新盛丸・千葉県勝山港
千葉県・勝山沖、“餌木シャクリ”で狙うアオリイカ
“餌木”の選定が釣果を左右する
釣友の野口壮一さんを誘った。互いに家が久里浜港に近いのでカーフェリーで行くことにした。出船は午後2時だが、3連休の初日なのでカーフェリーが混むのを予想して10時過ぎに家を出た。久里浜港は予想通り混み合っていて1時間に1本のフェリーはほぼ“満席”状態。11時20分に久里浜港を出航、正午丁度に対岸の金谷港に着いた。ここから勝山港へは10分余り。港に行くと駐車場は満杯。マダイ船とカワハギ船が帰って来た。港の受け付けで乗船名簿を記載、空いていた右舷の3番、4番の札を取る。釣れているとあってアオリイカ船の乗船者は我々を含め14人。釣り場が近いこともあって、乗船するやいなや仕掛けの準備。カラフルな“餌木”が船べりに並ぶ。この釣り、“餌木”の選択が釣果を左右するので皆慎重だ。
“餌木”を繋ぐスナップは小型で
午後2時、好天予報は外れ、空模様が怪しいので、防寒を兼ねて雨合羽を着込んで出船を待つ。アオリイカは晴天よりも曇っていた方がいいと聞いており、期待に胸が膨らむ。「そろそろ出ますよー」。艫井正悟船長のアナウンスと共に港を離れた。釣り場目と鼻の先のは富浦沖。仕掛けは別図の通りだが“餌木”を付けるスナップ付ヨリモドシは小型で丈夫な物を付けることをお勧めしたい。大型のヨリモドシはイカが嫌って極端に乗りが悪くなる。
アオリイカの顔を見たが、その後が続かず
今にも泣き出しそうな空の下、目前に浮島を見ながら港を出た船は、10分余で釣り場に到着。「やって下さい!タナは28m。中オモリの位置で合わせて下さい。8秒間隔でシャクって下さい。ジっとしていても乗りませんよ」と船長。
アオリイカは、海藻の上を泳ぐ小魚を捕食するので、そこに“餌木”の位置が来るよう指示していると言う。10分程経っただろうか、左舷ミヨシ(船首)で「手作り竿です」と言っていた木村敏之さん(江戸川区)のイエローの長竿(3m)が半月を描いた。グイッグイッと竿を引き込みみながら船中第1号が取り込まれた。500g弱のアオリイカ。ヒレをヒラヒラさせて墨を噴く。そして右舷トモ(船尾)の武田賢志さん(葛飾区)の竿も弧を描いた。慎重にリーリング、ゴールド色の餌木に400g級のアオリイカが掛かっていた。しかし、その後はバッタリ。
タナは根に合わせ1m刻みに指示
それを見ていた船長、「上げて下さい。移動します」と竿上げの合図。緩い北風の中、浮島の北側に移動、タナは少し深くなって38m。小雨が降り出した。再び投入の合図、「ハイ、36mにして」、「ハイ1m上げて」、「ハイ2m下げて」と頻繁に船長のタナ調整の指示が飛ぶ。リズミカルにシャクる人、竿先を下げてじっくり誘い上げる人。ここで肝心なのはビシッとシャープにシャクる事。そして竿先をサッーと海面近くに戻す、この時、落ち込んでいく“餌木”に乗ることが多いからだ。「はい、右舷トモで乗りました」、「ハイ2m上げて」と“実況放送”とタナ指示が交互にアナウンスされる。しかし、ここもそれ程乗りはよくない。
暗くなるまで待って
小雨が降ったり止んだりの中、船長は、11m立ち、16m立ち、24m立ちとイカの居そうなポイントを転々と探る。しかし、アオリイカは時折顔を見せるだけ。私も竿を出した。竿はアオリイカ用1.5m、小型両軸リールはPE2.5号の道糸、中オモリは10号の三日月、“餌木”は背がウグイス色のゴールド系の3.5号。しかし、リールの調子が悪く道糸がスムーズに出て行かない。アオリイカ用としてのリール、数年使っていなくて手入れしてないバチがあたった。中オモリが底に着くと4mほど巻いた。イメージは“餌木”が底から1m位の処にあるハズだ。ビシッとシャクリ、直ぐ竿先を海面近くに戻す。8秒ほどの間隔を置いて、これを繰り返す。
800g級も姿を見せて活性が高くなる
4時過ぎ、少し沖よりに移動。指示ダナは26m。ここで再び、左舷ミヨシの木村さんの長竿が大きく半月を描いた。取り込まれたのは、この時期としては大型の800g級。辺りは薄暗くなって道糸の印が見にくくなって来た。しかし、この暗さがイカの活性を高めたのか、船長のタナ指示の合間に「左舷トモ寄りで!」、「右舷胴中で!」と“実況放送”が盛んになる。4時半、船に灯かりが灯る。「手元の暗い人はヘッドライトを貸しますよ」とアナウンスがあって、数人が借りて頭に着ける。ミヨシの木村さんは道糸が見にくくなったのか1.5mの短い竿に交換して竿をたわわにしている。6匹目だ。左舷トモで3人並んで釣っていた小林宏至さん(松戸市)、福島順治さん(柏市)、稲場友壽さん(松戸市)。可愛い“本命”をゲットした稲葉さん。これで「全員オデコ免れ」とニコニコ顔。アオリは初めてと言う福島さんが既に2匹を釣っており、先輩としての面目を保てた格好だ。
タナ取りとリズミカルなシャクリがキモ!
シャクっていた私の竿がグンと重くなった。グイッグイッと小気味よい引き込み。「ヤッター!」。野口さんが隣でタモを出してくれたが、少し様子が違う。釣れて来たのは400gオーバーのモンゴウイカ。ブルーの側線にライトが当たると鮮やかに光った。その直後、木村さんも小振りのモンゴウイカをゲット。続いて右舷胴の間(中央)の村田光春さん(江戸川区)が、立て続けに“本命”をゲット。“餌木”はピンク系だ。シャクリのタイミングを5秒間隔でリズミカルにやっている木村さんにまたまたヒット。隣の野口さんにもヒット。2mの竿が半月を描く、“本命”のレギュラーサイズがタモで掬われた。
“餌木”はゴールド系が活躍!
すっかり暗くなって道糸が見にくい。船の灯かりを頼りに船長の指示ダナに調節する。圧巻だったのは木村さん。またまた竿が半月を描きリーリングしている。“餌木”を見ると“アジゴールド”の様だ。右舷トモから2番目の松本隆さん(久喜市)も3匹目をゲット。そして野口さんも2匹目を掛けた。左舷トモの小林さんも2匹目。そして、またまた木村さんが“ツ抜け”の10匹目をバケツに入れていた。そのうち小型2匹は、「大きくなってから来いよ」とリーリスする余裕。
トップは“ツ抜け”ティップランへも出船
結局、木村さんがダントツの10匹で竿頭。オデコも出てしまったが、大半の人がレギュラーサイズの400g級を1~3匹の成績だった。“餌木”はピンク系、オレンジ系でも型は見たが、この日は背が青みがかったゴールド系に乗りがよかった。“当たり餌木”の選択もこの釣りの妙味の一つ。船長も「今年はワキが良いので、1月末まで楽しめると思いますよ。これから型もどんどん良くなります」と明るい見通しを語ってくれた。
また『新盛丸』では希望でティップランにも出船している。イカ釣りにかけてはかなり拘りのある正悟船長。こちらも面白くなるに違いない。中オモリでもティップランでも行くのは今!入門のチャンスも今だ。
(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)
今回利用した釣り船 |
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千葉県勝山港『新盛丸』 〒299-2117 千葉県安房郡鋸南町勝山273-1 TEL:0470-55-1687 詳細情報(釣りビジョン) 新盛丸ホームページ |
出船データ |
出船:午前6時・午後2時 料金:午前アオリイカ船 9,500円 午後アオリイカ船 7,000円 |