釣りビジョン

2014.3.15号

山下丸・神奈川県久比里港
春はカサゴの季節!東京湾・久里浜沖で一時は入れ喰い!

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海の春は根魚の訪れと共にやってくる。メバルと共に根魚の代表格とも言えるカサゴ。このカサゴ釣りが始まると、釣り人は春の訪れを感じる。ポピュラーで手軽に楽しめ、食べて美味しい魚だ。このカサゴ釣りを神奈川県・久里浜久比里の『山下丸』で開始したと聞き、10日に様子を見に出掛けた。北風の強い寒い一日だったが、一時は入れ喰いタイムもあり、本番間近を感じた。前日にはトップで43尾、出船初日には50尾の釣果も記録されている。

アクセスも良く風光明媚

旬のワカメを寒風が揺らしていた
ペリーの上陸で有名な久里浜。港には東京湾フェリーの発着場、東京電力の火力発電所などがあり、眼前には房総半島が手に取るように見える。その久里浜港に注ぐ平作川を1kmほど遡った久比里の夫婦橋袂に『山下丸』がある。東京や横浜からも横浜横須賀道路、国道134号線、16号線経由210号線を使って1時間前後とアクセスも良く風光明媚な所だ。当日は天気予報が当たり、冷たい北風の吹く生憎の日で、釣り人もまばら。『山下丸』の屋上には今が盛りのワカメが干してあったが、寒そうに風に揺れていた。カサゴ船の釣り人は4人、“大名釣り”だ。

夫婦橋のたもとの『山下丸』を眺めて
粋な名前の橋、夫婦橋
『山下丸』の受付

釣り場は港を出て直ぐ!

定刻の8時、アマダイ船、カワハギ船が岸を離れ、カサゴ船が続いた。山下克範船長が、短冊状に刻まれた餌のサバの塩漬けが入ったパックを配り終えると舫い綱を解いた。平作川に架かった低い橋を潜って行くため、帆柱や無線アンテナ柱を倒し、自動上下できる操舵室まで引っ込める。河口の開国橋を過ぎると久里浜港だ。船足を止め、操舵室を戻し、無線アンテナ柱や帆柱を立てスパンカーを上げる。ポイントは港を出た直ぐ目の前、舫い綱を解いて10分もかかっていない。

久里浜港まで何本かの橋を潜る
操舵室を引っ込めアンテナ柱も
帆柱も倒して
これが今日の餌、冷凍された塩漬けのサバの短冊

スタートは喰い渋り

右舷トモ(船尾)は、カサゴ釣りがスタートしたら毎年最初の月曜日に来ると言う菅野豪士さん(藤沢市)が、甥の小野雄太さん(藤沢市)と並んで座った。そして左舷トモには、何時もはマイボートで釣りをしていると言う宮坂憲親さん(横須賀市)が座った。北風で波の騒ぐ中スタート。冷凍のサバの短冊が凍ったままピンとしている。全長90cmの胴突き2本バリ仕掛け、オモリは25号、ハリは丸セイゴの12号。サバの端(小口の狭い方)をチョン掛けして投入、水深は32mだ。1投目は全員音沙汰なし。様子を見ていた船長、直ぐ竿上げの合図。移動の合間に私も釣り仕度をする。2.4mの竿に道糸はPE2号、『山下丸』特製のカサゴ仕掛け(200円)をセット。移動と言ってもごくわずかだ。間もなく「何時も海面近くでバラすことが多いので、今日はタモ取りさせるため連れて来た」と言っていた菅野さん、甥の小野さんとほぼ同時に20cm級を釣り上げた。私は餌を付けようとしていた時なので最初の映像を撮り損ねてしまった。「左舷でも上がったよ」に跳んでゆくと宮坂憲親さんが18cm級の少し小振りなカサゴをぶら下げていた。宮坂さん「潮が効き出せばもっとアタリが出ますよ」とマイボートで培った経験を教えてくれた。アタリが遠いのは強い風のせいか、潮温の低下で口を使わないせいなのか。

『山下丸』のオリジナル仕掛け
甥には負けられん
叔父さん、釣れたよ

船中第1号、でも3人とも釣れたんだっけ
今日の道具立てと餌
仕掛け図

ポイントに当たれば全員同時にアタリ

丹念にポイントを探ってくれる
山下克範船長
船長「今は、まだ30m前後と深い場所なので、カサゴが居つく根が少ないし、狭いので拾い釣りですね。温かくなって浅場に移れば多くのポイントが点在しているんですけど」と言いながら丹念にポイントを移動してくれる。少し野比沖に移動する。菅野さんの胴調子の竿先にコンコンとアタリ。隣の小野さんも同時にリーリング開始。そして小刻みに誘い上げていた私の竿先にもアタリ。そして「左舷も当たっているよ」と船長が顔を出して教えてくれる。4人同時だ。小野さんが20 cmオーバーにニコニコ顔、菅野さんはそれよりも小振り、宮坂さんも私もレギュラーサイズの18cm。餌を検めて入れ直すと直ぐにアタリ、喰い込みを待つ。ググッーと持ち込みを待って竿を立てると重い魚信、風に竿も煽られる。海中に姿が見えた、上バリに下バリに“本命”が大きな口を開けて上がって来た、ダブルだ。頭上の操舵室の船長も微笑んでくれた。

甥っ子のより大きいかな
叔父さんに負けた、俺の小さいよ
まあまあサイズがダブルできました

好調も強風でアタリがとれない、ゲストのタコも

10時過ぎ、菅野さんが22cmオーバーを連続で釣り上げた。負けじと小野さんも20cm級を連チャンのデッドヒート、2人のバケツの中が赤く染まってゆく。私もカメラを回しながらも6尾、7尾とバケツの中が賑やかになってゆく。「トモで良型があがったよ」と船長が教えてくれたのでカメラを持って跳んでいく。宮坂さんが手にしていたのはこの日の一番の良型。測ると24cmピッタリ。船長もデジカメに収めながらニッコリ。好調だった一時も北風が西寄りに変わり一段と強くなった。白波が立って“ウサギが”跳ぶ始末。竿も風に揺さぶられてアタリが取れないほど。それでも風の揺さぶりと異なるアタリが伝わって来るが、なかなか喰い込まないでバラシの連続。「アレ、またバレた」、「折角アタりがあったのに」の声が聞える。偶に釣れて来たのは、唇の先の方にチョコッとハリ掛かりしているだけ。風のせいか、はたまた潮温低下で活性が低いのだろう。そんな時、菅野さんの胴調子の竿が大きく弧を描いた、重そうだ。慎重にリーリング、皆が海面を覗きこむ。暫くして姿が見えたのは赤銅色した700か800g位のタコ。足を広げて上がって来た。タモ取りに連れて来たと言われた甥の小野さんが無事タモで掬った。

ウーン風が強くてアタリがわからない
甥っ子より大きいの釣らないと
面目ないからね
私は釣られたくなかったんだ

これはデカイ、まるまる太った24cm!船中一番かな
こいつもデカいでしょ、でも24cmには負けるか

入れ喰いは9連チャン!

この餌に騙されちゃった
強い西風は1時間余り吹いていたが、また北風に変わり、少し風が弱まって来たのをみて船長、竿上げの合図。久里浜港の真沖にあるアシカ島北側に移動した。水深が32mのポイントだ。ここは今までより根が荒く海底の起伏が激しい、タナ取りを小まめにしないと直ぐに根掛かりしてしまう。私の竿が硬いのか、頻繁にアタリがあるが喰い込まない。バラシの連続だ。それならとオモリを30号に付け替えた。これが正解、アタリがあっても少し送り込んで喰い込みまで待つと、ブルブルと小気味よい引き。ただし待ち過ぎると根に入られてしまう。型は20cm級だが入れ喰い。入れ直してタナを取って、少し誘いあげながら待っているとコンコン!何と9連チャン。左舷トモの宮坂さんにもアタリが続いた。しかし、潮の流れが緩慢になって来るとアタリも遠のいていった。

バケツの中は赤い魚体で埋まっていく
またまた釣れました
連チャン連チャン

この日の釣果は…

この日は、「風がなかっタラ」、「潮温が下がっていなけレバ」の残念なタラ、レバの日だったが、風に悩まされながらもまずまずの釣果。トップの宮坂さんが24cmを頭に25尾、極端に小さいのもいなかった。他に20cm弱のオニカサゴが4尾(すべて放流していた)。私は終盤の連チャンのおかげで22尾、他にオニカサゴが4尾(私もすべて放流)、菅野さんと小野さんの叔父、甥のコンビは20cmオーバーが半数近くいて2人で22尾。「条件さえよければ確実に釣れる」と確信した。

良型が揃いました
クーラーの中はこの通り
この日の釣果、良い型も交じっているでしょう

(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)

今回利用した釣り船
神奈川県久比里港『山下丸』
〒239-0828
神奈川県横須賀市久比里1-3-3
TEL:046-842-8856
(定休日:第2、4金曜日(第5金曜日は不定期))
詳細情報(釣りビジョン)
山下丸ホームページ
出船データ
乗船料金:8,000円
(餌、サバ切り身付)
出船時間:8時
沖上がり:15時
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