釣りビジョン

2014.9.15号

石倉渡船・三重県紀伊長島
初秋の三重県・紀伊長島、ボート天国♪名倉湾のサビキ・アジ

04_main.jpg
三重県の紀伊長島は、磯釣りでよく知られた釣り場だが、渡船の船着場がある名倉湾は、ボート釣りでも人気のフィールドだ。波穏やかな湾内に手こぎボートをこぎ出せば、アジやカマス、シロギス、青物など四季折々色々な魚が釣れるほか、船外機付きレンタルボートでは本格的なアオリイカ、テンヤ・マダイも楽しめる。勿論、湾内の固定カセではチヌのカカリ釣りも―。今回は秋のファミリーフィッシングにもオススメの、手こぎボートからのアジのサビキ釣りをレポート。

手こぎボートからのサビキ釣りで中・小アジが数!

9月初旬、紀伊長島の名倉湾は深い霧に包まれていた。早朝は涼しいというより、Tシャツでは寒いくらいの気温だったが、天気予報では日中は気温が上がりまだまだ残暑が厳しいという。
夜明け前、磯の釣り人を乗せた渡船が出船し、続いて湾内の固定カセに渡る釣り人を乗せた船が桟橋を離れた。カセに渡船する2番船が出た頃、ボート釣りの人達が浮き桟橋に集まりだした。
朝日が海面を染める。風も波もなく、ボート釣りには絶好の日和だ。「このところボートからのサビキ釣りで小・中アジが数釣れているので、今日はアジ狙いの人が多いですね」と石倉渡船の若船長・石倉一徳さん。 船外機ボートが軽快なエンジン音とともに元気よく沖へ出ていく。週末(6日)とあって、子供連れの姿もあちらこちらで見かける。ライフジャケットを着け、釣り竿を手にした子供たちの姿は立派なアングラーだ。(日本の釣りを頼んだぞ!)
若い男女のグループもいる。聞けば会社の仕事仲間という。レンタルしたおそろいのオレンジ色のライフジャケットを着け、チームワークもよさそうだ。
上から下までバチッ!とキメた人はチヌのカカリ釣り。名倉湾はチヌ、アジ、シロギス、アオリイカ、マダコ、カマス、根魚、青物など釣れる魚種は多彩、まさにボート天国だ。

早朝、名倉の湾奥は深い霧に包まれていた
朝方は涼しいが日中は30度近くまで気温が上昇するという。パラソルを用意した釣り人も多かった
ベテランからファミリーまで、ボート釣りのファンは多い

底はゴンズイ、上のタナを狙え!

手こぎボートでゆっくりと沖へこぎ出した。両腕に力を込め、体を思いっきり後ろにそらしてオールを引き寄せパドルで水をかく。手応えが重いぶんだけグン、グンとボートが進む。湾の奥はまだ霧に包まれていて幻想的な雰囲気だった―。
霧の中にパラソルを立てて釣りをする人の姿がシルエットで浮かび上がる。時折、ラインがキラリと光る。息を殺して穂先のアタリを待つチヌ師。少し離れた筏に固定されたカセでは、アジが入れ喰いになっていた。 アジを入れ喰いさせていたのは鈴鹿から来た黒川さん。普段は磯釣りだが、この日はカセからサビキでアジを釣っていた。そっとボートを近づけて見ていると、釣れるタナを決め打ちしているようだ。「底を釣ったらゴンズイがくるんヤ。そやから上のタナを釣らんとナ…。下カゴのサビキ仕掛けで、仕掛けはそれほど気にしなくても…なんでもいい」という。コツを聞くと「やっぱり誘いが大切やナ。じっと待つだけでは釣れん。誘ってやらんとアカンよ。アジのタナは日にもよるけど、今日はリールを2、3回巻いてもゴンズイが喰うてくる。7回ぐらい巻いてやらんとアカン」とは黒川さん。
好調な黒川さんを見つけて船外機ボートが近づいてきた。筏にボートをもやって釣りだした。ところがなかなかアジが釣れない。底を釣っていたのかサビキにゴンズイがダブルで掛かってきた。「底はゴンズイがくるよ」と黒川さんが声を掛けた。やがて、ポツリポツリと中アジが上がりだした。
ボートをこいで湾の中央部へ移動してみた。若い男女のグループが手こぎボートを仲良く横一列に連結させて筏にもやい、サビキ釣りをしていた。「アジが少し釣れました~♪」という。岸寄りの筏にボートをもやって釣りをしていた子供連れは、好調に小アジを釣り上げていた。釣り慣れした少年は、釣れた小アジを泳がせて置き竿にしていた。どうやらマゴチやヒラメを狙っているらしい。(やるな~)

仲よく並んでサビキ釣り
「アジが少し釣れました~♪」
「あっ!これは…!エ~ッ!サバですか???」

これからカマスや青物も釣れ出す

天気予報通り日中は夏に逆戻り。名倉湾の端から端までボートをこいで汗だくになった。湾口に近いところではカマスを狙っている人がいた。一徳船長の話ではこれからカマスも面白くなると言う。釣り方はカマスサビキの下にジグを付けてシャクってくるか、軽いジグをキャスティングしてもいいそうだ。磯釣りの人でもこの時期限定で“ボート派”に転向して、ウキ釣りでカマス釣りを楽しむ人がいると言う。塩焼きにすれば最高の魚だ!(朝からご飯が何杯でも食べられる!) 沢山釣れれば干物にしてもGOOD!歯が鋭い魚なので、ハリスを切られないように、ワームフックを使用する人もいる。餌はサンマの切り身、ウキ下6尋(約9M)前後で釣る。そのほかハマチやソーダガツオなどの青物も湾内に回遊してくる。餌釣り、泳がせ釣り、ルアー釣りなど自由に試してみられるのもボート釣りのいいところ。時間も制限時間内なら何時に出て何時に帰港してもOK。もちろん途中休憩、トイレなどで港に戻るのもありだ。
と言うわけで、名倉湾内を手こぎボートで探索してきて、桟橋で一徳船長に言われたひと言―。
「上野さんちょっと痩せはったんとちゃいます?」
「…………」確かによいエクササイズになった。明日は筋肉痛かも…?

手こぎボートでチヌのカカリ釣り。名倉湾ではチヌのロクマル(60cm)も狙える
釣り慣れた少年(写真左)はサビキ釣りをしながら、置き竿でアジの泳がせ釣りをしていた
船外機付きボートは小型船から大型船まで(定員4~14人)合計27隻ある

サビキで釣れるアジは10cmぐらいからこのサイズぐらいまで。小アジはよい日なら3ケタ釣果の人も
鈴鹿の黒川さんがカセからのサビキ釣りで釣り上げたアジ

(上野英輝)

今回利用した釣り船
三重県紀伊長島『石倉渡船』
TEL:0597-47-0712
(交通)大阪方面からは西名阪自動車道~伊勢自動車道~紀勢自動車道・紀伊長島ICから約3分で港へ。名古屋方面からは東名阪自動車道~伊勢自動車道~紀勢自動車道・紀伊長島ICから港へ約3分。
詳細情報(釣りビジョン)
石倉渡船ホームページ
出船データ
(料金)レンタルボート:手漕ぎボート4000円(保険料1人200円)。船外機付きボート9.9馬力11000円~40馬力24000円まで各タイプ有り(保険料1人500円)。詳細は船宿のHP参照。無料仮眠所・休憩所・シャワー・女子更衣室有り。
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー