釣りビジョン

2011.10.15号

幸丸・千葉県飯岡港
“数・型”共絶好調!千葉県・飯岡沖“ひとつテンヤ”マダイ

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千葉県・飯岡沖の“ひとつテンヤ”のマダイが絶好調だ。竿頭の“ツ抜け”(10尾超え)は当たり前、半日釣りにも関わらず20尾を超える釣果も上がっている。チャンスを逃がすまいと10月4日、去年釣り上げた2kgの自己記録更新を夢見て、飯岡港『幸丸』に出掛けた。

20歳代~60歳代の11人が乗船

午前4時に到着。受け付けを済ませると、「ひとつテンヤ船は25号です。行ってらっしゃい!」と代表の向後嗣一さんが送り出してくれた。港に到着すると、既に10人が乗船して、リーダーの確認やテンヤのセッティング真っ最中。左舷大ドモ(船尾)には、この日初めてひとつテンヤ釣りに挑むと言う60代の男性、その前には2回目だと言う20代の誉田誠さんら2人組が座った。午前5時前、全員揃ったために少し早めに河岸払いした。

平日でも賑わうひとつテンヤ船
舵を握る大坂昇船長

ベタナギ、最高の釣り日和

舵を握るのは大坂昇船長。上乗りには『幸丸』3代目の向後恵一さん。屏風ヶ浦を左舷後方に見つめながら最初のポイントまで航程30分。到着するとすぐにパラシュートアンカーが投入され、合図が出る頃には真っ赤な太陽が水平線から昇って来た。「はい、どうぞ。水深は20m前後です」。恵一さんに現在の様子を聞くと、潮は逆潮で南西方向に0.3ノットとのこと。「釣りをするなら明け方がいいですよ」と有り難いアドバイス。すると、左舷胴の間(中央)の誉田さんに500gがヒット。1投目から“本命”を釣り上げた。

美しい太陽と水平線
水深20mにはマダイらしき反応が出る
船中第1号の0.5kg

5.7kgが浮上!!

左舷ミヨシ(船首)から2番目の人には15cmのリリースサイズ。そして、リリースシーンを撮影している私の背中で「ジージー!!」。船全体に響くほどの強烈なドラグ音が鳴り響いた。振り返ると、強烈な引き込みに竿をのされて、竿が立てられない体制で誉田さんが踏ん張っていた。船長が見兼ねて竿を立てられるように下から支え、助っ人に入った。誰もがマダイではなく“青物”だと思っていた。しかし、やり取りの最中に「これ、もしかしたらタイかもしれないよ」と、大坂船長がつぶやいた。“青物”にしては走り回らないのだ。そして、恵一さんが「オー!」と歓声を上げた。海面下に大きな白とピンクの巨大なシルエット。玉取りされたマダイが船床に置かれた時、“ドサッ”と音がした。ひとつテンヤ2回目の釣行でこんな大物を手にできるとは思っていなかったと誉田さんはガッツポーズ。そして、照れながらも満面の笑みで記念撮影。検量の結果は5.7kg、立派な大ダイだった。

厚みがある立派な魚だ
仕掛け図

“テンヤ”は3~5号が主流

今回私が使ったタックル&テンヤ
飯岡沖の“ひとつテンヤ”の特徴は夏~秋はマダイを狙える水深が浅く、20m前後がメーン。そのため、軽いテンヤで狙え、尚且つ秋は小型が浅場に集まるので数釣りを楽しむことが出来る。大坂船長も潮が0.3~0.5ノットと緩めの時は、軽めの3号が面白いと勧めている。パラシュートアンカーを入れ、エンジンを止めて流すため、潮だけでなく風によって船の流れる方向や速さが刻々と変わる。使うテンヤは3~5号が主流となるが、潮の速い時に備えて8号までは用意しておきたい。

300g、500gをキャッチ

午前8時半、左舷大ドモ、右舷胴の間で300~500gのマダイが次々とヒット。ここで、私も左舷ミヨシで竿を出した。潮は0.3ノット。右舷ミヨシの釣り座を背にして左前から手前に向かって潮が入って来ていた。探れる範囲を増やすのとオマツリ防止のため左斜め前に軽くアンダーキャスト。テンヤはピンクの21g(5号)。潮も緩やかなため着底時にはまだ自分の釣り座より少し沖を探っている感覚だ。そして、着底と同時に糸フケを取り、50cm少し早めに上げて誘いをかけ、ゆっくりとテンヤの重みを感じた状態でフォールさせアタリを取る。すると、竿先にカツカツ!とアタリ。すかさず合わせる。ギュギュン!竿先が絞り込まれ、マダイ特有の3段引きが手元まで伝わった。緩めのドラグを少し出して上がって来たのは綺麗なピンクの300gのマダイだった。その10分後、500gを1尾追釣した。

私の竿にきた300gの本命
1個のテンヤに2尾ヒット!
600gの美しいマダイ

右舷ミヨシで連発!飯岡特有の意外な釣り方

9時前、「右舷胴の間でいいのが上がりましたよ」と恵一さん。慌てて駆けつけると、丁度検量中。重さは2.5kg。刺し身にしても焼いても4人前以上はとれる嬉しいサイズだ。その後、アタリが遠くなったため小移動。水深は17m、午前9時を回った頃から北東の風が出始めた。流れは左舷側のトモに向かって手前から払い出していく向きに変わった。そこで、ヒットを連発させたのが、右舷ミヨシの岡安義行さん。1人で入れ食いモードに突入、竿を曲げっぱなし。誘い方を聞いてみた。「これと言う誘い方はないんです。底についたら糸フケを取って、ひたすら待つだけ。後はたまに少しだけ動かしてあげる。それだけなんです」。ひとつテンヤは「誘いが命」だと勝手に思っていただけに、底に置いておくだけと聞いて、拍子抜けした。改めてその場所によって様々な誘い方があると感じた。テンヤは赤の5号が最も食いがよかったためずっと同じ物を使っているとの事だった。

この赤いテンヤに連発した
右舷胴の間で上がった2.5kg級

2.7kgを頭にキープサイズ13尾!

午前10時過ぎ、私の竿にもいい引き込みが来たが、途中から横走り。釣れて来たのはイナダ。ここ1カ月くらい毎日何尾か顔を見せているとのことで、定番のゲストだそうだ。左舷大ドモではショウサイフグ、胴の間ではマアジ、右舷大ドモではウマヅラも顔を見せた。そして、再び右舷ミヨシで歓声が上がった。振り返ると岡安さんの竿が大きく弧を描いていた。竿を立て、慣れた手つきで無理せずに上げて来る。水深が浅いため魚に船底が見えた途端、再び強烈な突っ込み。これは間違いなく“本命”だ。海面にお腹を見せて上がって来たのは2.7kgのマダイだった。
定刻の午前11時半、終了の合図。改めて岡安さんに聞くと、0.3~2.7kgが13尾、リリースした魚も含めると25尾以上は釣っているとの事。「先月から2回目ですが、前回もこれくらい釣らせてもらいました」と淡々と話していた。

2.7kg
1.7kg
1.7kg

ヒラメ
アジ
イナダ

鯛三昧料理を召し上がれ♪

私の釣果は約3時間でキープサイズ(300~500g)のマダイ4尾にイナダ1尾と船中最低。残念ながらマダイの自己記録更新もならなかったが、水深が浅いため小型でも引き味は十分。また、アタリの出る頻度も高く、沖上がりまで十分楽しめた。今年はマダイの当たり年。行くなら今しかない!
宿に帰ると、女将さんが特製カレーを作ってお出迎え。そして、今回は簡単にできる塩焼き、刺し身、鯛飯と“鯛三昧”料理の作り方を教わった。

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
千葉県飯岡港『幸丸』
〒289-2705 千葉県旭市飯岡3374
TEL: 0479-57-2258
詳細情報(釣りビジョン)
幸丸ホームページ
出船データ
午前船:4時半までに受け付け、5時出船、11時半沖上がり
11500円 氷・餌付(餌は使い放題)
午後船:12時までに受け付け、12時半出船、日没沖上がり
10000円 氷・餌付(餌は使い放題)
※『幸丸』では10月1日から12月31日まで乗船者1人につき100円を乗船料の中から日本釣振興会を通じて日本赤十字社に募金するワンコイン運動に参加中。
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