2010.5.15号
つり幸・神奈川県川崎
東京湾・半夜釣りのアナゴ絶好調、何と73本の爆釣!
決して前評判が良くなかった今シーズンの東京湾のアナゴだが、蓋を開けてみると、連日のようにトップが50本を超える大釣り連発。嬉しい誤算に船宿も釣り人も大喜びなのは言うまでもない。沖縄では5月の上旬に梅雨入りしたそうだが、“梅雨アナゴ”の言葉通りシーズン本番はこれからだ。そんな中、川崎『つり幸』の乗合船で信じられない光景を目の当たりにして来た。
まだ明るい内に初獲物が上がる!
午後5時30分に川崎の船着場を河岸払い。東京湾を横断する形で釣り場の木更津沖に向かった。釣り場までは航程凡そ30分、あたりはまだ明るく、夏間近かを感じながら支度を整えた。
釣り場には、既に10隻を超える船が到着。しかし、船と船の間隔は広く、大半の船が、乗船人数も数えられない程離れていた。それは釣り場の広さを物語っており、期待に胸が膨らんだ。
船上灯も必要ない6時10分にスタートした。「右舷で型が出たよ」。5分も経たない内に上乗りの品川昌男さんの元気な声が船上に響いた。これを皮切りにあちらこちらで竿が立てられ、船上は一気に活気付いた。
左舷胴の間(中央)に陣取った小生の竿には、なかなかアタリがなかったが、暫くすると2本竿の右手にモゾッと微かな感触、ひと呼吸待って思い切り合わせると、ガッチとした手応えで初獲物が掛かった。釣れて来たのは、34、35cmのまずまずサイズ。“白焼き”にピッタリな大きさだ。
船中で次々に…
左舷トモ(船尾)側に陣取った女性を含む若者グループにも1本、また1本とアナゴが掛かり、嬉しそうな声が船上に響き渡った。
小生にも2本目、3本目がハリ掛かりし、左舷ミヨシ(船首)で2本竿を構えたベテランらしき釣り人も立て続けにアナゴを釣り上げていった。
小生が6本目のアナゴを釣り上げた頃、江戸前アナゴ釣りでは恒例の“船上捌き”が始まり、この日舵を握った幸田忠明船長が、慣れた手つきで次々にアナゴを捌き始めた。
シーズン中に30回釣行の大ベテラン
「これ右舷の大ドモの人-」。そういいながら上乗りの品川さんが、バケツに入った大量のアナゴを見せてくれた。少なく見積もっても40本近くは入っていた。時計を見ると7時30分を少し回った頃。釣り始めて1時間と少ししか経っていない。これは見に行かずばなるまい。自分の道具を放っぽり出して、右舷大ドモに向かった。
その人は、3本竿を扇状に並べ、竿先を凝視しながら次々に合わせをくれ、アッという間に3本のアナゴを釣り上げた。船ベリに手製のハリ外しがセットされており、下にバケツが置いてある。釣れたアナゴはハリ外しに引っ掛けると、きれいに外れ、バケツに落ちる。その一連の動作が実にスムーズで見とれてしまった。
この人、『つり幸』の地元・川崎市の住人(『つり幸』まで自転車で15分とか)で石川信行さん(60歳)。10年程前からアナゴ釣りに嵌り、シーズン中に30回は通っているそうだ。
小生の知り合いで浦安の船宿で乗船する度にアナゴを50本、60本と釣り上げる男がいる。これまでの記録は89本というとんでもない“アナゴ男”なのだが、石川さんの釣り方は、彼の釣り方と酷似していた。
終始好調につれ続く
石川さんのこれまでの記録は、61本だそうだが、この時点で既に50本を超えていた。納竿まではまだ1時間以上ある。記録更新の可能性大と感じ、邪魔をしないよう早々に自分の釣り座に戻った。船長は、アナゴを捌きながらもまめに船を移動させ、その度に船のどこかでバタバタとアナゴが釣れ、終始、好調に釣れ続いた。
小生も胴の間の釣り座にしては、飽きない程度にアタリが続き、合わせ損ないや“食い逃げ”を何度か繰り返しながらも12本(船中17人のほぼ平均値)のアナゴを釣り上げることが出来た。
な、な、なんと2時間30分で73本
さて、問題の石川さんの釣果だが、な、な、なんと73本。移動時間などを除けば正味2時間30分の釣りである。信じられない成績だが、この目で目撃した紛れもない釣果である。
午後9時に納竿、9時半過ぎに『つり幸』の船着場に到着。早速、主人であり、大船長である幸田一夫さんを捕まえて73本が“船宿記録”か否かを聞いてみた。しかし、『つり幸』では、かなり以前からアナゴ釣りの船を出しており、古い記録は分からないとのこと。しかし、大船長が知る限りでは、間違いなく一番とのことだった。
73本という釣果は、紛れもなく石川さんの腕がもたらしたものだが、それも魚影が濃くなければあり得ない話。この日釣れたアナゴには、30cmソコソコの“メソッ子”サイズがかなりいた。その他も35、36cm級が多かった。この時期にこのサイズが多いということは、紛れもなく今シーズンの魚影が抜群に濃いことを物語っている。
先に紹介したとおり半夜釣りのアナゴは、これからが本番だ。今シーズンは大いに期待しても良さそうだ。東京湾の大ブランド魚・アナゴをその手で是非釣ってみてはいかがだろう。
(野口 哲雄)
今回利用した釣り船 |
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出船データ | 半夜釣りアナゴ船=餌、氷付き7000円。(午後5時30出船、9時沖上がり)。 |