長崎屋・神奈川県横浜本牧港
東京湾・本牧沖のメバル、魚影の濃さ抜群!
クロメバル、アカメバル、シロメバルの3種類
飛び抜けて視力がいい事から“目張る”とも書かれるメバル。夜釣りの対象魚となっているのもそのためだが、20年程前活きたエビを餌にすることで、日中でも遜色なく釣れる事が分かり、今では春の釣り物としてすっかり定着した。
また、以前メバルは「真メバル」「本メバル」「黒メバル」などの別名はあったものの1魚種として扱われていたが、2009年に発表された論文により、クロメバル、アカメバル、シロメバルの3種類に分類された。東京湾で釣れるものは大半がクロかシロだが、相模湾や茨城沿岸部などでは、アカも多いようだ。その名の通り体色によって見分けるが、生息域などによっても体色の違いはあり、あまり神経質になる事はない。煮魚として極上とされるその味にほとんど変わりはないのだから。
何とミヨシと大ドモが空いていた
『長崎屋』のメバル船の出船時間は、午前8時。大鳥中学校近くの自宅&待合所で7時30分までに受け付けを済ませ、本牧埠頭の船着き場に移動する。実にのんびりとしている。2時起き、3時起き、時には寝ずに港に向かわなければならない事が多い沖釣りの世界では、異例ともいえる存在だ。早起きがあまり得意ではない小生などには打って付けの船宿である。
待合所で受け付けを済ませ、午前7時30分過ぎに船着き場に行くと、既に6、7人がメバル船に乗っていたが、何故か両舷の胴の間(中央)に集中して座っていた。両ドモ(船尾)、右舷ミヨシ(船首)が空いていた。「う~ん」、一瞬、困惑したが、空いている右舷ミヨシに入った。
舵を握るのは、『長崎屋』の大船長・長崎恵夫さん。横浜沖の海を知り尽くした大ベテランである。「メバルは船が小さい方がやりやすいんですよ」と言う。この日も『長崎屋』が所有する3隻の内、最も小さい船が使われた。点在する根回りを魚探と睨めっこしながら狙うメバル釣りでは、魚探反応に合わせて小回りが利く小型船の方が断然有利なのだそうだ。その話を聞いて釣り人が中央に集まっている理由が分かった。魚探の振動子は船の中央にある。船長が魚探を見て操船するなら、中央部が魚群の真ん中に位置しやすいはずだ。
胴突きの4本バリに藻エビ餌
船は、定刻に船着き場を離れた。港を出ると間もなく、「餌を付けておいて下さい」とアナウンス。胴突きの4本バリに藻エビの尾羽を切ってハリ先を刺しエビの尾の2節あたりに抜いてエビが真っ直ぐになるように付けた。そしてものの10分程で釣り場に到着した。「はい、やって下さい。根に気を付けてね」と、船長からの合図で釣り始めた。しかし、間もなく「あれ、潮温が下がっちゃたな」と船長。この日は、予報通り朝から暖かく、風もほとんどない絶好の釣り日和に恵まれた。だが、前の日にはこの日の陽気からは考えられないような冷たい雨が降った。そのためか2度近く潮温が下がったようだ。その影響はすぐに現れた。アタリが遠いのだ。釣り始めるとすぐに何人かの竿にアタリが来たが、釣れて来たのは全て小型のカサゴ。
「一昨日(22日)までは、先にメバルが喰って来たのに…」と船長。暫くしてブルブルッとメバル独特な明確なアタリが来た。少し竿先を持ち上げて追い喰いを待ったが、初獲物をバラすのも嫌なので、早々にリールを巻いた。釣れて来たのは23cm級の良型メバル。肉厚で実に美味そうだ。しかし、その後はバッタリ。たまに来るアタリは小型のカサゴばかり。船長は、辛抱堪らんとばかりに船を移動させた。
船長の努力は報われた
船長は、あちらこちらに点在する実績のある根回りを丹念に探り、実にマメに動き回った。その努力が報われたのは、午前11時を回った頃だった。小生のバケツには最初の場所で釣れたメバルが1尾だけ寂しそうに泳いでいた。「大型が釣れる場所は、全部駄目だね」と言いながら、移動していった場所で、いきなり釣れ出した。とくに左舷胴の間では2点掛けが連発、他の人達にも14、15~20cm級のメバルが次々に掛かり出したが、何故か小生だけが蚊帳の外。一人置いてけぼりを食らった。この釣り、やはり胴の間がいいのだ。それでも暫くすると、やっとアタリが出始め、竿先を少し上げて追い喰いを待つと、2尾目も掛かって来た。しかし、潮温低下の影響か長くは続かなかった。船長は、再び小移動を繰り返す。すると、今度は移動の度にボツボツながらアタリがあり、小生のバケツの中も結構賑やかになっていった。
最後の最後に25cmの良型メバル!
「最後にウチの前を流して終わりにしましょう」。午後3時半を過ぎた頃、船長からアナウンスがあった。喰いが渋かった事もあり、一昨日までは確実に釣れていた25cm級がこの日は姿を見せていなかった。「よ~し、それでは俺が25cmを1尾釣りましょう」と、大口を叩いて餌を付け替えた。「根がキツイので、オモリが底に着いたらすぐに1m程切って下さい」と言う船長の合図で仕掛けを投入した。すると、すぐにアタリがあったが、釣れて来たのは10cm足らずのカサゴ。この日はすでに10尾近くこのサイズをリリースしていた。「最早これまで」とも思ったが、何か予感があり、餌を付け直して沈めた。すると、待っていたかのようにメバル独特のアタリがあり、しかもこの日最高の手応え。慎重にリールを巻いて来ると、何と海面には目測25cmのメバル、しかも下に20cm級も見え、何とダブルで釣れて来た。船長がメジャーを持って飛んで来て計ってくれた。結果は25cmジャスト。何と何と最後の大言壮語が実行されてしまった。条件良ければ束釣りも十分!
結局、この日は小生の26尾が竿頭だったが、他の人達もほとんど20尾以上を釣っており、しかもほぼ全員が小型はリリースしていた。更に各自が10尾前後のカサゴも釣っていた。それでも、実際に喰いが立った時間は、トータルしても2時間足らず。ほんの少し喰いが立てば、アッと言う間に平均でも40~50尾は釣れそうな感じだった。冷たい雨が降った前日の22日には、トップで112尾の釣果も記録されており、魚影の濃さには折り紙が付けられる。当分は期待してもよさそうだ。
(野口 哲雄)
(カメラ・兵頭 誠司)
今回利用した釣り船 |
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神奈川県横浜本牧港『長崎屋』 〒231-0822 神奈川県横浜市中区本牧元町33-4 TEL:045-622-8168 定休日:毎週木曜日 詳細情報(釣りビジョン) 長崎屋ホームページ |
出船データ |
乗船料金:8,500円(餌、氷付き) 貸し道具:500円(竿&手巻きリール) 駐車場:500円 |