釣りビジョン

2012.7.15号

利八丸・千葉県勝山港
“夏イカ”本番!千葉県・内房、勝山港から出船!

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スルメイカと言えば、“夏イカ”の代表。“漁獲量”では、圧倒的な量(ヤリイカの10倍)を誇るスルメイカ。そのせいか“不当”に値段は安い(時期によってはヤリイカの10分の1)が、夏のスルメイカの味は抜群だ。また、もう一つの楽しみは釣り人でなければ味わえない“船上干し(沖干し)”。海水で洗って海風で干さなければあの味は出ない。いわば釣り人の特権だ。10日、千葉県・勝山港『利八丸』から、“船上干し”を求めて船に乗った。

快晴・ベタナギ、これ以上はない釣り日和

仕掛け図
出掛けたのは、関東の梅雨明け前だったが、この日は朝の内こそ雲が目立ったものの最初の釣り場である洲崎沖に着いた午前6時前には、真夏を思わせる太陽が燦々と輝いていた。海上には、全くと言ってよい程風もなく、快晴・ベタナギのこれ以上は望めない釣り日和に恵まれた。ところが、洲崎沖では中々結果が出なかった。舵を握る舟宝康弘(ふなとみ・やすひろ)船長は、魚探と睨めっこで実にマメに船を移動させるが、移動の度に船中でポツリポツ~リとスルメイカが釣れては来るが、小生の竿には音沙汰なし。しかし、誰の顔にも焦りの色はなく、の~んびりと楽しんでいる。???頭の中に?マークがいくつも浮かんだが、午前8時を過ぎた頃、「40分程走りますよ」と船長からアナウンス。それを聞いた途端、乗船者の顔が一応に明るくなった。例年なら、この時期は洲崎沖でもある程度の数は釣れるのだが、今シーズンは、パッとせず外房側の白浜沖辺りが圧倒的に釣れている。しかし、地元との申し合わせで、内房側の船は9時からと言う事になっている。小生以外の乗船者は、「本番は9時から!」と心得ていたようだ。

船長お勧めの18cm8本直結仕掛け
この日舵を握った舟宝康弘船長
夏のスルメイカ船は大人気

3点掛け、5点掛けも!

上乗り役の船長は5点掛けを達成
この日のスルメイカは、イカ釣りに関しては素人同然(筒イカ釣りの船には、生涯で10回も乗っていない)の小生には難しかった。白浜沖に移った途端、ベテラン達は胴長25、26cmに育ったスルメイカをボツリボツリながら釣り出し、上乗り役で乗っていた『利八丸』の船長2人も3点掛け、5点掛けを達成していた。気が付けば午前10時になっており、小生は何とオデコ(0尾)。2、3度乗ったのを確認したが、直結仕掛けのためかバラシが多く、全てバレてしまっていた。尤もこの時点では、船中のトップでも7、8尾の状況で全般的に乗りは芳しくなかった。しかし、いくら素人同然とは言え、このままでは乗船した『利八丸』に申し訳が立たない。そこで、投入から巻き上げまで全て竿を手に持って行う事にした。次の流しでその努力が報われズッシリとした手応えで2尾のスルメイカが釣れて来た。

イカ、イカ、イカ

船中あちらこちらに船上干し!

それをキッカケにボツボツながら釣れ出し、3点掛け、4点掛けと言った多点掛けこそなかったが、2尾掛けは何回かあり、正午過ぎまでに13尾のスルメイカを釣り上げた。この時点ではベテラン達は軽く20尾を超え、船中のあちらこちらに船上干しのスルメイカが吊り下げられた。
納竿まで1時間足らずになり、時間から言っても船上干しなどしている場合ではない。そんな時、「お土産の沖干しは作って置きましたからね」と、上乗り役の船長から優しい囁き。思わず最敬礼してしまった。

船上干しのイカ、イカ、イカ

ラスト3回は1尾、2尾、2尾

白浜沖に集まったスルメイカ船団
気が付くと10隻程固まっていたスルメイカ狙いの船団は散り散りになり、思い思いの場所を狙っていた。この日は、終始大きな群れに当たらず、1回の流しで釣れて来るのは2、3回で群れの足も速かった。 ラスト45分。時間的に考えてチャンスは2、3回しかない。幸い、この日はサバが少なかったので、バラシを極力少なくするために仕掛けをブランコ式に換えた。その甲斐もあって、ラスト3回の投入で1尾、2尾、2尾とスルメイカが掛かり、トータル18尾で納竿時間を迎えた。10時の時点でオデコだったことを考えれば、十分に満足の釣果である。

トップ84尾の好成績も!

炙った船上干しの味は格別
乗船者13人で8尾の人が1人だけいたが、ほとんどの人が20尾以上を釣り上げ、ベテラン勢は35~38尾の成績。全般的に乗りが渋かった事を思えばまずまずの成績。翌日の11日にはトップで64尾、7月6日には26~84尾の好成績も記録されている。日によって若干ムラはあるもののスルメイカの群れは決して薄くはない。“夏イカ”本番はこれからだ。関東地方の梅雨明けと共に釣果も更に上向くはず。
因みに上乗り役の船長に頂いた船上干し。サッと炙って七味唐辛子をタップリ和えたマヨネーズで頂いた。その味は、まさに絶品!今度は自分で釣ったスルメイカでタップリ作り、鱈腹食べる算段である。

(野口 哲雄)

(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
千葉県勝山港『利八丸』
〒299-2117 千葉県安房郡鋸南町勝山471-7
TEL:0470-55-3837
詳細情報(釣りビジョン)
利八丸ホームページ
出船データ
スルメイカ船
料金:8,500円(氷付き)
釣具レンタル:電動リール有料(1,000円)
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