釣りビジョン

2011.12.15号

大内丸・茨城県那珂湊港
茨城県沖・ヒラメ“全面解禁”でシーズン本番!

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12月1日茨城県沖のヒラメが“全面解禁”(※一部禁漁区を除く)になった。今シーズンの那珂湊沖はヒラメの餌(ベイト)になるイワシの群れが非常に濃く、「魚探にも上から下までびっしり反応が出ている」と、那珂湊港『大内丸』の大内森行船長。潮温の低下と共に南下してくるヒラメがそのベイトを放っておくはずがない。しかし、その期待感とは裏腹に1日から海はシケ模様、底荒れによる喰い渋りを懸念しながら10日に出掛けた。

気温は何と-2℃!

12月1~3日は太平洋上に出現した3つの低気圧の影響で大シケ。4日から7日は出船出来たものの底荒れが激しく、航程30分の沖まで潮に濁りが入ってしまった。そのため釣果も船中0~1尾と厳しい状況が続いた。その後、8、9日とナギが続けば、灘(岸寄り)の潮もクリアになり一気に喰いも活発化する可能性はあったが、残念ながら8日夜~9日にかけて再びシケ模様となった。しかし、沖釣りでは前日まで悪くても翌日は入れ喰いといった事もある。期待と不安を胸に午前5時、那珂湊港へ到着した。海からは靄が立ち、幻想的な風景が広がっていた。車から降りるとキーンと冷たい空気。気温は何と-2℃。船には既に明かりが灯り、10人の釣り人が準備をしていた。

幻想的な風景が広がる那珂湊港
左から大船長、若船長、上乗りの3人

10人の仕立て船に同乗、大竹沖へ

この日は仕立て船での取材。同じ会社に勤める10人がメンバー。「今日は貸し竿の初心者が5人いるので、型は小さめですが比較的数が出るポイントを攻めてみましょう」と、船長は南東へ船を走らせた。最初のポイントは、大竹沖の水深35m。まずは漁礁付近を狙った。若船長の大内信秀さんからマイワシが配られ、投入の合図。『大内丸』のヒラメ釣りは、基本的に横流し。しかし、1投目から3人がオマツリ。それを見た船長が、「沖釣り初めての人もいるみたいだから横流しは厳しいですね」と言いながら、スパンカーを立てて通常流しの釣りへ変更した。

最初の釣り場は35m
美しい朝日が出迎えてくれた

ヒラメ、アイナメ連続ヒット!

その状況を見て、上乗りの大畠一夫さんと若船長は、“お土産”確保のために両舷ミヨシ(船首)で竿を出した。すると、大畠さんの竿先に“本命”のアタリが来た。糸を少しずつ送り、合わせのタイミングを伺う。そして、竿先がクッと入った瞬間、合わせを入れた。「小さいよ。たぶん500~600g」と言いながら船中第1号を釣り上げた。「今日は前アタリが小さいね。これは初心者泣かせの難しい状況かもしれません」と大畠さん。次の投入でもヒットさせ、「イナダかな?」。ヒラメとは違う豪快な引きだ。上がって来たのは40cm級のアイナメ。「まだまだ小さいね、50cm超えの渡りアイナメも良く交ざりますよ」と大畠さん。次の流しでは左舷ミヨシの若船長が3kg級のサンパク(イナダとワラサの中間)を釣り上げた。

ファーストヒットのヒラメ
続いてアイナメ
丸々太ったサンパク

お鍋にピッタリ!“高級ゲスト”2kgのソイ登場!

午前9時半、海が静かになり、船酔いでダウンしていた人が、キャビンから起きて来て右舷大ドモ(船尾)から2番目で竿を出した。すると、なんと1投目にヒット。「えっ、マジ!今までずっと竿出して釣れてないのに1投目から来ちゃったの?」。そんな周りの声の中、ニコニコ顔でリールを巻いて来たが、残り5mで痛恨のバラシ。「間違いなくヒラメだった」としきりに悔しがる。しかし、その数投後、再びヒット。右舷胴の間の人とダブルヒットで上がって来たのは、2kgはあろうかという丸々太ったソイだった。胴の間の人はバラしてしまった。今まで寝ていた人に釣れてしまう-沖釣りではよくある事だが…。

2kg級のソイ
本命ゲット

初めての船釣り、人生初ヒラメに感動!

「はい、移動しま~す。ちょっと灘寄りに行きましょう」。周囲でヒラメを狙っている各船も喰いは悪いらしく、右往左往していた。そんな中、1kg超えが何尾か上がったと仲間の船からの情報で灘寄りの水深25mラインへ移動した。その直後、右舷大ドモ(船尾)で柔らかめのショートロッドが綺麗に弧を描いた。上がって来たのは1kg級のヒラメ。この人、漁礁周りで1度ヒラメらしきアタリを逃していただけに嬉しさも人一倍だったはず。間もなく、左舷大ドモでも何やら大はしゃぎ。「おー、スッゲー。いいな~、俺もまだヒラメ釣ったことないのに」。どうやらこの日が沖釣り初めての増山康介さんがヒラメを釣り上げたらしい。慌てて駆けつけるとこちらも堂々の1kgクラス。ヒラメの歯が怖いらしく、おっかなビックリでヒラメを持ち上げて記念撮影。

まずは右舷大ドモから!
人生初のヒラメに感動!
右舷胴の間でもヒット!

これぞ正しくナギ倒れ!?

しかし、時合もここまで。その後は、小移動の度にアタリこそあるものの、イワシの尻ビレが齧られる程度。確認するとイワシについた歯型も小さい。おそらく30cm未満のソゲ(小型ヒラメの別称)がしゃぶっているのだろう。スパンカーを立てて風を受け、0.2~0.3ノット流して釣果を出してきた船長だったが、午前11時には無風で潮の流れも皆無になり、お手上げ状態。まさに“ナギ倒れ”になってしまった。
右舷ミヨシから2番目の人がワカシをヒットさせたところで12時の沖上がりを迎えた。結局、竿頭が2尾でオデコ(0尾)が5人(船酔い2人)だったが、12日には、鹿島港から出た船が2~8尾の好成績を上げており、条件さえ良ければ十分に期待出来るはずだ。

ワカシをゲット!
仕掛け図

喰い渋りの原因は明白!大型ヒラメの本番はこれから!

「まだ季節が若いみたいですね。潮温が14℃と例年より1カ月近く遅れている感じですね。11~12℃まで落ちるとヒラメの本番が始まります」と船長。那珂湊港前の水深15~20mにはビッシリとイワシの群れが魚探に映っていた。この群れが沖へ出て行けばヒラメ釣りも本番になる。『大内丸』では、2月一杯、ヒラメ船を出す予定。

翌日に上がった2kgUP
サンパクとマトウダイは定番のゲスト

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
茨城県那珂湊『大内丸』
〒311-1221 茨城県ひたちなか市湊本町22-7
TEL: 090-3342-5443
詳細情報(釣りビジョン)
大内丸ホームページ
出船データ
釣り物:ヒラメ
午前5時集合・5時半出船・12時沖上がり
料金:12000円(餌・氷付)
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