仁徳丸・茨城県波崎港
対象はマダイだけじゃない!ひとつテンヤ五目バトル!!
ルールは簡単!釣った魚の総重量で勝負
正午、『仁徳丸』船着き場前に参加者12人が思い思いのタックルやテンヤを手に集結。ルールは簡単だ。サバとフグを除いた釣魚の総重量制。受け付けを済ませ、あみだクジで釣り座が決められた。右舷ミヨシ(船首)にはひとつテンヤ船に年間10回以上乗ると言う横浜市の和田和也さん、右舷ミヨシ2番目には和田さんの仲間、川崎市の井上龍さん、右舷大ドモ(船尾)2番目には自作テンヤで挑む土浦市の堀田幸次さん…各々が釣り座につき、出船を目前に釣り談義に花が咲いた。釣り場はマダイと“青物”の宝庫・大根
午後1時に河岸払い。ポイントまでは航程20分、夏~秋にかけて“青物”の宝庫として知られる大根が釣り場だ。「河口はまだ少しウネリが残っていますからね、波を被るかもしれないので気をつけて下さいね」。舵を握る三橋正幸船長からアナウンス。台風6号のウネリは残っているものの底荒れはなかったようだ。潮温も20℃まで上がり、“ひとつテンヤ五目”にはいい条件が揃ってきたと船長も太鼓判を押す。
船中第1号はウマヅラハギ
ポイントに到着し、投入合図の前に簡単なルール説明のアナウンス。午後1時40分慎重に反応を選びブザーが鳴った。「水深35mですね。様子を見ていきましょう。はい、どうぞ~」。すると、着底して間もなく堀田さんにヒット!大きな引き込みはないものの、慎重にやりとりをして上げてくると海面に黄色いツノのついた灰色の魚体がポカリ。「ウマヅラでも今日は貴重な1尾です」。と慎重にキープ。しかし、後が続かなかい、アタリがすぐに遠のいてしまい、たまに餌取りらしきアタリはあるもののフッキングしない。同じポイントで20分ほど粘って小移動となった。
誰かの竿にアタリがきたらチャンス
「大根の中に点在する細かい根を見て回っています。お、いい反応がありましたよ!」と、船長。船べりに設置した“探見丸”を見た和田さんが「真っ赤で良い反応が出てるねー!」と興奮しながら仕掛けを投入。フワッとゆっくり浮かせるように誘い、糸を張りながらテンヤを底までフォールさせて誘いをかける。しかし、その反応を捕えたのは左舷大ドモだった。駆けつけると、ドラグがジージーなってやりとりの真っ最中。ポンピングをせず竿の弾力を利用して上げてくる。すると、淡い緑に黄色のラインが薄く入った2kg級の丸々太ったイナダが浮上した。更に…「早く来てよー!」。右舷ミヨシの和田さんの声だ。足元にはなんとピンク色のマダイが横たわっていた。その後、立て続けにホウボウ、ハナダイが上がり船中お祭り騒ぎに突入した。
痛恨のバラシ連発
午後3時の時点で和田さんが2.2kgのマダイとアイナメを釣り一歩リード。それに続いて左舷側でも2kgクラスのイナダを1尾ずつ釣った人もおり混戦模様。堀田さんもウマヅラにホウボウ2尾、ハナダイと順調に数を伸ばしていた。すると、堀田さんの竿にアタリ。ギューンギュン、ジー。竿がしなり、ドラグがジリジリと出て行く。すると、左舷側でも竿が絞り込まれた。そして、次の瞬間。「あー!」左舷と右舷からたて続けに悲鳴があがった。痛恨のラインブレイク。船長曰く「あれは間違いなくマダイでしたね、3~4kgはあったんじゃないかな」。
沈黙を破った50cm超えのイシガレイ
バラシと共に船長が移動を決断。「夕方またこのポイント見に来ましょう。ちょっと移動します」。今度のポイントは水深45m、軽めの5号テンヤを使っていた人は8号へチェンジ。右舷ミヨシから左舷大ドモに向かって流れていた潮は左舷から右舷大ドモにゆっくりと向きをかえた。ここでプロショップケイズ旭店の石毛卓さんに釣り方を聞いてみた。「今の時期はイワシやコウナゴのベイトが少ないのでマダイは底付近にいます。底から0.5~1mで底ダチを取りながらジグザグに誘ってあげるイメージですね」。すると、船尾で「こりゃタイじゃないか!?」と騒ぎ。振り返ると井上さんの竿が大きく絞り込まれていた。ドドドドン、ドドド。3段引きのような鋭い引きを見せゆっくりと上がってくる。しかし、海中に見えたのは茶色い影。「なんだ、なんだ?」。注目の中、浮上したのは50cm超えのイシガレイだった。タモ入れした船長に聞くとひとつテンヤで良型イシガレイが交じるのも波崎沖では珍しくないとのこと。五目釣りとは言え、魚種の多さには驚かされた。
ラスト1時間、怒涛の青物ラッシュ
「はい、水深33m、どうぞ」。夕まづめが良い-という船長の言葉通り、このポイントで今日一番のラッシュが始まった。最初に掛けたのは左舷大ドモの人。「フォール中に喰いましたね」。爽快にドラグが滑り出ていく。「ヒラマサだ」。タモ入れにきた船長も嬉しいゲストに思わず笑顔。船中5、6尾イナダが上がった後、圧巻だったのが井上さんと堀田さんの入れ食いバトル。堀田さんは快調にイナダ~ワラサクラスを連続ヒットさせ、井上さんにもヒット。誰もがワラサだと思ったが、西日に照らされピンクに光る魚体が見えた。「タイだ、タイ!」。隣の和田さんが叫びながら素早くランディング。2.5kg58cmの腹パンのマダイだった。
午後船の“ひとつテンヤ五目”はこれからが本番
そして沖上りの17時30分。港に戻り、検量の結果。最後の1時間でイナダ4尾を追加した堀田さんが9350gで2位の井上さん(6450g)に大差をつけて見事優勝した。
これから9月にかけて潮温も安定し、魚の活性も高い季節に突入する。外海のウネリが苦手な釣り人も午後船なら寝不足になることなく万全の体調で出掛けられるはず。様々な魚種のダイレクトな引き、そして食味まで存分に楽しめる“ひとつテンヤ五目”。是非挑戦してみては如何だろう。
※午前船の超高級魚アカムツ釣りも好スタートを切った。大型のマゾイ交じりで取材日当日も好釣果。その後も竿頭は30cm超えを中心に6~8尾の日が続いている。
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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茨城県波崎港『仁徳丸』 〒314-0408 茨城県神栖市波崎8573-5 TEL:0479-44-3651 詳細情報(釣りビジョン) 仁徳丸ホームページ |
出船データ |
ひとつテンヤ五目船=9000円(予約乗合) ※餌1パック・氷付き 正午集合午後1時出船 午後5時半沖上がり |