野毛屋釣船店・神奈川県金沢八景
2017.10.22号
キングofイカ!東京湾のアオリイカ開幕好調!
絶品の食味でイカの王様と言われるアオリイカの好シーズンが到来だ。最近、船のアオリイカ船は激減し、現在、東京湾では唯一の餌木アオリ乗合船となっているのが神奈川県金沢八景「野毛屋釣船店」。10月9日の初漁以来、サイズは0.3~0.7kgと例年より若干小振りだが、船中40杯超を数度記録するなど、今年も好スタート。そこで担当船長の“東京湾のカリスマ”黒川勇治船長に今期の展望をインタビュー。
東京湾の秋の数釣り期は高水温ながら順調スタート
日本古来の疑似餌「餌木」で狙うためルアーファンにも馴染みやすく、また、日本全国の沿岸に生息するため狙いやすくもあり、エギングや船釣りでは人気が全国区のアオリイカ。東京湾や相模湾でも一時期人気になったが、船内で釣果が偏り過ぎるなど乗合船での難しい点もあったため、次々と船宿が撤退した。そんな中で、漁師伝統の短竿シャクリに比べて万人に釣りやすい長竿釣法を編み出し、釣果の偏り緩和させるのに成功したのが、東京湾船釣りのパイオニアとも称される神奈川県金沢八景「野毛屋釣船店」だ。10月9日の初漁で船中41杯をゲットし、以後は新子で波がありながら14日にも船中42杯と、まずは順調な滑り出し。
「昨年から比べると釣果はイマイチ。昨年の初漁は船中で80杯はいったからね。水温が高くて固まっていないんですよ。いつもの竹岡沖辺りをやってもダメなので、少しでも水温が低い、浅めの第2海堡付近をやったら乗った。でも、相対的に高い水温だから固まる度合いが悪く、ムラがある。予想として11月に入ればまとまり出して、竹岡沖辺りでグッと数が上がってくると思いますね」と話すのは、アオリ長竿釣法は無論、ウイリー釣法の生みの親でもある“カリスマ”黒川勇治船長だ。 アオリイカは一応、一年中狙えるが、船からの釣期は秋から初夏。産卵期が初夏から夏で、新しく生まれた新子が育ってきた秋に狙い始め、産卵に寄ってきた大型を春に狙って終了。そしてまた新子の育ちを待つ……というパターンだ。だからやんちゃな小型がウヨウヨいる秋は数釣りの季節と言われ、水温がグッと落ち込む年明け前までは、好釣果が期待できるハイシーズンだ。
楽チン!長竿アオリイカ発祥の野毛屋釣船店
船釣りのアオリイカと言えば短ザオで、古くは手バネ、現在は小型両軸リールというのが定番だった。それを長竿でやることを考え出したのが、勇治船長だ。最初は初心者対策。餌木が海中で踊るには、短ザオを下から上へ腕を突き上げる感じでシャキッとやらねばならない。それも終日。慣れないとこの作業はきつい。結局、初心者や女性はうまくいかず、オデコ……そんな場面が良くあったという。
「それで、竿が長ければ、手元をちょこっと動かすだけで、竿先が動く幅は大きいと、考えたわけ。餌木は軽い仕掛けだから、ライトなメバル竿の2.4~2.7mなんかどうかと。実際にやってみたら、これが実に上手くいったんだよ」と船長。今では船宿で専用竿を作ってもいるし、長い専用竿を作ってくれているメーカーもある。船宿に問い合わせれば、親切に説明してくれるので安心だ。
仕掛けは図の通り昔から変わったところはなし。シンプルそのものなのは、短竿仕様と同じだ。注意したいのは、道糸のPEの太さ。餌木の動きに関わってくるので、2~3号を守ってほしいそうだ。肝心の餌木は色さえ派手系と暗色系を何色かそろえればよく、船長もあまり拘りはないらしいが「ただ、エギ王Kは結構乗るみたいだなア」とのことだ。
楽になったシャクリを終日、飽きずに実践しよう
釣り方はシンプルだ。守ることは2つ。指示ダナを守ること、そして、終日シャクリ続けること。指示ダナは海面からのメーター指示で、これはしっかり守ること。これを勝手に変えると餌木の泳層がバラバラになり、何にでも興味を持つイカなのに、注意力散漫になって寄りが悪くなる。 そして、シャクリ。餌木の動きに直結するので、これがかなり重要になんってくる。基本的には3秒に1回、終日シャクり続けること。 「竿先が動く幅を1mにして、なおかつシャキッとシャクれば、餌木は理想的な動きをする。初心者にもそれを実現してもらうために、長竿を考え出したんです。短竿じゃ、えらくキツいけど、長サオならリールを持つ手を支点にして、竿尻を肘に掛け、肘を押すようにすると、竿先は1mシャキッと動く。これで海中の餌木はスッと動いてスッと止まる。ゆるゆるっと動いて、フワ~っと止まるではありません。道糸を2~3号と太めにしてもらっているのも、しっかりシャクリを伝えるためです」と船長。長竿ならこれが誰でもできる。しかも疲れが違う。今ではベテランを含め、ほぼ全員が長竿派だ。
ちなみにアタリ=乗りはしゃくった時に竿が止まる感じでズドンとくる。そうしたらその竿の角度を保ったまま、一定速度でリーリングしてこよう。「初心者には乗ってから取り込みまではサポートするから安心して。今は若い助手がいるので、老いた私、勇治がエッサホイサとやらなくても、飛んで行きますからネ」とのことだ。 最後に一言。アオリイカ船はテンヤマダイ船と1~2週間くらいの単位で交互で出船しており、潮が小さい時にアオリイカ、上げの中潮から大潮などにはマダイで出ている。船長が状況で出船日を指定するから、HPなどをお見逃しなく。ちなみに一つテンヤとタイラバで狙うマダイ船は17日、船宿記録となる8.9kgの超ド級を仕留めてきた。こちらも状況は良く、初心者歓迎だからオススメだ。なお、要確認だが、アオリイカは10月25日に再開予定になっている。