第38回「釣りビジョン」番組審議委員会 議事録
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開催年月日
2024年7月10日(水)14:00~
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開催場所
株式会社釣りビジョン(東京都新宿区西新宿三丁目9番19号 イマス西新宿第二ビル3階 TEL 03-3373-0753)
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出席者
番組審議委員:5名出席
- 尾坂利汐人(水産庁資源管理部管理調整課 沿岸・遊漁室釣人専門官)
- 工藤貴史(東京海洋大学 教授)
- 小松智昭(一般社団法人日本釣用品工業会 専務理事)
- 鈴木康友(株式会社つり人社 取締役会長)
- 山田邦子(タレント)
ご欠席:大藤謙一、下山秀雄、東 知憲(敬称略、50音順)
(株)釣りビジョン役職員
- 嶋村安高(代表取締役社長)
- 吉田 諭(プラットフォーム営業部 部長)
- 氏江大祐(編成部 部長・制作部 部長)
- 小野貴晃(制作部 部長代理)
- 原 慎哉(制作部一課 課長)
- 梅沢正亮(制作部二課 課長)
- 伴野 僚(制作部三課 課長)
- 飯塚佳子(事務局)
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アジェンダ
- (1)2023年4月~2024年3月における視聴者ご意見について
- (2)釣りビジョン放送番組基準改定について
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審議
視聴者ご意見に関して審議を実施。釣りビジョン放送番組基準改定についての諮問答申。
内容は以降の通り。
開会宣言 14:00
(1)2023年4月~2024年3月における視聴者ご意見について
- 当社
- 視聴者からのご意見に基づいて、該当映像をご覧いただきながら個別に審議願います。
- 当社
- 2024年2月上旬に福井県でロケを行った番組『ぶらりバスの旅』で、贅沢なホテルに宿泊するなど能登半島地震の被災者への配慮に欠けているのではないか、というご意見について審議願います。
- 当社
- ロケ地は福井県越前・坂井エリア。宿泊先や訪問先から事前に了承を得てロケを行いました。ここは震災の被害はほとんどなく、撮影に対しても地元の皆さんは好意的でした。ホテルでも歓迎いただき、ご厚意で予約していた部屋よりもグレードアップしていただきました。今回のように、大きな被害がなかった地域の場合はロケを決行してよいか、判断が難しいところです。
- 委員
- 都内の駅で行われているお酒のフェアだとか北陸のものを購入することで北陸への経済効果をもたらすのでやったほうがいい。
- 当社
- はい。もちろん私共は応援の意味も込めてロケ決行に至りました。
- 委員
- 自然災害というのは日本のどこでもあり得ること。そこが海岸沿いであれば、釣り人だったら釣りに行きますしね。そういう人たちが、また地元の人を助けるわけだし。だからといって番組タイトルに「がんばれ能登」といった言葉を入れたらそれでいい、という問題でもないと感じます。今回のロケ決行の判断は問題なかったと思います。
- 委員
- 私も問題ないと思う。風評被害もあり、あまり観光客が多い時期ではなかったので、そこで釣り人が訪れるというのは地元にとって大きな期待があると思います。また、この番組は釣りだけではなく、こういう楽しみ方もあるという旅の提案ができており非常によかったと思う。
- 委員
- 結論からいうとみなさんと同じです。風評被害の地域もあり、逆に応援すべきだと思います。別の局の番組では、当時、テロップ等で北陸によく触れていた記憶があります。つまり応援ですよね。本件に関しては、まったく問題ないと思います。
- 委員
- しっかりと調査した上で現地に入られている。こういう場所でお店は営業しているという宣伝にもなりますし、その地域の活性化にもつながると思います。
- 当社
- 家屋が倒壊し避難生活をされている方がいらっしゃる地域については、もちろん配慮すべき。しかし、その近郊で通常どおり営業をされているところがあれば、そのエリアは被災を受けていない、というメッセージを送れたら良いのかなと思います。今後は委員の皆さんのご意見をふまえて、ロケの決行・中止等を決めていきたいと思います。
- 当社
- ヘラブナ釣り大会の模様を収めた番組『2023 M-1CUP 全国へら鮒釣り選手権大会』について。大会の模様を見たいが解説やトークシーンが多過ぎる、今後はもっと釣りのシーンを入れてほしい、というご指摘について審議願います。
- 当社
- これは編集についてのご意見であり、出演者に対するものではございません。
- 委員
- ヘラブナ釣りをしている私にはこの解説はとても楽しかった。これくらいきめ細やかに解説してくれると非常に分かりやすいんです。そもそも競技中に選手へはインタビューはできないですし、選手が今何をやっているのかわざわざ見せてくれることはないですしね。私はこの意見とは逆で非常におもしろかったですし、参考になりました。
- 委員
- 今はYouTubeやTikTokなど画面重視で見ている人が多いのではないでしょうか。副音声で解説があればいいのですが…。嗜好性は二つあるということで、仕方がないのかなと思います。
- 委員
- いろんな釣りがあるからいろんな番組があっていい。私はこれまでヘラブナ釣りを何回もやってきたが実はあまり好きではない。しかし、ヘラブナ釣りが好きな人は点数をつけたり、すごい研究をされている。だからいい番組だと思いましたよ。
- 委員
- 強いて言えば、優勝者のコメントを入れたらよかったのかもしれない。餌や仕掛けの解説を少しでもしてもらったら、見ている方の不満は少し減ったのかなとは思う。
- 委員
- ヘラブナ大会で、ただ釣りしてるシーンを流しているのもおもしろくないし、結果だけでもおもしろくない。解説は大切。ここへ釣りに行く人にも参考になる。また、競技の普及といった面からしても必要だと思います。
- 委員
- 非常に解説が多くて参考になります。情報を収集しないと釣りは上達しない。そういう人には刺さるのではないかと思います。
- 当社
- ありがとうございました。
- 当社
- フライフィッシング番組『フライギャラリー』で、出演者が「イノシシも北海道にはいない」と発言したが、道東地域で生息が確認されているので訂正すべき、というご指摘について審議願います。
- 当社
- 過去に養殖業者がイノシシを逃がしてしまい増えたということはあったようですが、環境庁のHPより「イノシシがいない」ことを番組制作の段階で確認済みでしたのでそのまま使用しました。今回の件ではイノシシですが、魚に関しても常に生態分布は変化していると思われます。制作側としては、正しい生態分布の情報を得るのが難しい、というのが実際のところです。
- 委員
- 仕事で度々北海道へ行く機会がありますが、イノシシはいないと思います。
- 委員
- 今年はフライフィッシングで3回ほど北海道へ行っていますが、釣り仲間のあいだでは「最近は北海道にイノシシがいるようだ」という話題で盛り上がる。だけど、本当にいるかどうかは分からないですけどね。
- 委員
- これに関しては「見たことある」「可能性がある」というしかないですよね。
- 委員
- 私もいないとは思っていたのですが、いるかもしれない。「少数生息しているという情報があります」といったことをテロップで出したらよいのかもしれない。しかし、それでは見ている視聴者が「本当か?」と混乱してしまいますが…。
- 委員
- 魚に関しても一緒ですよね。
- 委員
- 一匹そこにいたからといって定着しているという実証にはならないですね。現場で見ている方がいらっしゃるから、そういう話が出てくるのだとは思うのですが、その話を聞いて生息していると断言はできない。
- 当社
- テロップを加えたり、不確かな部分はカットするなどの編集が必要だったかもしれません。
- 当社
- 今後は、そういったところに留意して制作を進めていきたいと思います。
- 当社
- 釣りとアウトドアの番組『釣りとナニスル?』で、番組内で紹介されている「鮎しゃくり」は「ちょん掛け」であり別物なので訂正すべき、というご指摘について審議願います。
- 当社
- 漁協関係者立会いのもとに撮影を行い、実際に「鮎しゃくり」とおっしゃっておりましたので間違いはございません。番組冒頭では、地方によって呼び方が異なりますといったテロップを出しておりましたが、該当シーンでもテロップを出すべきだったと感じています。
- 委員
- 鮎しゃくりについて調べてみた。場所によって呼び名は曖昧で、やり方もいろいろ。現にこのような釣り方をしゃくりと呼んでいる地域はある。なので間違いではないですね。漁協の人がおっしゃっているのならば問題ない。
- 当社
- 地域の呼び名を確認し、どう取り上げ、どう発信していくかというのが難しいところです。
- 委員
- 漁協の人が指導してくれて、この釣り方はこう呼んでいるという話であり、これはなんら問題ないと思います。
- 委員
- 地域で言葉も魚の名前も違いますし問題ないと思います。確かにテロップを入れるのはいいかもしれない。
- 委員
- 問題ないと思う。呼び名やルールは地域によって違う。かなり細かく言い出すとちょっときりがない部分もある。これに関しては漁協がちゃんと言っているので問題ないと思います。
- 委員
- 地域で魚の呼び方は違う。それだけの話だと思います。見ている方が新しい発見となればいいのではないでしょうか。
- 当社
- 実際に視聴者の方々が番組のどこから見るかは分からないということですね。冒頭でテロップを出したといっても、今後はどこから見ても分かるよう、なるべくケアしながら制作にあたりたいと思います。
- 当社
- 番組『おかげさまで釣れてます!』で、サブタイトルに「宮城県南三陸」とあるが実際に釣りをしているのは石巻市(追波湾)なので誤解を招く、というご指摘について審議願います。
- 当社
- 出港地が宮城県の南三陸町だったのですが、実際に釣りをする場所が宮城県石巻市沖となりました。それを加味してサブタイトルは、エリアの総称として「南三陸」としましたが、視聴者に誤解を招いてしまいました。ちなみに三陸海岸とは青森県八戸市から岩手県の太平洋側を経て、宮城県の牡鹿半島までのリアス式海岸を指していることから、今回はそれに該当すると判断しました。出港地と実際に釣りをする場所が離れていたり、県をまたがったりすることは、船釣りではよくあることではあります。ご意見をお願いします。
- 委員
- 難しい。出船地だけを表示するのも分かりにくいですしね。こっちから出船して、あっち側で釣るというのはよくあること。なのでそれはあまり気にしなくていいとは思います。出船場所は記しているのですよね?
- 当社
- そのとおりです。
- 委員
- そうですね。宮城県三陸沖って言えば間違いないんですけどね。南三陸というと地名になる。表記、海域の名前、というのは難しい問題ですよね。
- 委員
- 追波湾と書くより、全国の視聴者様がわかりやすいように南三陸と表記したのだと思いますが、この場合は三陸沖と書いた方がより適切だったのかなと思います。番組制作にあたり、漁業者様の視点というのも今後は必要になってくるのかもしれませんね。
- 当社
- 我々もいろんな人に見ていただいているということを念頭に置き、表記していきたいと思います。
- 当社
- ここからは、寄せられたご意見を基に、当社の取り組みや対処などを報告させていただきます。
- 当社
- 番組『オトコの釣りメシ』で、テロップが出るたびになる効果音(拍子木)がうるさい、同じコメントを繰り返す編集は冗長で退屈、というご指摘について。
番組内での演出としまして、大切なキーワードの部分に拍子木の効果音を入れています。また番組の出演者は料理の腕前だけではなく話術に長けており、ユーモアを交えた印象深い言葉で料理のコツなどを表現されます。この番組では、そのような印象深い言葉を切り取り、ときに効果音を加えながらもう一度聞かせる演出で、番組をさらに味わい深いものにしたいと考えております。番組は多くの視聴者から高い評価をいただいておりますため、当社としては今後も演出や効果音はそのままに制作していく予定です。
- 当社
- 番組『アナタに釣っていただきます!』で、使用している首掛けタイプのライフジャケットについて着用方法が間違っているのではないか、というご指摘について。
確認したところ着用方法が間違っておりました。すぐに社内協議を行い、まだリピート放送が残っているタイミングでしたので、視聴者の安全を守るため、さらにはコンプライアンスの徹底という観点から放送中止、同時に釣りビジョンVODでの配信も即時ストップという決断をいたしました。重大な事故につながる恐れもありますのでこのような判断に至った訳ですが、番組内容も非常に良かっただけに残念な結果となってしまいました。反省点としましては、最新式のライフジャケットを使用することになった際、現場の撮影スタッフが取扱説明書などで正しい装着の仕方を確認することを怠った、という部分が挙げられます。これで大丈夫だろうという全員の思い込みが思わぬ事故に繋がるということを再認識するとともに、制作部では勉強会を実施し、最新のライフジャケットの種類や装着の仕方を改めて確認するなど再発防止に努めておりますことをご報告させていただきます。 - 委員
- 私は今年から、鮎釣りでもライフジャケットを着用しています。歳を重ねるとつくづくライフジャケットは必要なものだと感じています。近々、鮎釣りも全員がライフジャケットを着用するという時代がやってくる気もしています。
- 委員
- 釣りビジョンがライフジャケットの着用方法を間違ってはいけない。
- 当社
- 不徳の致すところです。今後は充分に気を付けていきたいと思います。
- 当社
- 番組『follow my F』で、別のボート屋さんが所有する桟橋にはキャストしてはいけないルールになっているのではないか、というご指摘について。
ロケ当日にお世話になった、現場の管理者でもあるボート屋に、出演者とスタッフで事前確認を行っております。人がいない場合は問題ない、との回答をいただいておりました。このご指摘をいただいた後、念のため再度確認したところ、やはり同様の返答をいただきました。また番組内でも出演者がキャストする前にしっかりとそのあたりのルールやマナーについて説明していますので、問題ないと判断しております。とはいえ誤解を与えないよう、ルールやマナーについてのテロップがあってもよかったのかもしれません。今後も事前確認はもちろんのこと、コンプライアンスを徹底していきます。
- 当社
- 番組『釣りうぇ~ぶ』で、料理・食事シーンがあったが室内なのに帽子を被ったままでありマナーが悪い、というご指摘について。
アングラーが自ら釣った魚を自宅に持ち帰り、料理して食べるという内容となっております。出演者が着用しているキャスケット(帽子)は本人のトレードマークにもなっており、プライベートの空間であることもあり問題ないと判断しています。このように、食事シーンや室内での帽子やサングラスの取り扱いについては、制作部で取り決めたルールに従い、今後も撮影の判断を行ってまいります。これからもコンプライアンスを遵守し、視聴者の皆様に不快な思いをさせないよう、服装やマナーを常に意識しながら、定期的に出演者への教育なども行ってまいります。
(2)釣りビジョン放送番組基準改定について
- 当社
- 当社は基幹放送事業者として、放送番組の基準改定に当たっては、委員のみなさまへの諮問が必要となりますので、今回アジェンダに取り上げさせていただきました。 本件は、放送倫理・番組向上機構(BPO)が、出演者保護の観点で、放送各局に自主的な取り組みを求めたことに端を発し、民放連、衛星放送協会が放送基準を改定した訳ですが、当社もそれに倣い、条文を追加するものとなります。追加する条文については、資料にある朱字の通りとなります。異議等ございませんでしたら、条文追加し、今後の制作過程において出演者への配慮を行って参ります。
- 委員
- (一同異論なし)
- 当社
- 出演者の皆様をお守りするという義務が私たちにもありますので、しっかり対応し明確化するという趣旨でございます。皆さまどうもありがとうございました。
終了時間 15:00
以上