釣りビジョン

2012.6.1号

新幸丸・千葉県大原港
“大鯛”連発!!千葉県・大原沖の“ひとつテンヤ”マダイ

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千葉県・外房、大原港の『新幸丸』では、GW前後から大型マダイが絶好調だ。連日の様に5kg、6kgという“大鯛”が上がり、中には8kgを超える特大サイズも記録されている。正に“乗っ込み”最盛期である。5月18日、「大きい(マダイ)のは誰に釣れるか分からないからね」と笑顔で話す山口新一船長の操船でナギの海に繰り出した。

初心者の受け入れ体制はバッチリ!

親子三代で『新幸丸』
2012年3月。「関東沖釣り爆釣会」(沖釣り番組)の磯部さちよさんの卒業を飾る最後の舞台となったのが『新幸丸』での“ひとつテンヤ”マダイだった。その先生役として登場したのは4代目船長の山口大地さん(23)。素人にはかなり過酷な速い潮と、波高4mにも及ぶ大荒れの海という最悪の条件の中で見事“大鯛”3.4kgを筆頭にワラサなどを釣らせた事は記憶に新しい。「初心者歓迎」、「親切指導」などの宣伝文句はよくみかけるが、『新幸丸』ほど初心者が安心して教えてもらえる船宿は少ない気がする。教え上手な4代目・大地船長。穏やかで大原沖を知り尽くした3代目・新一船長。カブラを打たせたら右に出る者はいないという2代目の雄幸船長。そして底抜けに明るい女将の明子さんが華を添えて『新幸丸』はいつでも笑顔の絶えない初心入門にはお奨めの船宿である。

御宿沖、水深50m前後からスタート

「いいですよ、水深44m」。航程30分の御宿沖でパラシュートアンカーが投入され、朝一の流し。潮流計は2ノット以上を計測し「風に押されると3ノット近いよね」と船長。『新幸丸』オリジナルカブラ8号をセットしていた私は10号に付け替えてスタートした。左舷大ドモ(船尾)で竿を出したのだが、道糸は大きく船首に傾いて行く。“底ダチ”を1回とるのがやっと。そんな状況で最初に“本命”を掛けたのは左舷ミヨシ(船首)の釣りガール。余裕のやり取りで上がって来たのは30cmに少し欠けるサイズ。「ちゃんと化粧してくればよかった」と笑顔が弾けた。続いて竿を曲げたのは右舷大ドモに入っていたバスプロの宮本英彦さん。ジリジリとドラグを効かせてキャッチしたのは1kg級の良型マダイ。さらに、隣りで竿を出していた大地若船長が2kg級の“中鯛”をキャッチ。この速い潮の流れの中でしっかりと結果を出している。船内では目測800g級のオニカサゴや30cm級のハナダイ、ホウボウ、ウマヅラと多彩な“ゲスト”がクーラーBOXを賑わしている。その中で一際目を引いたのが宮本さんの釣り上げた1kg級のヒラメ。「マダイに続いてヒラメも釣っちゃったぜ~ぇ。ワイルドだろ~ぅ!」。どこか聞き覚えのあるタイムリーなギャグが船上に炸裂する。その頃私はといえば良型のオニカサゴと“大ウマヅラ”のみ。後は“本命”のアタリを待つばかりである。

釣りガールも“本命”をキャッチ
宮本さんも1kg級のマダイ
ヒラメも釣れたぜぇ!

3ノット近い速潮は“大鯛”の証

いくら0.8号の極細PEラインを使用しているとはいえ、道糸はかなりフケてしまう。10号のカブラでスタートした私は次の投入から13号に付け替えた。たかだか50m前後の水深で“底ダチ”が取れるのは1回。チャンスはその前後の極めて短い時間である。“底ダチ”を取れるかどうか、速潮の状況で釣り人が最初にぶつかる壁がこれ。着底が分からず道糸を出し過ぎれば途端にオマツリしてしまう。「底が取れない。釣りになってないな」と感じた時はすぐに大地船長にみてもらおう。迷いながら続けていても時間を無駄にしてしまうだけだ。しかし、釣り辛い速潮でモチベーションを保つのが新一船長の言葉だ。「俺なんかは潮が速いとワクワクするよ。流れの中には“大鯛”がいるのが分かってるから」。それを聞いてからは俄然集中力が増した。

大地若船長は2kg級
丸々太ったワラサ!
超美味のオニカサゴ

遂に出た5.9kgの“大鯛”!

さて、連日の様に上がっている“大鯛”はこの日も顔を見せた。「“大鯛”が喰いましたよ」。新一船長の声で見に行くと、右舷胴の間(中央)の釣り人がファイトの真っ最中。リールから引き出される道糸のスピードと激しいドラグ音が獲物の大きさを物語っている。並びの釣り座にいる他の釣り人も仕掛けを巻き上げ成り行きを見守る。「魚が止まるからタイだね。“青物”だったらもっと走ると思うよ」。新一船長がベタ着きでアドバイスを送る。ようやくリーダーに辿り着くと海中に白い魚体がぼんやりと見えて来た。新一船長の差し出す大ダモに収まったのは5.9kgの正真正銘の“大鯛”。「デカイ!」どこからともなく声が上がり、拍手が起こった。

“大鯛”5.9kg!!
マトウダイも嬉しいゲスト
大型ハナダイも交じった

3.3kgのヒラマサも登場!

3.3kgヒラマサ
この日は最後にもう一つのドラマがあった。宮本さんのロッドが大きく曲がり激しいドラグ音が船上に響く。「ヒラマサか?」道糸は凄まじい勢いで引き出されて行く。その道糸が船下に入り左舷ミヨシ(船首)に向かってしまった。本来なら竿を立てて魚をいなすのだが、道糸が船底に擦れてしまうので竿も立てられない。このまま走られては道糸も足らなくなる。そう判断した新一船長は全員に竿上げを指示。さらに大地若船長が手際良くパラシュートアンカーを回収して船のエンジンをスタート。魚の走っている方向に船を寄せ、宮本さんの道糸を立てる。「あと何mですか?」。若船長の声に「後50mかな?」。そう答えた宮本さんだったが、意外にもすぐにリーダーが見えて来た。水中を走る青白い魚体は正しく“青物”。そして無事に若船長のタモに収まったのは3.3kgのヒラマサ。釣り人と船長が協力してキャッチした貴重な1尾である。このヒラマサを最後に沖上がりの時刻となった。

6月も“大鯛”狙いのチャンス!

「去年も5月後半から6月に掛けては良く釣れましたよ」と新一船長。その話を裏付ける物凄い釣果を上げたのがこの日同船していた宮本さん。昨年5月末に仲間内で『新幸丸』を仕立てて大会を開いた。宮本さんは5kgと6kgの“大鯛”の他に2kg級を5尾釣り上げ、規定の3尾合計が13.3kgという驚異的なウエイトを叩き出した。当然、余裕の優勝かと思っていたら、最終的に13.5kgを記録した仲間に優勝とビッグフィッシュ賞の両方を持っていかれたというのだ。僅か200g差という名勝負も然る事ながら、そこまでの爆発的な釣れ方にも驚かされる。「速潮の中には“大鯛”がいる」しばらく大原通いが続きそうだ。

(津端 雄大)
(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県大原港『新幸丸』
〒298-0004 千葉県いすみ市大原町大原10240
TEL:0470-62-1500
詳細情報(釣りビジョン)
新幸丸ホームページ
新幸丸ブログ
出船データ
午前船:3時半集合、4時出船、11時沖上がり
11500円 氷・餌付(餌は使い放題)
午後船:11時半集合、12時出船、日没沖上がり
11,500円 氷・餌付(餌は使い放題)
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