弁天屋・神奈川県金沢八景
沖釣り入門にピッタリなシロギス半日釣り!
ビギナーに優しい船宿
その地名からも分るように、その昔、景勝地として知られた金沢八景。今では大都市・横浜の一角だけに近隣にはビルが建ち並び、昔の面影はないが、創業以来優に半世紀を超える『弁天屋』には、古きよき時代の面影が残っている。開け放たれた間口の広い店先、そこかしこに貼られた魚拓、店に並べられた仕掛けや貸し道具、どれもが昔から受け継がれた船宿の雰囲気を醸し出している。ビギナーにとって最も大事な「入りやすさ」がそこにある。本田功大船長を始め女将さん、若船長の和芳さん、若女将、更にスタッフと『弁天屋』の誰もかがビギナーに対して優しい。初めて沖釣りに出掛けるならピッタリな船宿だ。
7時15分出船の午前船に乗る
出掛けたのは1月7日。生憎、朝から北寄りの風が吹いていた。しかし、金沢八景は、東京湾でも最もシケに強い地区として知られた所。「大丈夫。中ノ瀬までは行けないけど、何とかやれますよ」。シロギス船担当の森本直樹船長が、そう言いながら迎えてくれた。『弁天屋』のシロギス船は、7時15分出船の午前船と12時30分出船の午後船があり、これを通して乗る(割引制度あり)のも、もちろん可能だ。この日は午前船に乗った。平潟湾から東京湾に出た途端、船の周りには“ウサギ”が飛び出し、「中ノ瀬までは行けない…」と言った船長の言葉を理解した。仕掛けを投げての探り釣りが有利
船着き場を離れて17、18分で釣り場に到着。「少し風が強いけど頑張って下さい!」と船長から開始の合図でいっせいに釣り始めた。水深が20m以上と聞いていたので、2本竿を出した。1本で船下を狙い、もう1本は仕掛けを投げての探り釣りでスタート。すぐにトモ(船尾)寄りでシロギスが釣り上げられたが、こちらの竿にはなかなかアタリが来ない。トモ寄りでは、一荷釣り(2尾)をする人もあり、少々焦り出した頃、探り釣りの竿に明確なアタリが来た。軽く竿を立てて合わせると、小気味よい引き込みで18㎝級のシロギスが釣れて来た。これを皮切りにボツボツながらアタリが続いたが、潮の流れがほとんどなかった事もあり、アタリが来るのは、仕掛けを動かしている探り釣りの方が圧倒的に多かった。
海上には“ヒツジ”が飛んでいた
風が強いこともあり空気が澄んでいるのだろう、雪を被った富士山が鮮やかに見える。周囲を見渡すと、東京湾奥や川崎、横浜方面の船が何隻も同じエリアで竿を出していた。どうやら風がますます強くなり、東京湾・神奈川県側では、ここしか釣りにならないようだ。改めて海上に目をやると、“ウサギ”どころかあちらこちらに“ヒツジ”が飛び、時折、船の中に波しぶきが飛んで来た。そんな悪条件の中でもボツボツながらアタリは続き、サイズも徐々に良くなって来た。最初の内は16、17㎝の小型が結構交じっていたが、午前9時を過ぎる頃からは、20㎝前後の丸々太った良型ばかりになった。
強風収まらず20分程早上がり
しかし、10時を回る頃になると、海は益々悪くなり、竿先が煽られて満足にアタリが取れなくなった。「少し早いですが、これで上がりましょう」。11時少し前、船長から声が掛かり、20分程早上がりとなった。この日の乗船者は、私を含め6人だったが、ほぼ全員が20尾前後の成績。悪条件の中での3時間余りの釣りとしては、上々の釣果だった。
「中ノ瀬まで行ければ、半日でも40、50尾は釣れるんですが、今日の風では…」。船長はすまなそうに話していたが、この風でも無駄足にならないところが、金沢八景の船宿の強みでもある。
翌8日も北寄りの強風だったが、それでも午前釣り9~38尾、風が収まった9日には、午前釣り15~42尾、午後釣り10~58尾と半日船としては十分な成績が記録されている。日並みにさえ恵まれれば、ビギナーにも十分に数釣りが楽しめるはずだ。
釣った魚を食べるにも持って来いの魚
シロギスが、ビギナー向きなのは、釣り物としてだけではない。調理方法も簡単なのだ。天ぷらにするなら鱗を引いて背開き(腹開きでもよい)にすればいいし、鱗を引いて三枚に下ろせばしゃぶしゃぶや水炊き、マリネ等の材料になる。いずれも出刃包丁が無くても十分できるので、自分で釣った魚を食べるには、持って来いの魚なのだ。
(野口 哲雄)
今回利用した釣り船 |
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神奈川県金沢八景『弁天屋』 〒236-0027 神奈川県横浜市金沢区瀬戸2-22 TEL:045-701-9061(定休日:毎週木曜日) 詳細情報(釣りビジョン) 弁天屋ホームページ |
出船データ |
釣り物:シロギス 午前船7時15分出船、11時15分納竿 午後船12時30分出船、17時納竿 料金:午前、午後とも6,000円(餌付) 通しで乗る場合は9,500円 |