釣りビジョン

2012.5.15号

伊藤遊船・千葉県江戸川放水路・行徳
東京湾・初夏の風物詩、アナゴ&シロギスのリレー船

03_main.jpg
東京湾の初夏の風物詩と言えば何と言ってもアナゴ。屈指のブランド魚でもあり、その味は折り紙つきだ。昨シーズンは、近年にないと言われる程の不調に泣いたが、今シーズンは既に2ケタ釣果も記録され、まずまずのスタートを切った。千葉県・行徳『伊藤遊船』で正午に出船して、前半シロギスを釣り、日没後にアナゴを狙うリレー船を出し始めたと聞き、早速出掛けた。

三島修船長、アナゴ裂きの腕には定評!!

今年のGWは、珍しく天候に恵まれなかった。特に後半は悪天候に悩まされたが、唯一好天と予報が出ていた5月5日に出掛けた。ところが、確かに天気は良かったものの海上は終日強風が吹き荒れた。結果としてこれが不運だった…。 この日の乗船者は小生を含めて18人、女性も2人乗っていた。舵を握るのは三島修船長。この船長、アナゴ裂きの腕には折り紙が付けられる(※釣ったアナゴは船長が全て裂いてくれる)。恐らくは東京湾でも1、2を争う腕達者のはずだ。彼の裂いてくれたアナゴを白焼きにしてワサビ醤油で食べたかったのだが…。

『伊藤遊船』は、江戸川放水路・地下鉄東西線鉄橋上流左岸側にある
アナゴ裂きの腕には定評のある三島修船長
この日のリレー船は、総勢18人と盛況

シロギスは、大半が20cm以上の良型

江戸川放水路の船着き場を離れ、東京湾内に出た途端、風の音が耳に届いた。幸い風の向きと潮の流れ(上げ潮)が同方向だったので、海上の波は大したことはなく、快適なクルージングが楽しめた。GWの真っただ中と言う事もあり、シロギスの釣り場である富岡沖には既に20隻を超える船が集まっていた。船のエンジンがスローに落とされた瞬間、風に煽られた。確実に風速10mは超えている。小生の釣り座はミヨシ(船首)から4番目、トモ(船尾)から6番目のほぼ胴の間(中央)、この時点で2本竿を出すのは諦めた。この人数で置き竿をしたら確実に周囲に迷惑をかける。
まずは舳先からパラシュートアンカーが入れられたが、風が強過ぎて船が安定せずエンジン流しに切り替えられた。僚船のシロギス船からは、「午前中は喰いがよかったが、風が強くなりパラシュートアンカーが効かなくなった途端、ガタッと落ちた」との無線が入っていた。それでも間もなく、明確なアタリで20cmオーバーの丸々太った良型のシロギスが釣れ、船のあちらこちらでボツボツながら釣れ出した。しかも全般に型が良く大半が20cm以上で中には25cm前後の大型も交じって来た。

シロギスは良型が多かった

強風下でもトップは51尾!

その後も風は一向に弱まらず、一時は風速15mを超える強風で竿先が煽られた。また、この日は潮も濁っており(前日の大雨による濁り?)、喰いの悪さに拍車をかけていた。それでも午後6時過ぎまでにトップは51尾のシロギスを釣り上げ、終始1本竿で釣った小生も31尾の成績。条件さえ良ければ半日で束釣り(100尾以上)も夢ではない魚影の濃さは確認出来た。

シロギスの魚影の濃さは確認

アナゴの船中最大は50cm級!

さあ、お待ちかねのアナゴ釣りである。6時半を回り、全員に船宿サービスのカップ麺が配られる頃には、西の空が夕日に染まった。シロギス釣り場から航程7、8分でアナゴ釣り場に到着。既に数隻の船がアンカーを入れ、釣り始めていた。我々の船も舳先からアンカーが入れられ、船長からスタートのアナウンスが流れた。6時を過ぎた頃、一旦風は弱くなり、「夕凪でいい按配じゃない」などとカメラマンと話していたが、それもほんの束の間だった。アナゴ釣りがスタートした時には、再び10mを超える風が吹き出した。若干トモ寄りの小生の席では、舳先を支点に船が揺れるため、道糸が船下に入ってしまったりで、釣り難い事夥しい。その証拠に時折釣れて来るアナゴは、ほとんどが舳先側。特に右舷ミヨシに座った人は、この悪条件の中でも8時半の納竿までに5本を釣り上げた。また、左舷ミヨシの女性は、船中最大の50cm級の大型を釣り上げた。この人、その前にもほぼ同型の大型を船縁で釣り落としていた。

この日は満月が14%大きく見えるスーパームーン!
強風の中、アナゴ釣りスタート

釣れたアナゴのサイズにはバラ付きがあった

“梅雨アナゴ”、“本番”はこれから!

この日船中最大の50cm級を釣り上げたのは女性釣り師
結局、小生を始め、半数以上の人には、最後までアナゴが掛からず、納竿時間を迎えてしまったが、成績低調の理由はハッキリしている。事実、前日にはアナゴのトップは10本、2番手も8本の成績が記録されている。この日釣れたアナゴも30cm級のメソッコ(小型)から50cm級までサイズにバラ付きがあり、魚影の濃さを物語っていた。“好漁年”と断定するのは早計と思うが、少なくとも昨シーズンよりも数段いい事は確かだと思う。また、シロギスも4月30日のリレー船では、トップで119尾の釣果も記録されており、こちらもナギでありさえすれば確実に釣れるはず。
“梅雨アナゴ”と言われるように、アナゴの“本番”はこれからだ。条件のいい日に当たればシロギス50尾、アナゴ7、8本などと言う釣果も十分に望めるだろう。間もなく蒸し暑い季節がやって来る。涼しい海上でのんびりと過ごし、美味しい東京湾の魚2種類が手に入るリレー船、是非家族連れで出掛けてみては如何だろう。

(野口 哲雄)

(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県江戸川放水路・行徳『伊藤遊船』
〒272-0111 千葉県市川市妙典2-2-14
TEL:047-358-5774
詳細情報(釣りビジョン)
伊藤遊船ホームページ
出船データ
リレー船=餌、氷付き9,000円
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー