小倉丸・千葉県千田港
遂に本格スタート!千葉県・南房、千倉沖のヤリイカ釣り
“ヤリの塩辛”は釣り人の特権!
午前5時45分、『小倉丸』の待合所に到着すると、船長と女将さん、それに3人の常連客がイカの塩辛造りの話で盛り上がっていた。中でも、ヤリイカの身とスルメイカのワタで造る塩辛は絶品で、やはり“釣り人の特権”と言える一品である。私も20年程前、小倉眞船長自ら包丁を握って造ってくれたヤリイカの塩辛に感動した記憶が今でも鮮明に残っている。そして今のスルメイカは厚みがあって柔らかく、キモがパンパンだと言うのだから、「スルメイカも交じって欲しい」と願いを込めて準備を急いだ。
千倉沖のポイントまで凡そ15分の至近距離
午前6時10分、日の出と同時にモヤイが解かれ河岸払い。この日は私を含めて4人。左舷に3人、右舷に1人。私は左舷胴の間(中央)に入った。4人には贅沢過ぎる大型船は、穏やかな海上を真沖に向かってゆっくりと走り出した-と、思っていたら間もなく旋回して魚探反応を探している。時間にして凡そ15分。振り返ればまだ千倉の町並みと千田港の目の前、ヤリイカの釣り場としては最も至近距離と言ってもいい。こんなに近いヤリイカ釣り場は初めての事だ。「いいですよ、140m。中層に(魚探)反応があるから120mくらいで止めてみて」と船長。120号のオモリを投げ入れると11cmのプラヅノが勢いよく飛び出して行く。サバの邪魔が少ないという事で私はブランコ仕掛けを選択。『探見丸』を見ると110mから130m付近に反応がある。船長の指示ダナ120mで止め、5m間隔で仕掛けを下ろして行く。しかし、イカの触りは無く着底。高速で20m程巻き上げ、もう一度中層の反応に仕掛けをぶつけてみるのだがアタリも触りも無い。「右の人が“スルメ”を4点掛けしたよ」船長の言葉で駆けつけてみると全長50cmはあろうかというジャンボスルメイカが4尾足元の樽に泳いでいた。こちらは隣町の館山から通う小高さん。実はこの日最も安定して釣果を伸ばしたのがこの人だった。
絶妙!イカが“触る間”を作る
小高さんは、小さくソフトなリズムで30cmずつ小刻みにタナを探っている。バラシ防止策として小倉船長も推奨する30cmのクッションゴムを介している。ブランコ仕掛けのツノは移動距離が少ないながらもフワリフワリと上下に揺れているイメージがある。これを3回繰り返すと約1m。そこでしばし止めて見せる。触りを読み取るのは大抵この瞬間で、イカが“触る間”を作っている。決して竿をシャクるわけではなさそうだ。「なる程!」と自席に戻り見様見真似で海底から探ってみると、止めた竿先に違和感。そのタナで少し止めて追いノリを待つがその後が続かない。今日の“初モノ”なので確実に獲ろうと電動リールの力を借りて巻き上げを開始した。海が穏やかなせいもあり、弱々しいながらもイカの抵抗ははっきりと見て取れる。果たしてサイズはどうなのか?期待して仕掛けを手繰ると下から3番目の“蛍ムラ”に全長25cm級のヤリイカが乗っていた。「小さいな」と苦笑いを見せる船長。昨日も朝はあんまりノリが良くなかったが、陽が上がればノリが良くなるという。「それまでは撮影よりも釣りをしていた方がいいよ」と言う。次の投入でも同じサイズを1尾追加して迎えた3回目の流し。着底してしばらくアタリが出なかった為、高速で一気に20m巻上げて落とし直すとすぐにフワフワとしたヤリイカ特有の感触。「何かイタズラしてるね」。操舵室の窓から小倉船長が顔を出して笑う。ゆっくりと10m程巻いて追いノリを狙うと結構な重みが感じられる。サイズがいいのか?それとも多点掛けか?電動リールの中速で巻き上げ仕掛けを手繰ると1番上のツノから中型のヤリイカが並んで見えている。1尾、2尾、3尾…慎重に取り込むと何と5尾のヤリイカが乗っていた。同じタイミングで右舷の小高さんも2点掛け、3点掛けと数を伸ばしている。いきなりの5点掛けに気を良くした私も“ツ抜け”を狙って竿先に集中すると、1点掛け、2点掛けと数が伸びて行った。
静かな海は一転して大荒れの海に
午前9時頃までは、小倉船長の言う通りポツリポツリのノリが続いた。しかし、その後は南~南西の風がそよそよと吹き始めた。するとそれが合図だったかの様にヤリイカの活性も上がり始めた。これまでの単発のノリではなく3点掛け、4点掛けが続き、さらにサイズまで上がって来た。中には全長で40cm級の大型も交じって来た。「多少波っ気が出て活性が上がって来たね」と、船長もようやく笑顔を見せた。この頃には水深も170mと深くなり浅い方ではノらなくなった。数を伸ばすには浅い方が当然手返しがいい。だがアタリが無いとなれば仕方が無い。そしてその後は徐々に南西風が強まり海は大荒れとなった。沖からは2m以上の大ウネリが打ち寄せ微妙なアタリが取り辛くなって来た。しかし、活発なノリは続き、重みを感じて巻き上げてくるとヤリイカが付いている。そんな状況にも助けられ、正午の沖上がりまで楽しむ事が出来た。
この日のトップは49尾!!
この日のトップはヤリイカ44尾、スルメイカ5尾を釣った小高さん。ヤリイカのサイズは大・中・小交じりで群れの濃さを裏付けていた。最盛期はこれからだ。大いに楽しみな状況と言えよう。私は25~40㎝のヤリイカ24尾、残念ながら塩辛用にと狙っていたスルメイカを釣る事は出来なかった。これは次回に期待である。
都心から凡そ2時間強。館山道の開通で南房エリアはグッと身近になった。そして、千田港から至近距離の千倉沖のヤリイカ釣り。是非出掛けてみては如何だろう。
(津端 雄大)
今回利用した釣り船 |
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千葉県千田港『小倉丸』 〒295-0025 千葉県南房総市千倉町千田991-3 TEL:0470-43-8355 詳細情報(釣りビジョン) 小倉丸ホームページ |
出船データ |
ヤリイカ予約乗合 ※集合時間は予約時に確認 料金:午前船9,000円(氷付)・午後船8,000円(氷付) (午前5時半集合 6時前後出船、午後12時沖上がり) 投入器無料貸し出し 3月から午後船のイサキにも出船開始 |