2012.9.1号
深川 吉野屋・東京都深川
東京湾・江戸前の高級魚“照りゴチ”絶好調!!
真夏の東京湾・江戸前を代表する魚と言えばマゴチ。強烈な日差しがジリジリと照り付けるこの時期は“照りゴチ”と呼ばれ、もともと市場価値の高い魚が、さらに“超”のつく高級魚となる。東京の下町情緒溢れる深川の老舗船宿深川『吉野屋』代表・吉野吾朗さんに最近の状況を聞くと、「とにかく良く釣れています!今が最盛期です!」との返事にテンションMAX!
東京湾独特の伝統釣法で狙う!
東京湾のマゴチ釣りは、活き餌を使うのが最大の特徴。開幕当初の春先から初夏には、“サイマキ”と呼ばれる小型の車海老(!!)を使うが、この時期はハゼ餌がメインとなる。先人達があみ出し、磨きをかけて完成したこの伝統釣法は、非常にシンプルだが、実に奥深く趣のある釣りで、その魅力にハマる人は多い。そして、伝統釣法と聞くと、小難しい釣りだと思われがちだが、実は誰にでも出来る間口の広い釣りでもある。出船時間は朝7時!
出掛けたのは8月19日(日)。出船時間は朝7時。私を含め14人を乗せた佐久間誠船長操船の「第七吉野丸」は定刻通り出船。東京下町の迷路のような運河を抜け、東京湾を千葉県側へ横断し航程約1時間、大貫沖の釣り場に到着した。途中、東京の新名所「東京スカイツリー」、「東京ゲートブリッジ」が海上から眺められるので、ちょっと得をした気分になる。
まずは餌のハゼを釣る!
釣り場に着き、まずは餌となる“ハゼ”を釣った。最近は潮温が高く“イトヒキハゼ”を餌にするという。「“ハゼ”を釣る時間は1時間弱、多少のストックはあるけど、最低でも1人20尾は釣ってよね!」と船長からカツが入る。当然だが、餌が無ければどうしようもないので、相当真剣に“ハゼ”を釣らなければならない。ここでワンポイントアドバイス。餌は活きの良さが命。せっかく釣った“ハゼ”を弱らせずに素早くハリを外せるように、ハリのカエシを潰しバーブレスにしよう。また、電池で動くエアーポンプをイケスに設置しておくと尚良いだろう。因みに、“ハゼ”は船宿で売っているシロギス仕掛けで問題なく釣れる。道具は専用のものがあればベストだろうが、船宿にも小物用の貸し道具があるので心配はない。船長直伝!釣り方や道具の紹介!!
9時10分。全員がある程度の餌を確保したところで、船は大貫沖の浅場に移動。水深8m。下げ潮が効く好条件の元、いよいよ“本命”マゴチ釣りがスタートした。仕掛けは、15号の鋳込みテンビン、又は三日月オモリに、4号のハリスを2m結んだシンプルなもの。深川『吉野屋』には、オリジナル仕掛けがあるのでこれを使えば間違い無い。釣り方は、一旦底を取りオモリを1m上げた位置がタナとなるので、しっかりタナ取りを行いアタリを待つ。「タナ取りがそのまま誘いになるから繰り返しこまめにタナを取って下さいね」と船長。餌の“ハゼ”は上顎にハリを通せばOK。
アタリ頻発!
9時35分。右舷ミヨシ(船首)から2番目の人に船中初マゴチがヒット。少々小ブリだが待望の“照りゴチ”に船内が湧いた。その直後、やはり左右のミヨシで立て続けにアタリがあったが、残念ながらキャッチ出来たのは右舷ミヨシの人だけだった。マゴチは海底にへばり付き、待ち伏せするハンタータイプの魚。釣れる時には連続して釣れてくるので、誰かがヒットしたら集中力を高め不意のアタリに備えたい。その後も小移動を繰り返し、船を流し直せば船中のあちらこちらでアタリが多発した。
マゴチ3分…!?
その後も順調に連れ続くと思っていたが、「あぁ…バレたぁ~!」と声を上げる人が続出。見兼ねた船長から「今日は、相当じっくり喰い込ませて下さいね」とアドバイスが飛んだ。「クンクン!」と竿先に出るアタリの後に、「グーン!」と大きく竿を引き込むタイミングで合わせるのが普通だが、この日は、最後の「グーン!」が中々訪れない。ただひたすらに「ツンツン…クンクン…」と、合わせのタイミングが取れないアタリが頻発した。「おっ、アタッたよ!」と言う声にカメラを向けても、そこから1分、2分、そして3分経ってようやく最後の「グーン!」が訪れハリ掛かりするというパターンが多かった。また、最後まで食い込みが無く餌を離してしまうこともあり、“ヒラメ40”ならぬ“マゴチ3分”という珍しいケースに四苦八苦した。
後半は状況が好転!!
しかし、そんな状況にも上手く対応できれば、間違い無く釣果が伸ばせるだけのアタリはあった。そして、昼過ぎに上げ潮に変わると、徐々にだが活性の高いアタリに変わっていった。竿を出していた私も午前中は悩まされたが、午後にはガンガン!と激しいアタリから、明確で強い最後の引き込みに上手くフッキングが決まり、40オーバーを2尾仕留めることが出来た。その後、船内でも同じように“ キャッチ率”が上がり、終了時間の3時を迎えた。釣り場は、多少の小移動はあったものの、1日を通して大貫沖エリアの浅場を狙った。
今年は昨年を凌駕する“大アタリ年”!!
最終成績は0~4尾(35~58cm)、船中32尾という結果だが、船長的には「キャッチできたアタリが60位はあった」とのこと。「昨年も相当良い状況だったが、今年は更にその上を行く程の絶好調ぶり!」と船長も絶賛する今年のマゴチ釣り。本来、1日に2、3尾釣れれば十分な釣り物だが、取材後の釣果を見ても、トップが10尾を越す日も珍しくはない状態が続いている。「特に若い人に、このエキサイティングな伝統釣法を体験して貰いたいね!」と代表の吉野吾朗さんもイチ押し。食べて絶品、釣ってドキドキ…!深川『吉野屋』のマゴチ船に是非乗ってみては如何だろうか。
(鈴木 恭介)
今回利用した釣り船 |
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東京都深川『吉野屋』 〒135-0042 東京都江東区木場6-12-7 TEL:03-3644-3562(定休日:毎週火曜日) 詳細情報(釣りビジョン) 深川吉野屋ホームページ |
出船データ |
乗船料金:9,000円(女性・子供は割引あり) ※前日までに予約の事。 貸し道具:500円 ※但し紛失や破損した場合は5,000円を負担。 出船7時~帰港16時頃 |