釣りビジョン

2011.7.1号

作田丸・茨城県鹿島港
今年はいいぞ!茨城県・鹿島沖の半夜スルメイカ

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茨城県・鹿島沖の半夜釣りのスルメイカが絶好調だ。例年6月から出船を開始するが、昨シーズンは約1週間で群れが抜けてしまい“看板”を早々に降ろした船宿が多かった。若干心配しながら、今年の状況を鹿島港『作田丸』の作田一美(さくたかつみ)船長に聞くと「今年はいいですよ~!今週末も期待できそうです♪」といつもの元気な声。6月25日に出掛けた。

土曜・午後出発でも東関道はスイスイ

集合時間は午後5時。前日仕事で帰宅時間が0時を回っていたが、この出船時間であれば睡眠不足にもならず、余裕をもって出発できた。土曜日にも関わらず渋滞も無く、足立区から2時間弱で港へ到着。午後4時30分、「はーい、皆さんこんにちは」。満面の笑みで船長登場。手釣りが6人、竿釣りが8人総勢14人の釣り人を乗せて午後5時20分に河岸払い。

ライフジャケットを着て出船
沖から見た鹿島スタジアム
ポイントには既に釣り船が多数

出船した日は全て竿頭束釣り!

あまり「釣れる」と言いたがらない正直者の船長だが、今シーズンは初出船の13日153尾、15日130尾、19日172尾と出船日は全て竿頭が束釣り(100尾超え)を記録。同港から出船した他船も連日竿頭は束釣りをしている。昨年が不漁だっただけに船長もスルメイカの話には熱が入る。ポイントまでは航程約1時間、広めの操舵室には5、6人が入り船長との会話も弾む。「私は毎週来ています。先々週はヤリイカが半分くらい交じっていい思いをしましたね」と常連さん。

クーラーの中に沖漬けのタレ
釣れる日にはこの倍以上釣れる
いつでも笑顔の作田一美船長

シーアンカーを入れての流し釣り

午後6時半ポイントに到着。水深は66m、船長の合図でシーアンカーが投入された。アンカーが効いてから潮の流れを見る。すると、灘(岸)から沖に向かって0.4ノットで流れている。「ちょっとこれだと深場へ行き過ぎちゃうから、灘へ寄りアンカーを入れ直します」(船長)。5分ほど移動し、水深51mで再びシーアンカーを投入。そして、船長からアナウンス「8時頃からが本番ですからね。それまでは夕ご飯でも食べながらボチボチやって下さいね」。午後7時過ぎ、太陽が沈むとともに水銀灯が灯り船上がパーッと明るくなった。

水深は50m前後
常連さんの手釣りタックルセット
先端のUの字の間に仕掛けを通す

浅場の時期はアタリも明確

今はムギイカ級とスルメイカが交じる時期だが、今年はヤリイカもシーズン終盤ではあるが、日によっては交じることもある。「ムギイカからスルメイカの中間のサイズが中心の6~7月は水深も浅いため乗ったのがよくわかります。最初は底付近を狙いますが、水銀灯に寄せられて本当に表層で乗ることもあります。この釣りの魅力は多点掛けでズシっと重くなるあの感触でしょうね」と船長。すると、「来たよー。乗ったよー」。右舷胴の間(中央)の手釣りの常連さんにヒット。自作の取り込み器具の向こうからひょっこりとムギイカが2尾顔を見せた。そして左隣の釣り人には良型のスルメイカが1尾ヒット。

表層で釣れました!
船中第1号は2尾掛け

午後8時を回ってからが勝負!

その後、しばらくアタリが遠のいた。そして、8時過ぎ、右舷ミヨシ(船首)の釣り人が沈黙を破った。「来た!一番上で乗りましたよ~。ほとんど仕掛けが上がり切る寸前でした」。ピュピュッと水鉄砲を吐きながら暗闇の海面から沖漬けにピッタリサイズのムギイカが2尾上がった。そのヒットを皮切りに胴の間、大ドモ(船尾)で1、2尾ずつではあるがポツリポツリと釣れ始め、船の下にはベイト(小魚)の大きな群れが集まり始めた。

取り込み器具は自動でハズレ楽ちん
竿で釣った価値あるダブルです
白い点が全てベイト

バラシ連発!掛かりが浅い?

足一本!
右舷側に仲間同士で釣り座を並べた手釣りの常連さん。自作の取り込み器具も十人十色。その中でも右舷大ドモの秋元太可志さんは、快調に1尾ずつ数を重ねる。「1尾ずつしか掛からないから嫌になってきちゃったよ」と言ったその時、器具にあたってイカが海へポロリ。「あー!逃げちゃった。途中でも何尾か“追い喰い”するんだけどね。“喰い”が浅いんだろうね。どれも足1本だけ掛かって上がってくるからチョットどこかにあたると落ちてしまう」。胴の間でも「なんだー、そこまで来てたのに落ちちゃったよ」とあちこちで同じようなセリフが聞こえた。

数を伸ばすには手釣りが一番

午後10時を過ぎた頃、時合に突入!「また来たよー。これで3連チャン」。神奈川県の藤沢から170kmの道のりを毎年一人で運転して釣りにくると言う田代匠さんが連続ヒット。群れが船に着いちゃえば手釣りなら1時間で束釣りも珍しくないそうだ。「去年は楽しみにしていたけど、すぐに終わってちゃって来れなかったんですよ。一昨年は300尾も一日で釣りましたよ」。子供や孫がイカ刺しが大好きで、専用の冷凍庫を買って一年半かけて冷凍したのを解凍しては刺し身で食べたそうだ。

条件は揃っていたが…

“団体様”御一行はどこへ?
「参ったよー。今日はいつもの“団体様”がお越しでないみたいです。個人戦でございます」。船長も1、2尾ずつしか乗らない乗りの悪さに参っていた。今まで出船した日は必ず8~10尾掛けがあったのだが、この日は4尾掛け止まり。イカが嫌うと言う月夜でもなく、ベタナギ。天気も曇り。「唯一考えられるとしたら船数がいつもよりも多いのでイカの群れはいるのだが各船に分散してしまっているのではないか」と船長。

スルメイカのシーズンはこれから

嬉しい良型のマルイカとの2尾掛け
その後、納竿前に右舷ミヨシで3尾掛け、隣でも4尾掛けを達成。そして、左舷胴の間では丸々太った良型のマルイカとスルメイカの2点掛けで午後11時の納竿を迎えた。竿頭は右舷大ドモの秋元さんの58尾。今後、スルメイカは浅場から深場へと落ち、良型が主体となって安定した釣果が見込めるようになる。8月末まで狙えるスルメイカ。船長も「今年はいいでしょう!」と太鼓判を押す。昨年の分も取り返すチャンス!!

マルイカは船中2尾交じった
仕掛け図
仕掛け図

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
茨城県鹿島港『作田丸』
〒314-0253 茨城県神栖市須田2340-102
TEL:0479-46-0283
詳細情報(釣りビジョン)
作田丸ホームページ
出船データ
スルメイカ=氷付き1万1000円。
(午後5時まで集合揃い次第出船、午後11時沖上がり)合
※季節により集合時間は早まります。
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