また、この釣りはどちらかというと、向こうアワセ気味の釣り。当たったら竿のテンションを緩めず水平をキープしておき、本格的な食い込みでゆっくり竿を起こすように軽くアワセを入れる。間違っても初動アタリ=即アワセはしないこと。すっぽ抜けるだけだ。
このリレー船の2ジャンルは子どもでも十分できる釣り。すくなくとも9月まではこのパターンで出船するとのことだから、お父さんは夏休みの絵日記宿題のために、ひと肌脱いで出かけてはいかが。美味しい酒の肴にもなりますしネ!