第37回「釣りビジョン」番組審議委員会 議事録
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開催年月日
2023年5月26日(金)14:00~
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開催場所
株式会社釣りビジョン(東京都新宿区西新宿三丁目9番19号 イマス西新宿第二ビル3階 TEL 03-3373-0753)
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出席者
番組審議委員:6名出席
- 岡田順三(ジャパンゲームフィッシュ協会 名誉会長)
- 尾坂利汐人(水産庁資源管理部管理調整課 沿岸・遊漁室釣人専門官)
- 工藤貴史(東京海洋大学 教授)
- 下山秀雄(公益財団法人日本釣振興会 専務理事)
- 鈴木康友(株式会社つり人社 取締役会長)
- 山田邦子(タレント)
ご欠席:飯島正宏、小松智昭、善当勝俊(敬称略、50音順)
(株)釣りビジョン役職員
- 嶋村安高(代表取締役社長)
- 宮地純也(制作部長)
- 小野貴晃(制作部 部長代理)
- 梅沢正亮(制作部 制作二課長)
- 吉田 諭(編成部長)
- 氏江大祐(編成部 編成企画課長)
- 飯塚佳子(事務局)
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議案
番組に対する視聴者のご意見(クレーム)について
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審議
上記の議案に関して審議を実施した。審議内容については以降の通り。
当社 : 開会宣言 13:30
【議案 番組に対する視聴者のご意見(クレーム)について】
- 当社
- 新型コロナウイルス感染症拡大により対面での番組審議委員会が開催できておらず、久々の開催となります。今回は2021年10月~2023年3月の間に届いた視聴者からのご意見に基づいて、該当映像をご覧いただきながら個別に審議願います。
- 当社
- 釣りに関する配慮やマナー、視聴者が不快と感じたというご意見がメインとなります。7件抜粋させていただきましたので、ご意見をお願いします。
- 当社
- ソルト番組『ソルトギャラリー』で、アングラーがタチウオを素手でつかみ、口にかかった針を素手で外す行為について、魚が弱ってしまうのではないか、釣り番組としてふさわしくないのでは、というご指摘について審議願います。
- 委員
- イカ先生ですからね、何千匹も釣っている人ですからね…。
- 委員
- アングラーは慣れていらっしゃることもあり、魚のサイズが小さかったことを伝えたかったのだと思うが、針を外してからコメントしてもいい。そのシーンをずっと撮っておく必要もなかったのでは。もう一度、制作側は気を引き締めるべきかもしれません。映像はいろんな人が見ているので一番正しいということをやっていかなくてはならない。
- 委員
- アングラーはプロなので問題なく対応できたが、視聴者のために、タチウオを素手で触るのはやめるようテロップを出しておけばよかったのかもしれません。タチウオは素手で触ると危ないということは一般的に知られていることではありますが、いろんな人から見られている立場であることを再度認識すべき。
- 委員
- 素手で魚を触ると魚はやけどしてしまう。そして、このご意見に関わらず、番組審議委員会で挙がる題材でこれまでもリリースシーンに関する内容は多い。それだけリリースの取り扱いは難しいのかもしれません。逃がすことは良い事と思う人もいれば、魚がかわいそうだと思う人もいる、リリースシーンの取り扱いについてもう一度考えてもいいのではないでしょうか。
- 当社
- たしかにリリースする、しない以前に制作側として、小さい魚が釣れてもぞんざいに扱わないなど、ルールを決めておくべきだった。他の番組では安全面を考えてフィッシュグリップを使ったりもしているので、そういう面をさらに強化していこうと思います。
- 委員
- いろんな方々が見るものなので、一番安全に扱っているものを映像にすべきだと思います。
- 当社
- はい。今後の課題として検討していきたいと思います。
- 当社
- ソルト番組『やっぱりシー研 海洋生物研究所』で、出演者が船べりで腰を掛けて足を外に出したり体を乗り出した状態で釣りをしていることは危険であり、テロップでの注意喚起もなかった、というご指摘について審議願います。
- 委員
- 番組では足が悪いって言ってますよね?
- 当社
- はい。テロップがなかったとのご指摘ですが、実は3回ほど、出演者の足の状態が悪いのでこのような姿勢で釣りをしている、といった主旨のテロップを掲載しておりました。それでも見ている人に伝わらなかったということは、発信側の課題として受け止めています。他のテロップに紛れないよう、テロップサイズや配色、「間」といった部分で、より目立たせる工夫が必要だったかもしれません。
- 委員
- これは遊漁船で船長がいるのですか?
- 当社
- はい、おります。出演者は「所長」と呼ばれており、「船長」「所長」とテロップが混在しており見ている人にとって分かりにくかったのかもしれません。現に、皆さんが混乱されているのでテロップの配色やレイアウトを考えるべきだったかもしれません。
- 委員
- 理由はあっても、そういう格好で釣りするというのは確かに見苦しい。みなさんが見ている番組ですからスタッフがケアすべきだったかもしれません。
- 当社
- 足の状態が悪いという条件下で、この船でよかったのか、この釣り座でよかったのかなど、そういったところを考えるべきだったのかもしれないです。
- 委員
- 出演者と同じように足の状態が悪い人でも「そういう手があったのか」「まだまだ釣りに行けるな」と、思わせる形があったのかもしれない。けれど、これだと「もう行けないな」と感じてしまう。
- 委員
- 通常の遊漁船ですと釣り座が狭いですが、この船はプレジャーボートタイプで釣り座が広いですよね。ただ、急に大きい船の引き波にあたると、落水も考えられるので怖いですよね。
- 当社
- そもそもこの釣りをチョイスすべきだったのかという点と、フォントや色使いといった面からもテロップが甘かったため、注意喚起になっていなかった、と反省しています。
- 委員
- どうしてもこの釣りがしたかったのですか?出演者にスタッフも言えなかったのでは?お互いにアイデアを出し合い、話し合ったほうが今後のためにもよいと思います。
- 当社
- おっしゃるとおりだと思います。
- 当社
- ソルト番組『メタルバスター』について、魚をバラし過ぎる、ルアーをくわえた魚の末路も考えるべき、というご指摘について審議願います。
- 委員
- 昔から魚をバラすことも釣りの面白いところ。これまでも、さんざん切られているからね、毎回カンパチにね。
- 当社
- それがスリルであり、釣りの醍醐味でもあるのですけれどね。
- 当社
- 出演者も、制作者側も狙った魚を釣り上げたいという点は一緒で、もちろん故意でやっているわけではありません。今後も番組制作にあたっては事実を視聴者の方々に伝えるという点は一貫性をもって続けていくつもりです。話を突き詰めていくと釣り自体を否定してしまうことにもなり兼ねないため、ここではバラシたことによって魚に与える影響、更にはどのように映像にしたら誤解なくお伝えできるのかという観点などからもご意見いただけると幸いです。
- 当社
- 補足ですが、このロケではルアー自体はすべて回収できております。もしかすると、視聴者の方々にはルアーが魚の口に引っかかったままバラシてしまったというイメージがあったのかもしれません。
- 委員
- 魚が相手の釣りでは仕方ないことだと思います。
- 委員
- 昔、ゼロ釣法で0.1号というラインが出たときがあった、尺がかかったときにどうするのか…それは釣り上げられない、釣り上げられる確率はいくつなのか、という点で私は0.1号の釣りを猛反対したことがある。そんなのは釣りじゃない、と。その後、1.5とか2.0号とかでやるようになった。そういうことだと思う。釣り上げられる確率からして磯からキハダを釣っていいのかということも考えなくてはならない可能性もあるかも…。とにかく、かなり慎重にならないといけないのでは?何回もバラシているというのはその釣りが成立していないと考えないといけない。もう少し考えたほうがいい。
- 委員
- 魚は口に針が掛かってても、その後に大体外すんですよね。
- 委員
- はい、そうですね。針は殆ど残っていないです。大体、口に掛かった場合は外れるケースが多く、さほどダメージはない。
- 委員
- 私もマグロを釣ったことありますが、船で体をのけ反って釣り上げるくらい力を入れるのに、プロはこんなに危なっかしい崖のようなところでも出来るものなのですね。私はそっちにドキドキしてしまいました。
- 当社
- なかなか誰もができる釣りではないと思います。やはり危険性もあるので、経験値は必要だと思います。
- 当社
- 制作陣としてはチャレンジの心がありますが、放送サービスとしてどこまでチャレンジを出せるのかというせめぎ合いのところがある。危ないから止めるという方向に行くと可能性の芽を摘んでしまうので、みなさまのご意見をうかがいながら正しく伝え、見せていきたいと思う。これに関してはその部分が足りていなかった気がしています。
- 当社
- ご指摘いただいた通り、極端な細仕掛けで大型魚を狙うようなケースはこのようなシーンを増やすだけなので、制作側の反省点としては、調整がもっと必要だったかなと思います。
- 委員
- 余談ですが、今、磯からのキハダ釣りがフィーバーしている。それが良い悪いということではなく、そういう現実があることは覚えておいてほしいです。ただ、もっとパワーのある道具で磯からもっと大きいキハダを狙っているということが現実的にあります。
- 当社
- 今回はバラシというご意見でしたけど、危ないと思う人も必ずいると思います。
- 委員
- まぁヒラスズキでも石鯛釣りでも、あんな危ない釣りを何でやるんだという人も居るけど、大きな問題になっているとは思えない。ただ実際危ない点もあるので注意も必要。
- 当社
- 気を付けないといけないことは、事故とケガを誘発することは絶対に避けないといけない。
- 委員
- この程度なら、ぜひ放送で流してやってくださいよ。
- 委員
- バラシの数は多かったけど、魚は大丈夫だということですね。
- 委員
- はい。
- 委員
- キハダ釣りには針に返しがないとダメなのでしょうか?視聴者の方々は魚へのダメージを心配されていらっしゃいますので。
- 当社
- 個人の判断によりますが、バーブレスフックを使用すると決めているアングラーもいます。しかしこれを強制することはできないです。しかし、今後はそのような釣りを提案することも考えてもいいかと思います。
- 当社
- 年末特番『釣りうま女王決定戦』について、船長が出演者の女性に「頭からすくうんじゃボケ」と発言したことは不適切ではないか、というご指摘について審議願います。
- 委員
- 特に問題なく感じる。ボケとは言っていないですね。「頭からすくうんじゃ」だけしか言ってないですよね。
- 当社
- はい。比較的強めのトーンで言っておりますが、ボケという言葉は使っておりません。
- 委員
- 最近、言葉遣いについて視聴者の目が厳しくなってきましたね。
- 当社
- 視聴者からのご意見で、発言に関する内容が増えてきているように現場としても感じています。
- 当社
- 船長と、言われたメンバーは仲が良いというのもあった。ただ、その関係は視聴者の方々には伝わらなかったのかもしれません。
- 委員
- 言葉は強いかもしれないけど、ただ「頭からすくうんだよ」と、ただ教えているだけですよね。今は「頑張って」という言葉も最近は使ってはいけないのかなという時もあり…言葉遣いは難しいですね。
- 当社
- 船長の言っていた言葉をテロップで出しておりましたが、わざわざ強調する必要はなかったのかもしれません。
- 委員
- テロップでは、話した言葉をそのまま表示させるのではなく、きちんと編集をして、「頭からすくうと良いですね」「頭からすくうのが正しい」などとテロップを出したら良かったかもしれない。
- 委員
- 私は、違和感はまったくありませんでした。ただ、そういう風に感じる人がいるということは注意しないといけないということでしょうね。
- 当社
- おっしゃるとおりです。
- 当社
- マナー関係でいいますと、釣りをしている際の喫煙は控えており、実釣シーン以外のサングラス着用などについても配慮しております。
- 当社
- この番組はチーム対抗戦で競っているときに、船長がヒートアップして魚をしっかりキャッチしてほしいという気持ちになったのだと思います。みなさんがおっしゃるとおりわざわざテロップで強調する必要はなかった。本件につきましては事前に私どもでも話をしており、今後はしっかりと配慮をしていきたいと思います。
- 当社
- 番組『釣りの革新者 Megacomplex』について、出演者が「女性でも~~」と口にしているとのご指摘について審議願います。
- 当社
- 女性でもキャストしやすいという意味であり、誰にでも使いやすいということだったと思うのですが、いかがでしょうか。
- 委員
- 女性蔑視とは感じなかった。女性という言葉が出てくるだけで平等ではないと思われる方もいる。これに関しては、私は悪くないと思いますね。
- 委員
- 女性でも扱いやすいですよ、という表現は昔からあった。あまり気にし過ぎると、何もできなくなってしまう。
- 委員
- これはいいのではないでしょうか。これは大ぶりのルアーでも簡単にキャストできますよと言いたかっただけでしょうから。
- 当社
- はい。今後は更にジェンダーの配慮など表現のチョイスが大事になるのだと思います。
- 当社
- 番組『伝心伝承』において、釣りの休憩中に磯でおにぎりを食べているシーンで、おにぎりのフィルムを磯の隙間にねじ込んでいる、とのご指摘がありました。これついて審議願います。
- 委員
- このシーンはカットすべきだよね。
- 委員
- 飛ばないようにしただけで、捨てたわけじゃないですね。ただ紛らわしかったかもしれないですね。
- 委員
- キャラクターもあるけど、ポケットに入れたらいいだけです。出演者は有名な方なので見ている人が真似してしまいますよ。
- 委員
- そうですね。ポケットに入れたらいいですね。
- 委員
- ポケットに入れられなかったらゴミ袋に入れたらいいのです。釣りが終わった後は釣り場を綺麗にして帰らないといけないのです。
- 委員
- 休憩中ののどかな良いひとコマなんですけどね。カットすべきですね。
- 当社
- 今後は、このようなシーンは使わない、このシーンを使いたかったらフィルムを回収するシーンも見せるようにします。現にこれは回収して持ち帰っているので…。そもそも、やらないに越したことはないと思います。今後はしっかり対応をしていきます。
- 当社
- ソルト番組『Dz SALT 2ND』について、シイラの腹に針が刺さっていたのに魚を船上から海へ振り落とした、更にはキズついた魚や弱らせた魚はキープするべき、というご指摘について審議願います。
- 当社
- 素手で触るより、この番組のようにリリーサーを使ったほうが魚のダメージは少ないという理解はお持ちかもしれませんが。魚へのダメージがありそうな箇所にフッキングしてしまった点から、このようなご意見につながったのではと考えています。
- 当社
- 補足ですがこの番組ではヒラマサを狙っており、ヒラマサはシイラを捕食しています。それを表現するために番組でルアーを打ち込んだら本当にシイラがかかってしまったというシーンです。
- 委員
- スレでかかることはいろんな釣りであること。このシーンは、直接手で触らずに魚を逃がしているからいいのではないかと思う。これが一番無難なやり方かなと思います。下手に船に取り込むより、早く逃がしているのでよかったのではないでしょうか。
- 委員
- いいのではないか。特にこのシーンを放送しないというのも難しいのかな、だからこれを指摘されると難しいですよね。
- 委員
- 違和感はないですよね。スムーズに対応して、よく逃がしたなと思いますけどね。
- 委員
- リリースって人によって捉え方は全然違いますよね。だから番組として映すかどうかというのは考えた方がいいですよね。やっている側は、リリースは資源の為にやっていると思う人もいるし、それをすばらしいなと思う人もいる、その一方では釣った魚はすべて食べたほうがいいという人もいる。リリースシーンを放送する意義、価値を少し考えたほうがいいと思います。無理にリリースのすべてを放送する必要はないのかなと感じました。
- 委員
- どの釣りでもあのような形でリリースする。トローリングやってシイラが釣れても、この番組のような感じで逃がしている。これは普通のシーンかなと感じます。
- 委員
- イギリスでは釣りの在り方について意見が割れており200年間論争を続けているという。太い糸で早く上げて〆て食べる側と細い糸で時間をかけてやり取りして楽しむ側と決着はついていないらしい。つまりは、いろんな意見があるというのはしょうがないということ。
- 委員
- 今後もルアーフィッシングをするにあたりスレ掛かりする確率は高いと思います。それをどのように対処するか、ある程度の決め事をしなくてはいけないかもしれないですね。
- 委員
- 放送であることは、非常にデリケートであり、いろんな人が見ているということを頭に入れておくべきかなと思います。
- 当社
- おっしゃるとおりです。貴重なご意見をありがとうございました。
終了時間 15:00
以上