弘漁丸・茨城県日立久慈港
茨城県・日立沖でヤリイカ好発進!7本ヅノにパーフェクト!
前日の“春の嵐”が吉と出るか凶と出るか
出発前日は全国各地で春の嵐が吹き荒れた。都心でも最大瞬間風速27.3mを記録、1日の出船は半ば諦めかけていた。31日午後7時過ぎ、大船長に確認の電話を入れると「明日は北西の風に変わり、風も3~5mぐらいに落ちます。安心してきて下さい」との事。漁師でもある大船長が言うのだから間違いなし!と信じて出掛けた。
午前5時、日立久慈港に到着すると大船長の言葉通り、港内は風も無く、ナギの状態。道具を船の前に降ろし、漁港入り口右の釣り船専用駐車場へ車を停めた。船の前へ戻ると、大船長が釣り座決めの“花札”の準備をしていた。花札をパチ、パチッと裏返して机の上に並べていく。「おはようございます。今日使う仕掛けはプラヅノ11cm、オモリは120号です。中層でも乗る事はありますが、ヤリイカは海底付近を狙うのが無難だと思います。それでは名前を呼びますので順番にグループごとに1枚ずつ引いてください」。各人が花札を取り、釣り座が決まった。
出船時には港内からオットセイが御見送り♪
午前5時半、8人を乗せて定刻に河岸払い。すると、すぐに船が停まった。「あれを見て!」大船長が指差す方向に手をバタバタさせながらオットセイが泳いでいた。そんな微笑ましい光景を横目に再び船はエンジンの回転が上がった。久慈港を出ると目の前に広大な日立沖堤防が見え、美しい朝日が昇って来た。この日舵を握るのは大船長、上乗りは、イケメンで面倒見が良いと評判の小泉大輔若船長だ。沖堤防を通り過ぎ、南東へ船を向けると船が上下に揺れた。前日のウネリが若干残っているようだ。投入器にブランコ仕掛けのツノを入れて準備をしながら釣り場まで向かった。そして、船長から合図が出た。「はい、いいですよ。水深120m」。
初心者も安心、自由な投入方法♪
通常なら全員が投入器を使い、一斉にプラヅノが飛んでいく瞬間だが、『弘漁丸』のヤリイカ釣りは少し違う。投入器を使わず、ゆっくりと真下に投入する方法でもOKなのだ。様子を見ていると左舷胴の間(中央)に座った井村勇策さん、瑞樹さん親子は、貸し道具を使ってゆっくりと真下にオモリから仕掛けを下ろしていく。その反対側では右舷胴の間の常連さんが、自前の投入器を使ってオモリを勢いよく投げて投入していた。ゆっくりと投入している光景を見てふと疑問に思った。「投入に時間がかかっている間に魚探反応から外れてしまうのでは?」。若船長に聞いてみると、「ここのヤリイカ釣り場は“大場所”で広く流せる釣り場なんです。そのため、合図が出ても焦って投入する必要はありません。初めての人は、やりやすい方法で入れてもらって構いません」。1流し目こそ、誰にもアタリが無かったが、2流し目から一気に釣れ出した。船中第1号は右舷大ドモ(船尾)、初獲物から45cmの“パラソル級”が浮上した。底から30mで7尾掛けのパーフェクト!
2流し目は、船中第1号を皮切りに左舷ミヨシ(船首)の深田祐弘さんはスルメ交じりの3点掛け、右舷ミヨシではスルメ3尾、ヤリ1尾の4点掛け、右舷胴の間でもスルメ&ヤリの2点掛けと順調なノリを見せた。その流しは活性が高く、その後も左舷ミヨシでは、再びダブル、シングルと1人で計5尾。ここで移動の合図。私も含め、今日はこのノリが続くと誰もが疑わなかった。しかし、それから5、6分の小移動を繰り返したが、誰かに1尾ずつポツポツ釣れる程度。ノリは激渋状態に陥ってしまった。
午前8時半の時点でトップは深田さんの10尾、2番手は右舷大ドモの常連さんで7尾。そんな状況の中、若船長が船の舳先から竿を出した。「少し上にいる時もあるので30mぐらいまで誘っちゃいましょう」。着底後、糸フケを取り、速過ぎない速さで目線の高さまで下から大きく誘いをかけてストップ。竿先を確認後、誘いをかけた分を巻き取る。その繰り返しで30mまで来た時だった。「おっ、1尾ノリましたね」。そして、私と談笑しながら巻き上げを開始。海面には1尾のヤリイカが…と思って覗き込むとビックリ!上からズラズラと良型のヤリイカが連なっているではないか。7本ヅノにヤリ6尾+スルメ1尾のパーフェクト達成!しかも良型ばかり。「今日、これを10回やったらそれだけで70尾ですね(笑)」と若船長もビックリの一幕だった。普段底中心に群れるヤリイカも30m付近に上ずっている事もあると改めて実感した。
20分南下し、水深70m那珂湊沖へ
「ノリが悪いので20分ほど移動します」と、大船長からアナウンスが入ったのは午前10時40分。船は一気に南下、那珂湊沖水深70mの浅場へ向かった。既に10隻以上の船団が出来ていた。ポイントに着くとすかさず投入の合図が出た。「底から10mで来ましたよ!」。左舷胴の間の瑞樹さんが叫んだ。黙々と巻き上げて来ると、海面にはメスのヤリイカが浮上した。すると、ツノから外すや否やパクリ!なんとそのまま齧り付いたのだ。「美味しいの?」と思わず聞くと、「美味いっす」と気持ちの良い返事。この日初めてのヤリイカ釣りとの事、感動も一入だったのだろう。その後、横のお父さんもヤリイカをゲット、ミヨシの深田さんも2尾ダブルを連発し数を伸ばしていった。
水深70m!浅場ならではの“ズン”とした重量感!
沖上がりまで残り1時間、私もカメラを置いて竿を出した。言い訳になると思うが、2度目の時合は過ぎてからである(笑)。若船長から教わった通り、着底後、約1尋(ヒロ=約1.5m)刻みで大きく誘いをかける。イカのノリも若干落ちていたため底を中心に狙う。すると、底から3回目のシャクリで明らかに重くなった。ズン!なんとも言えない“ズシッ”とした重量感だ。ゆっくりと電動のレバーを入れて巻き上げを開始しようとしたその瞬間…フワっ。そう、痛恨のバラシ。「やってしまった~」と心の中で悲鳴を上げたがボーっとしていられない。何故ならば1度バラした場所で再びノル事も十分あるからだ。気を取り直して再び底まで落とし、誘いをかける。すると…ズン!再びノッた。今度こそバラすまいと慎重に巻き上げを開始。海面には“パラソル級”のヤリイカが浮上した。そして沖上がりの0時40分を迎えた。
1尾でもたっぷりお刺身が取れる厚みに大満足♪
この日の竿頭は左舷ミヨシで好スタートを切った深田祐弘さんの20尾。前日の“春の嵐”の影響もあってか数こそ伸びなかったが釣り上げたヤリイカは大型のオスが大半を占めた。私も唯一の獲物である40cmのヤリイカを大切に持ち帰り、その日の内に刺し身で頂いた。1尾でも刺し身にすると3人前は取れ、エンペラ、身、ゲソともに絶品。その中でもワサビを溶いた溜まり醤油との相性は格別、口に入れると、ヤリイカ独特の優しい甘みが口一杯に広がった。『弘漁丸』がヤリイカ狙いで出船するのはゴールデンウィークまでの短期決戦。釣り味、食味とも抜群なヤリイカ釣り、是非出掛けてみては如何だろうか。(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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茨城県日立久慈『弘漁丸』 〒319-1222 茨城県日立市久慈町1-28-26 TEL:0294-52-3504 詳細情報(釣りビジョン) 弘漁丸ホームページ |
出船データ |
ヤリイカ船=12,000円(氷付) ※投入器を使う方は持参 午前5時集合、午前5時半出船 午後0時40分頃沖上がり |