仁徳丸・茨城県波崎港
千葉県・犬吠埼沖でホウボウ開幕!
餌釣り、ジギングどちらでもOK!
利根川河口沖一帯でのホウボウ釣りは、今ではすっかり一般的な釣り物となっているが、実はここ4、5年の間に“メジャー”となったまだ新しい釣り物だ。そのため、現在でもその釣り方は年々進化を遂げている。餌釣りでは胴突き3~6本バリ仕掛けにサバの切り身が主流だが、ジギングやタイラバで狙う釣り方もあり、特に今年は底物がいるタナを適確に狙い打ちできるスロージギングで狙う釣り人も増えて来ている。午前5時、波崎港『仁徳丸』船着き場には私を含めた餌釣り4人、スロージギング4人の合計8人が集合した。
釣り場は犬吠埼沖、航程40分
午前5時半、定刻に河岸払い。利根川下流を下ると、右手に銚子漁港の巻き網船団の煌々と光る水銀灯が見えた。犬吠埼沖までは航程40分、釣り場に着くまで綺麗に掃除の行き届いたキャビンでゆっくりと横になった。午前6時15分、船長から準備を促すアナウンスで目覚めた。キャビンから出ると思ったより風も波もある。予報では午後から風が吹いてくるはずだったのだが、既に波は2mまで上がり、10m程の北東風が吹いていた。釣り座は右舷大ドモ(船尾)から胴の間(中央)まで餌釣りの3人が並び、そして両舷ミヨシ(船首)、2番目にはスロージギングの4人が並んだ。
胴突きはサバ皮オーロラ6本バリ、ジグは100~160g
午前6時20分、投入のブザーが鳴った。「はい、それではやってみましょう。水深34m」。合図が出ると同時にジグや胴突き仕掛けが投入された。餌釣りを得意とする『仁徳丸』では船内で胴突き仕掛けを販売している。北海道のソウハチガレイを狙う仕掛けを代用しており、枝バリ間が40cmとメバル等を狙う胴突き仕掛けより狭いのが特徴。ホウボウは底を這っているイメージだが、喰いが立つと一番上のハリまで喰いついて来ると言うから驚きだ。オモリは通常80号を使うが、状況によっては50号も使用するので準備しておこう。スロージギングで狙う場合、様々な潮の流れに対応できるようにスロージギング用のジグ100~160gを用意しておこう。また、フックによりスライド幅が変化するため大小数種類のフックを用意しておくのが無難だ。ファーストヒットはイナダのダブル!
1流し目が始まって5分が経過した頃、右舷ミヨシでスロージギングをしていた石毛さんが叫んだ。「よっしゃー!」。慌てて駆けつけるとオレンジ色に染まった朝焼けをバックに竿が胴から曲がり美しく弧を描いていた。ホウボウだと信じて上げて来ると、海面下には青白い魚影が2尾。正体はイナダ。フロントフックとリアフックに1尾ずつ掛かって2尾掛けを達成。“本命”ではないが、幸先の良いスタート。そしてこの流しではイナダをもう1尾追加して移動となった。
2流し目に餌釣りで“本命”ダブル!
ホウボウの餌釣り、少し難しいイメージを持つかもしれないが、実は非常に簡単だ。6本全てのハリにサバの切り身をチョン掛けにして投入。そして、着底したらオモリトントンの状態をキープ、あとは置き竿でもOK。注意する事は、水深が変化する場所ではマメに底ダチを取り直す事だけ。難しい誘いや合わせは全く必要ない。そして、2流し目の合図が出て間もなくの事だった。餌釣りをしていた胴の間の人の竿にアタリが来た。ツンツン、ツンツン、ドドドド。竿が大きく叩かれた。ゆっくりと巻き上げてくると、海面下に朱色の魚体が見え、35cmのホウボウがネットイン。そして、その横ではムシガレイが上がった。“本命”船中第1号の撮影をしていると、今度は大ドモで巻き上げを開始。魚の引きから見てこちらも“本命”の様子。「よいしょ~」。一発で豪快に抜き上げられたのは30cm級と35cm級のホウボウのダブルだった。
おっと、“オットちゃん”登場!?
その後、1尾ずつ追釣され、気が付けば餌釣りの3人は全員“本命”を仕留めていた。午前7時半現在、大ドモの釣り人がTOPで3尾。しかし、魚探反応は出ているのだが、船長が思い描くようなアタリが出ない。どうやら上潮は澄んでいるのだが、海底付近の潮はここ数日のシケの影響で濁り、底荒れしている様子。「こういったチョン、チョン、チョンと3つ高い山の反応が出る時にはホウボウは喰ってくる事が多いんだけどね、今日はダメだね」。船長も反応を見つけては移動を繰り返していた。すると、海面からひょこっと黒くて丸い“物体”が顔を出した。「オットセイがきたよー」と船長も撮影。私は人生初めての光景に目を見張った。まるで水族館にいるみたいだ。そこで胴突き仕掛けに掛かったサバを投げてやると元気に追いかけていった。この時期、北から潮温の低下とともにオットセイの群れが下ってくる事も良くあるのだとか。思わず釣りをしていたのを忘れオットセイに癒された瞬間だった。
スロージギングで連発!ヒラメも浮上
しかし、天候は一向に回復せず、北東の風は少しずつ強さを増していく。午前9時半、「あと2カ所様子を見たら上がりましょう」。船長も仕方なく早上がりを決断した。私もここから餌釣り用の道具を置き竿で出した。午前9時40分、沈黙を破ったのはこれまで25cmの小型のホウボウのみだった鈴木洋隆さん。「底中心に探ってたら来ましたよ」。と本人は間違いなく“本命”と確信しているようだ。そして、上がって来たのは35cmのホウボウ、その後、40cm、30cmと3連続でホウボウを釣り上げ、アッと言う間にトップへ躍り出た。撮影を終え、ほっとしていると「置き竿に当たってるよ~」。船長からのアナウンスに慌てて戻ると、竿がビョンビョンお辞儀をしていた。もし、“本命”なら貴重な1尾、慎重に巻き上げを開始。途中の引き味からしてサバじゃないのかなと半信半疑で上げて来たが、海面に姿を現したのは正真正銘のホウボウだった。そして、最後に鈴木さんが30cm級のヒラメを釣り上げ、10時過ぎ早上がりになった。
底荒れが回復すれば30尾超えも夢ではない!
この日の竿頭はスロージギングで最後追い込みをかけた鈴木洋隆さんの4尾、ジギング組では、“本命”オデコが3人出てしまったが餌釣りは4人とも型を見ることが出来た。実は今回の取材日前後は、太平洋上を通過した低気圧によりシケ模様が続き、底荒れ必至の厳しい状況だった。しかし、これから春に向かいナギが増え、底荒れの可能性は減っていく。2月から少しずつ釣果が上向き、長くて5月まで狙える利根川河口沖一帯のホウボウ釣り、今回は特別ゲストにオットセイが登場してくれたが、釣りのゲストはマトウダイ、マアジ、サバ、ムシガレイ、イナダと多彩。餌、スロージギング共に狙えるホウボウ釣り、是非出掛けてみて頂きたい。
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
---|
茨城県波崎港『仁徳丸』 〒314-0408 茨城県神栖市波崎8573-5 TEL:0479-44-3651 詳細情報(釣りビジョン) 仁徳丸ホームページ |
出船データ |
(料金)ホウボウ船=10000円(氷付・餌別)予約乗合 午前5時集合、5時30分出船12時沖上がり |