釣りビジョン

2011.7.1号

興英丸・静岡県用宗港
駿河湾・御前崎沖のスルメイカ“解禁”!

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マダイ釣りの好漁場として知られる静岡県・御前崎沖。そのマダイに負けず劣らずの人気ターゲットがスルメイカ。毎年マダイの乗っ込み時期と入れ替わりで6月10日に“解禁”する。昨年は“解禁日”から束釣り(100尾超え)が続きファンを沸かせた。今年の状況を静岡県・用宗港『興英丸』の興津勝義(おきつかつよし)船長に確認すると、竿頭で60~90尾と安定しているとのこと。6月19日に出掛けた。

朝から元気な船長登場!

午前2時50分、東名高速・静岡ICを降り約10分で用宗港に到着。曇りの天気予報は外れ生憎の小雨。しかし、そんな雨の中、船着き場前にはズラリと車が並んでいた。間もなく、船長が元気な声で10人の釣り人を呼び集めた。「ジャンケンするぞー」。『興英丸』恒例の釣り座争奪ジャンケン大会。思い思いの釣り座が決まり、3時半を回った頃少し早めの河岸払いとなった。

ジャンケンの後続々と船に乗り込む
今回のターゲット・スルメイカ
絶品、肝入り煮つけ

航程約2時間強で釣り場へ到着

御前崎沖までの航程は2時間強。『興英丸』のキャビンは前後2カ所にある。船に弱い人は揺れの少ない後ろがお勧め。釣り座より一段下がっている上、ベッドがあり快適だ。午前5時半、船長からアナウンス。「着きましたよー。開始まで時間がありますが準備して下さいね」。キャビンから出ると辺りはすっかり明るくなり海はベタナギ。雨も霧雨に変わっていた。船長にポイント名を聞くと、通称“かんごやま”と呼ばれるスルメイカの好釣り場とか。

後ろのキャビン
仕掛け図

慣れない人は直結仕掛け5本ヅノ

午前6時、準備万端の釣り人に投入合図。「はい、いいよ。やってみて。水深150m。130m辺りからやってみて」。魚群探知機を見ると、真っ赤な反応の下、底付近に少し小さめの黄色と赤の反応。この底付近の反応がスルメイカだと船長。周りにはいつの間にか釣り船が10隻以上。漁船の船団も少し沖に見えた。「最近サバが多いからね、最初はブランコでもいいだけどもあまりサバが多かったら直結に変えてみて下さい。直結初心者は5本ヅノが扱いやすくていいですよ」。と船長からアドバイス。

サバとスルメの反応
常連さんお手製直結仕掛け
直結仕掛けは取り込みがキモ

1投目から3点掛け!

1投目から右舷ミヨシ(船首)、2番目、左舷ミヨシで乗った。いずれも誘い初めてすぐにヒット。右舷ミヨシが3尾、2番目に座った常連の峯田善臣さんが2尾、左舷ミヨシの内田隆司さんが4尾と好スタート。しかし、同じ流しの2投目、3投目、反応はあるのだがイカが乗らない。それがこの日のパターンだった。船長も「いつもなら2投目も乗るんだけどな。参っちゃうね」と“喰い気”のある反応を求め小移動を繰り返す。午前7時過ぎまで流しを変える度に1尾、2尾ずつの釣りが続いた。

まずは1尾♪
直結仕掛け初めての1尾目です☆
左舷大ドモでも良型がヒット

更なる多点掛けを求めて移動

ここで仲間の船から連絡。「少し離れた場所で7、8尾掛けで釣れたって言うんで少し移動します」と、船長はそこに見切りをつけて移動を決断。午前8時前、ポイントに到着。「はい、やってみて。水深174m、反応が上まであるから130mからやってみて」(船長)。直結仕掛けを使っていたミヨシから4人の竿先には投入している最中にサバからの魚信。そして、右舷大ドモ(船尾)でブランコ仕掛けを使っていた釣り人はサバの4尾掛けで苦戦している。「本当はね、今日みたいにどんよりと雨雲に包まれた日よりもよく晴れた日の方がスルメはノリがいいんだよね」(船長)。

イケスは各釣り座に一個ずつ完備
竹串はスルメイカの船上干しに必須
移動中に手早く干していく峯田氏

“置き竿”電動シャクリvs電動巻き+手持ちシャクリ

スルメイカ初心者の私にもヒット!
日中のスルメイカ釣りと言うと、電動リールで巻き上げつつ短いピッチでシャクリ上げるのがオーソドックスな誘い方。当然、手持ち竿で一日中シャクリ続けるにはかなりの体力がいる。左舷の内田さんは一日シャクリ続けて広くタナを探るのに対し、「私はね、もう70歳だから竿を一切持たない誘い方で楽しんでいます」と、峯田さんは“置き竿釣法”で誘いをかける。「峯田さんの釣り方は内田さんと違って絶対に竿受けから竿を外さない。それでも手持ちで誘っている人よりも釣って帰ることも多い。だから凄いんです」と船長。午前9時に時合があり、4点掛け、5点掛けが連発。10時の時点で内田さん、峯田さんともに35尾の同数で並んだ。

ピンクのツノが当日のヒットカラー

「ほら、またピンクに来たよ」。しばらく沈黙が続く潮止まりの中、左舷ミヨシで1尾ずつコンスタントに釣果を伸ばしていく内田さん。「14cmプラヅノ・ピンクがヒットカラーですよ」(内田さん)。そして、午後12時半の納竿30分前。時合は突然やって来た。「130mで乗ったよ」と右舷ミヨシの釣り人が叫ぶ。水深は180m前後。そして、次の投入で左舷ミヨシの内田さんが大きな声を上げる。「ガッツリ来たヨ!これは重い」。これを皮切りに船中で一斉に巻き上げ開始。右舷ミヨシ2尾、峯田さん5尾、そして内田さんの竿にも5尾とムギイカ交じりで上がってきた。「このサイズは沖漬けにはピッタリだね」(内田さん)。すかさずタッパーに入れ納竿の13時を迎えた。

当日のヒットカラープラヅノピンク
取り込み時イカの噴射には要注意
帰る頃には船上干しの出来上がり♪

船長のオススメ肝入り煮つけ!

「今日は一番ノリが悪い釣りになっちゃったね」と船長も苦笑い。それでも竿頭の内田さんは63尾、2番手の峯田さんも54尾。船長曰く、ノリが渋い日は腕の差が出てしまうのだとか。この日もミヨシに釣果が偏ってしまっているように見えたが、トモの釣り座でもスルメイカのアタリを捕えていた。しかし、上がってくるとイカがいない。上げてくる途中でバレてしまうのだ。その点、竿頭の内田さんは1尾ずつ慎重に取り込んでいった結果が竿頭に結びついた。御前崎沖のスルメイカは石花海(せのうみ)でヤリイカが釣れ出す9~10月まで狙える。今の時期たまに交じるムギイカも夏にかけては良型スルメイカへと成長する。大型が多点掛けになるとリールも巻けなくなるほどの重量感のあるスルメイカ釣り。これから最盛期、是非体験して欲しい。

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
静岡県用宗港『興英丸』
〒422-8046 静岡県静岡市駿河区中島606
TEL:054-286-1784 定休日:元旦
詳細情報(釣りビジョン)
興英丸ホームページ
出船データ
(料金)スルメイカ=氷付き1万3000円。
(午前3時半まで集合揃い次第出船、13時沖上がり)
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