釣りビジョン

2010.11.1号

長福丸・千葉県大原港
外房大原沖のショウサイフグ・絶好のスタート!

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フグ料理の代表格と言えば、何と言っても“てっさ”(刺し身)だろう。盛り付けた皿の模様が見える程薄い造りは若干の歯応えとほんのりとした甘味が絶妙である。しかし私の場合、フグで一番好きな料理は唐揚げ。少し濃い目の生姜醤油と日本酒を少し入れたタレにじっくり漬け込んでサッと揚げると絶品なのだ。そのフグが、外房の大原沖で10月1日に解禁になった。ショウサイフグをメインに、アカメ(ヒガンフグ)や数は少ないが大型トラフグも交るという。たまには食欲に誘われ釣りに行くのも悪くない。10月19日、大原港『長福丸』に出掛けた。

ショウサイフグ
ショウサイフグの唐揚げ

ほぼ毎日、“上限”の80尾を達成!

午前4時、大原港に到着すると結構強烈な北東風が吹き荒れていた。『長福丸』の主人、藤井敏昭さんに状況を聞くと、「小ぶりなフグが多いけど出船した日は、ほぼ上限の80尾(申し合わせにより尾数制限を行っている)を釣っています。今年のフグは魚影が濃いですよ」と頼もしい言葉が返ってきた。現在のポイントは大原港の前と太東沖の2ヵ所で、水深も15m前後と比較的浅くて釣りやすいとの事。実は、外房のフグ釣りは今回が初めての私。好模様の状況を聞いて胸を撫で下ろした。

仕掛け図
船宿オリジナル仕掛け
アオヤギ餌をたっぷり付ける

アオヤギ餌のカットウ釣り

もともと東京湾から始まったカットウ釣りだが、外房・大原でのフグ釣りもカットウ釣りである。オモリと一体になった親バリに餌を付け、その餌をついばみに来たフグを下にあるカットウバリ(3本イカリバリ)で引っ掛けるという釣り方。フグはカワハギと同じくホバリング(前後上下左右に動く)して餌を捕食するため、極めてアタリが出にくい。釣趣もカワハギ釣りによく似ている。カワハギ釣りとの大きな違いはフッキングで、大きくゆっくりスイープに合わせるカワハギに対し、カットウ釣りはアタリ即合わせ、という点だ。そのため感度の良い穂先の専用竿が断然有利。いかにアタリを出し、しっかりとフッキングできるか。この辺りが釣り人を熱くさせる面白さでもある。

藤井敏昭船長
藤井大介船長

開始早々から魚影の濃さを目の当たりに!

午前5時15分。強風の影響で定刻より45分遅れで出船。この日、フグの乗船者は、私を含めて5人。フグ船の他にヒラメ船、マダイ船が河岸払い。「港口を出るとドッカンドッカンだからキャビンに入ってて下さいね」と藤井敏昭船長からアナウンス。港を出るとその通りに大きく船が揺れ始めた。藤井船長はシケ模様の海をゆっくりと北上。朝一に向かうのは太東沖。普通に走れば20分程の距離だが、倍近い35分をかけてポイントに到着した。「はい、どうぞやって下さい」。しばらく状況を見ようとカメラを構えているとすぐにアタリが出てリールを巻き始めた。上がって来たのは20cm級のショウサイフグ。他の釣り人を見るとやはりリールを巻いている。いずれも20cmから25cmといったサイズ。釣り開始と同時に取材する側も大忙し。フグを取り込み、仕掛けを下ろすとまたフグが掛かる。まさに入れ掛かり状態である。海は相変わらずのシケ模様だったが、フグの喰いに全く問題はなく釣れ続いている。「海が良ければもっとアタリが出ますよ」と言うのは、船長の息子さんで仲乗りの大介さん。釣り人に交じって道具を出した途端に入れ掛かり。足元の桶には見る見るうちにショウサイフグが溜まって行く。

大原沖のフグ釣りを初体験

午前8時。取材も一段落したところで私も道具を出した。『長福丸』の無料貸し道具にオリジナル仕掛けをセット。アオヤギ餌をたっぷり親バリに付けてスタート。オモリ着底後、糸フケをとりオモリが海底を着かず離れずくらいのイメージでアタリを待つと竿先に僅かな違和感が出た。シャープに竿を立てると確かな手応えが手元に伝わる。上がって来たのは20cm級のショウサイフグ。最高の唐揚げサイズに思わず頬が緩む。餌の確認をして仕掛けを入れると、またすぐにアタリ。実は、1度は一人で竿を出してみたのだが、今一つアタリが出せず、大介さんのレクチャーを受けたお陰でアタリをとり易くなっていた。コツは、「オモリを海底から着かず離れずの状態で少し聞き上げた時にアタリを取って合わせる」。言葉にするとこれだけだが、大荒れの海上でこれをやり続けるのは中々難しい。その後もコンスタントに釣果を伸ばしていると、「何か掴んだ感じですね」と大介さん。やはり釣りは釣れると楽しい。沖上がりの時間までに17~24cmのショウサイフグ30尾、クサフグ1尾、40cm級イシガレイ1枚。船のトップは74尾とシケの中での釣りだったことを思えば間違いなく“大漁”と言っていいだろう。

イシガレイ
捌いてもらったショウサイフグ

シーズンは来年4月まで!

絶好のスタートを切った大原沖のショウサイフグだが、来年の4月一杯まで楽しめる。好調をキープしている今のうちに唐揚げネタを釣りに行っては如何だろうか。

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県・大原港外房『長福丸』
〒298-0004 千葉県いすみ市大原9823
TEL:0470-62-0603 (定休日:第1・第3月曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
長福丸ホームページ
出船データ
料金=8500円 餌別 氷付き
集合4時 出船4時30分
レンタルタックル無料
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