すっかり陽が落ちると、そこには想像以上の暗闇が。空を見上げると満点の星が広がっていた。海岸にはポツリポツリとヘッドライトの光。駐車場は常に出入りする車。皆あちらこちらポイントをチェックして周っているのだろう。ポイントに着いては海岸を歩き、海を隈なくチェックしてホタルイカを探すという、何とも根気と根性のいる作業である。私達もロッドにホタルイカルアーをセットして、念のためタモとバケツを持って海岸へ。このポイントで出会った大阪から来た釣り人の話では、ここのポイントでは大きなマダイやフクラギ(ブリの幼魚)、アジなどが釣れるそうだ。極寒の浜にテントを張ってホタルイカを待つ人々を横目に、まずは消波ブロック周りへ。「さ、寒い!つ、冷たい!」。初めて投げるホタルイカルアー。着底を意識し、ストップ&ゴーでひたすら投げる。波があって中々上手くルアーを操ることが出来ない。少しでも油断すれば根掛かりだ。周りを見渡すと多くの釣り人が寒さに耐えながら釣りをしている。しかし、どの釣り人にも釣果はなかった。「ホタルイカすくい」の人たちも、必死でホタルイカを探しているようだ。皆で情報交換をしながらホタルイカを待った。ほかのポイントからやって来た人も多くいたが、どこもまだホタルイカの姿は見られないと言う。やはりこの波が影響しているとのことだ。その上この気温。潮回りや新月といった条件ばかりに囚われていたが、実際に現場に立ってみないと分からない事が多くあった。過酷な夜を共にする釣り人達とは一体感があった。「釣れないね~」と言葉を交わし、ポイントを移動してまたルアーを投げる。浜の砂利に足を取られながらも、ひたすら歩き「ランガンだ!」。しかし、アタリはない。あと1時間で夜明け!と言う頃には、30人程の人が海岸に集まっていた。後で話を聞くと、前回この浜でホタルイカが沸いた時間だったそうだ。話をした人の中にはもう3日もホタルイカを待っている猛者も。すると、空は次第に明るくなり夜明けがやって来てしまった。改めてホタルイカに出会う難しさを思い知ったのだった。しかし、多くの釣り人と出会い、多くの時間を共有できた事は実に有意義で楽しかった。ポイントも色々分かった!装備も何が必要か分かった!足を運んだからこそ分かったことが多くあった。この釣行は決して無駄にはならないであろう。これで来年のホタルイカシーズンにはスムーズに入ることが出来る。あの漆黒の海に輝く青い光を求めて、またチャレンジしようと思うのであった。*次回のホタルイカチャンス日は5月14日頃から28日頃との事だ