吉野屋・千葉県浦安
“東京湾の宝石”マダコ、今シーズン絶好調!
釣り場は大貫沖
東京湾のマダコは手釣り。道具(木枠に巻いた道糸の渋糸=テンヤは有料1個800円)は無料で貸してくれる。7時出船で帰港は午後4時頃。釣り場は航程1時間程の大貫沖である。50号のオモリが付いたタコテンヤに餌の石ガニを縛って釣る。道糸(渋糸)の太さは26号前後、根掛かり対策として先糸にナイロン(24、25号)を1ヒロ(約1.5m)程結んであり、その先に付いた大きなスナップ付きサルカンにタコテンヤを装着する。乗合料金は餌の石ガニが付いて9000円。手ぶらで出掛けられるのもこの釣りの魅力だ。
この日は片舷8人で出船
当日は、この冬一番の冷え込みとなった。過去の経験から自前のタコ用渋糸22号と26号の木枠を用意、50号のテンヤも3個を準備、「あわよくばと…」大きめのフラシをクーラーに忍ばせた。早朝、自宅がある横浜を出て国道16号線から湾岸道路を経て葛西ICを降り葛西橋通りに出て、浦安橋を渡ってすぐに左折、『吉野屋』の看板に沿って旧江戸川沿いの店先に到着。5時過ぎには到着したが、店には灯かりが灯り、駐車場への誘導役の船頭さん達が案内に立っていた。店の脇には釣りもの別に船座席の番号札が掛かっていて、先着順に好みの釣座を取るシステム。先客が5、6人。マダコやアオリイカ狙いの人、更にアジやカワハギ狙いの人等が続々と集まって来た。マダコ船は我々2人を含め8人、これを見てマダコ船担当の千田貴之船長は全員を左舷側に座らせた。「10人未満なら片舷の方が釣りやすい」と船長。我々は胴の間(中央)に入った。コヅキを絶え間なく続ける事がキモ!
午前7時に出船。旧江戸川を下り、左手に『ディズニーランド』や『ディズニーシー』、ホテル群等を見ながら北風に押されて東京湾へ。右手後方に東京スカイツリー、前方に東京ゲートブリッジ(恐竜橋)を見ながら進む。間もなく右手前方で大型旅客機が滑走路を飛びたつ姿が見えた。もう羽田沖だ。船はぐんぐん進む、『八景島シーパラダイス』、そして横須賀・猿島も通り過ぎ、大貫観音が間近かに見える辺りでエンジンがスローに落とされた。
船首が風上に向けられ、「ハイやって下さい。水深20m。根掛かりし易いからオモリを海底から少し離し、ハリの方だけ海底に触れる位にしてやって下さい」と船長からアナウンス。石ガニの白い腹を見せる様に縛ったピンク色のタコテンヤがいっせいに投げ込まれた。テンヤが海底に着いたら素早く糸フケを取る。テンヤの重みを指先に感じながら手首でテンヤのハリ先が海底を叩くように小さく小突く。このコヅキを絶え間なく続ける事がこの釣りのキモ。マダコを呼び寄せ石ガニに抱きつかせる。コヅキ方に個性が出る。大きくゆっくり小突く人、小刻みに素早く小突く人。しばらく静閑な時間が続いた。「潮が行ってない。動きだせば……」と船長。
船中初獲物は1kg弱
船中初獲物を掛けたのはミヨシ(船首)の人。リズミカルに小突いていた手が止まり、立ち上がった姿勢から大きく手を広げ一気に道糸を手繰った。道糸がグンと張り、重量感のある手繰りに船長がタモを持って飛んで行く、海面に赤銅色のマダコが足をいっぱいに広げて船長の差し出すタモに収まった。サイズは1kg弱か。タモ取りした船長、叩きつける様に素早くタモを返し甲板にマダコを放り出す。タモの網目にマダコが絡まない様に、又マダコが暴れてテンヤが網に絡まないようにする為だが、流石一連の動きに隙がない。
潮が流れ出したようで、これをキッカケにミヨシから2番目の人に同サイズが上がり、再びミヨシの人に来た。「毎年、正月用のタコを釣りに来ています。当てにされていて今年は10軒分釣らなくては。今までに7尾確保したので今日は3尾釣りたいですね」と話していた人だ。私の右隣の人は調子が出ないのか、根の荒い海底に何個もテンヤを取られている。トモ(船尾)側の2人は、細かくリズミカルに小突き続けながら楽しそうに釣り談義をしていたが、未だ“アタリ”がない。ここで少し竹岡寄りに移動した。その途端、ミヨシから3番目の人のコヅキが止まり、大きく合わせをくれた。船長が素早くタモで掬い上げた。やはり1kg弱か。
この日の最大は2.6kg!
ここで私も自前の細めの方の道具を出した。すると、「先糸が細すぎるよ。根に取られたらすぐ切れてしまうよ」と船長(指摘された通り、4つもテンヤを取られてしまった)。船長にカニの縛り方を指導してもらってから仕掛けを降ろした。ゴツゴツと根の荒さが手に伝わって来る。素早く糸フケを取り、コヅキを始めた。リズミカルにやってるつもりだが中々上手くいかない。暫くコヅキを続けているとジワーとした違和感。半信半疑で合わせると、ズシッとした重量感。この瞬間が堪らない。船長の差し出すタモに収まったのは500g強とやや小型だったが、初獲物は嬉しい限り。
間もなく、右隣の人が立ち上がって大きく手を広げ一手、二手と力強く合わせ、手繰り始めた。重そうだ。海面に現れたのは、それまでと違う大きなマダコ。船長のタモに収まったのは、この日最大の2.6kg。これで全員マダコの顔を見てオデコ(ゼロ)なし。右隣の人は、その後絶好調で1.5kg、1kg弱と立て続けに4尾をゲット。また、圧巻だったのは大ドモの人。出足は遅れたが午後から1kg前後を立て続けに5尾取り込んだのだ。私の左の人は5、6回掛けたがバラシを続出していた。船長が言うには、合わせが緩いそうだ。ミヨシの人は午前中好調だったが午後は1尾を追加しただけだった。私はその後“アタリ”なし。両隣には何度か“アタリ”があったのだからコヅキのリズムが悪いのだろう。
船中では、その後もポツリポツリと釣れ続き、トモの人が1kg前後を2尾、ミヨシから2番目、3番目の人も1尾ずつ追加、私の左隣の人はその後もバラしがあって残念ながら確保は1尾のみ。結局、この日のトップは7尾。この時期にオデコなしでトップ7尾は立派な成績。正月に向け、大いに期待出来そうだ。
味は絶品!!一度冷凍するとヌメリは簡単に落ちる。
出船前、帰ったら船長に茹で方を教えて貰おうと頼み、鍋にお湯を準備して貰っていたのだが、如何せん釣果は500g強1尾。見兼ねた千田船長がミヨシの常連さんから1kg強を1尾譲り受けて来てくれた。先ずはヌメリを取るため塩揉みするのだが2尾とも生きていた。「生き〆にして塩茹ですると身が固くなってしまう」と千田船長は残念そうだったが、時間の関係で生きたまま塩揉みして貰った。自然に死んだマダコの方が塩揉みして茹でても柔らかくて美味しいそうだ。塩をよく洗い流し、熱湯に入れた。その時お茶葉のティーパックを入れる。赤く茹で上げるコツとか。そしてもう一つ、釣って帰ったらそのまま冷凍すれば、塩揉みしなくてもきれいにヌメリは取れるとの事。塩揉みするとどうしても塩分が身に浸透してしまい若干塩辛くなってしまう。「それを防ぐには1度冷凍するのがベスト」と船長。2尾とも1分強で茹で上がった。早速、足を切り取り被り付いた。東京湾のマダコならではの旨味と甘味がジュワーと口の中に一杯に広がった。
(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)
今回利用した釣り船 |
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千葉県浦安・吉野屋 〒279-0004 千葉県浦安市猫実5-7-10 TEL:047-351-2544 (定休日:毎週火曜日) 詳細情報(釣りビジョン) 吉野屋ホームページ 千田船長の釣果ブログ |
出船データ |
マダコ乗合 6時30分までに集合、7時出船、帰港16時頃 料金9000円、餌、氷付き、 貸し道具は無料、テンヤ800円(船での販売もあり) |