松陽丸・東京都鹿浜橋
2017.11.08号
全く衰えず! 東京湾竹岡沖のカワハギ!
晩夏から始まった東京湾竹岡沖のカワハギ大フィーバーは衰えを知らず、船団がひしめいていながら、まだまだ30匹、40匹と好釣果が続出だ。しかも、いまだに30㎝以上の尺物が頻繁に交じってくると言うのだから驚き。都心の荒川筋から出船している東京都鹿浜橋の『松陽丸』も竹岡沖のカワハギ軍団に仲間入りして快調持続。カワハギは水温の低下とともにパターンが変わる奥深い釣りだが、もっかのベストはどうなのか? 間門(まかど)陽介船長に聞いてみた。
竹岡沖がこんなに高レベルで釣れ続くのは久しぶり!
「まだ水深10~15、16mをメインやっていますからねえ。20mラインでさえたまに行くくらいですよ。数も衰えないし、尺物も、まだ結構いる。まあ、久々の当たり年といえますか」と話すのは間門船長。例年だとこの時期、30mラインをやっている場合もあるというから、今季がいかに浅場で釣れ続いているかが分かる。
ただ、大型交じりで釣れている、この10~15m前後という浅場は陸地の際ではなく、少し沖めのカケ上がりや馬の背のような浅場だから、何か状況が変わればストンと深めに移動する可能性はある。「そうなると魚はより固まるから、もしかすると今以上に数が出る可能性もあるんでは?」と船長も今期の動向に興味津々だ。
もっかの状況からすると、西風系が吹いて冷え込むと少し群れが固まり、一大船団を形成するような感じになるが、それが少し安定すると、また散らばるのか? 一隻規模くらいの小さめの群れみたいになるので、各船、転々と探しながら釣っている。しかし、それでも現状の好釣果が続くのだから、やはり今後はさらに楽しみと言わざるを得ないだろう。
今ならタックルにこだわらなくても釣りになる!
現代のカワハギ釣りというと、好釣するのはバリバリのハイスペック・タックルでガッツリ装備を整えているエキスパートというイメージ。確かに、竿頭になるのはそんな強者たちなのだが、今季に限ってはビギナークラスでも20匹、30匹という例年の竿頭ランクの成績を達成できる可能瀬は大いにある。ただ、問題は前述の“ハイスペック”ということになるが、船長は「タックルの中で竿は確かに大事。ただ、今ならうちで500円で貸している竿でも大丈夫。貸し竿のビギナーさんは結構いるんですが、いいときにはツ抜け(10匹)は楽勝、一荷釣りや、尺物も獲ってますから」という。これから入門という人はまずは貸し竿で試すのもリーズナブルで有意義だ。
ただ、「これからしっかり始める予定なので、一応マイタックルを揃えたい」という人なら、まずは各メーカーの廉価版タイプはおすすめだ。値段で言うなら1万台後半から2万円ちょっとのもの。このクラスはカワハギ竿では下位にランクされるものの、一般的レベルで考えると、かなり出来がいい。仕掛けを動かす竿操作やアタリを出す穂先など、カワハギ釣りの基本ノウハウをしっかり覚えるのに不足はない。逆に上位タイプは高性能なのだが、調子などが、かなり特化された場合が多く、釣り方に傾向がでてきたベテランこそ、自分好みのものがあって重宝するが、ビギナークラスには理解できない場合が多い。まずは廉価版でしっかりカワハギ総論を覚え、次に自分好みのハイスペックを選ぶのが、無駄にならない選択ではないだろうか。
なお、船長は「タックルも非常に大事ですが、もしお金をかけるなら、仕掛け類も重要視したほうがいいですよ。まずはハリ。ハゲ系や丸セイゴ系など形状によってかなり食いや掛かりが違いますから数種持っていた方がいい。カワハギは口が硬いですから、ハリ先が鈍ることが多い。だから本数も必要。それにオモリ。昔から赤色に塗ったり舵付きなどがあり、現在もカラーバリエーションや形状は多種。ベテラン勢からも、寄りが違ってくると効果が認められていますので、数種は持っていた方が重宝する。最近流行りのスカートなど集魚アイテムもバカにできません」とのこと。これは最初から莫大な量をそろえると言うのではなく、徐々に充実させていきましょう、という意味だ。その点で最優先は、やはり魚との接点であるハリだと思うが。
浅場の大型バラシに注意!
ところで高いとはいえ、水温的には少しずつ落ちてきているので、釣り方のパターンなど少し変わってきたところはあるのだろうか? 「カワハギ釣りばかりは船長が“こうやってください!”とはアドバイス出来ないですが、食い方の傾向などは分かります。水深の浅さを述べた通り、カワハギはまだ元気一杯ですね。ポイントを転々としますが、いればちゃんと食ってくるので難しくはないです。いても動きが悪かったり、口を使わないという状態ではないですから」と船長。自分の思い描いた状況判断を基に、釣り方の基本の聞き釣り、タタキ釣り、タルマセ釣り、宙釣りをうまく組み合わせて、その日に会ったパターを見つけていこう。ちなみに基本釣法のイラストは、釣りビジョンHPの「釣船予約」トップページにある特集「カワハギ」に掲載されているのでご参考に。
なお、船長がひとつだけアドバイス。「まだまだ尺を超える大型が頻繁に掛かりますが、ビギナーさんのバラシも多く見かけます。実は浅場の大型が一番バラしやすい。浅いからいきなり強い引きが襲うので、ビギナーさんは焦って後手に回ってしまう」という。バラさないコツは、竿を活かすこと。アタリを出して聞き上げてハリ掛かりさせた後、大型だとビックリするほどの引きが襲う。ご存知の人も多いと思うが、カワハギはカンカンッ! と意外と引きが強いのだ。
この時に、聞き上げて掛けたときの竿の角度(時計の午前10時、あるいは午後2時)を保ち、引きを竿の弾力でかわす。ビギナーは掛かって巻き取るときに、鋭い引きに合わせてか、竿先がどんどん海面へ下がっていってしまう人が多い。魚が中型クラスならいいが、尺前後の大型でこの竿下げ状態だと、元来胴が硬いカワハギ竿だけに、俗にいう“のされた”状態になり、さらなる引きを弾力でかわせず、結局ハリス切れやハリ折れ、ハリ伸ばされにつながってしまうわけだ。なお、リールも強い引きが襲ったときは巻かないこと。 浅場の尺級ヒットはテクニカルではあるが、釣りとしてはいきなり引きが襲い、硬い竿にガンガンくるのため、スリル満点で楽しいことこの上ない。このチャンスにビギナーもぜひ、頑張って尺物を連発してほしい。