釣りビジョン

2012.8.15号

仁徳丸・茨城県波崎港
茨城県・波崎沖で超高級魚の“抱卵アカムツ”を狙う!

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“白身のトロ”と言われるほど濃厚で旨みのある脂、視覚的にも赤銀色に光る美しい魚体の超高級魚アカムツ。深場の根魚のため一本釣り、延縄以外の漁法では獲る事が難しく、絶対数が少ないため市場にはほとんど出回らない。“幻の高級魚”と言われる所以である。8、9月は、そのアカムツの産卵期!“抱卵アカムツ”を狙い、8日茨城県・波崎港『仁徳丸』に出掛けた。

『第2、3回アカムツ祭り』優勝者が偶然同船!

午前4時、利根川河口左岸側の波崎港『仁徳丸』船着き場へ到着。既に6人の釣り人が受け付けの真っ最中。篠塚仁大船長が、「こちらが山中武史さん、『アカムツ祭り』のチャンピオンですよ」と紹介してくれた。波崎港では毎年9月 『アカムツ祭り』を開催している。例年100人以上が参加し、釣り上げたアカムツ3尾の総重量を競う。今年も9月16日に開催を予定されており、第6回を数える。その第2回、3回を連覇したのが山中さんとの事。今回は山中さんに釣り方を教えて頂ける事になり、大船に乗ったつもりで午前4時半の定刻に河岸払いした。

赤銀色に光るアカムツ
仕掛け図

水深115m、“寒猫根(かんねこね)”の灘口

釣り場は航程約1時間の“寒猫根(かんねこね)”。ウネリの出やすい利根川河口域を過ぎると完全に収まると思ったが、沖へ出てもそれは続いていた。原因は北北東からの10m近い風。空には出船前にパラついた雨雲が低く垂れ込めていた。舵を握るのは三橋正幸船長、常連さんからは“マー君”と愛称で呼ばれる人気者だ。午前5時半、釣り場に到着、船長からアナウンス。「到着しましたので準備をお願いします」。魚探を見ると水深115m。水深110~160mまで続く“寒猫根”の中でも前日も型の出た“ツブ根”が点在する実績のある灘口(根の中でも岸寄りの浅場)を一日かけて狙っていくと言う。午前6時、ブザーが鳴り一斉に150号のオモリが投入された。

船宿仕掛け&オモリ
餌のホタルイカ
水深115m前後釣り場

水中ライト&ケミホタルで差を付ける♪

右舷大ドモ(船尾)に座った山中さんに仕掛けを聞いてみた。LED(青)の水中ライトを仕掛けの上に付け、上から(1m6号)×2、捨て糸は4号を1.5m、枝スは5号65cmの2本バリ(ムツ17号)。一番のポイントはハリスに“ケミホタル25”、蛍光玉(小)、蛍紫玉(小)を付け中深場でド派手にアピールしている事。山中さんは餌にも拘りを持つ。鮭皮(1×5cm)とサバ皮の短冊の身側を抱き合わせにして掛け、さらに船宿で貰えるホタルイカの“傘”を取り、目と目の間に刺して1本分が完成。ハリの色も蛍光、赤、金等様々なものを使用している。難しいお手製仕掛けで挑むのも良いが、アカムツ釣り初めての人は船宿オリジナル仕掛けが手軽で良いだろう。

釣れたサバを捌いて
短冊へ

ドンコ、ドンコ…ドンコラッシュを耐え忍ぶ

2投目に山中さんの竿先にアタリ到来。ブルブル、ブルン。初アタリにニッコリしながら巻き上げを開始。しかし、途中の引き込みが全くと言っていいほどない。海面に顔を見せたのはドンコ。ここからドンコの猛攻が始まった。右舷側4人全員、次の流しでは左舷側2人にドンコがヒット。山中さんも次々とドンコを釣り上げていく。「ドンコが“本命”ならもう“ツ抜け”だったね。ドンコは最初のアタリがアカムツと非常に似ているんですよね。ついつい合わせを入れてしまうのですが、掛けてからがほとんど引きません。アカムツの“叩き”を早く味わいたいですね」と山中さん。

ドンコラッシュ!
良型アイナメも交じった
太いサバ♪

基本はオモリトントン、うねりを味方に付けられるか!?

「アカムツ釣りは“手持ち竿”で挑んで欲しいですね。アカムツの群れがある時には置き竿でも十分釣りになりますが、基本的には数の少ない魚ですから、どうしても拾い釣りになります。置き竿と手持ちではかなりの差が出る事も多々あります」と船長。
ここで山中さんから聞いた基本的な誘い方を紹介しよう。着底したら糸フケを取り、泥地の底に刺さったオモリを一旦離し再び着底させる。ウネリがある場合はウネリの落差を手で取りながら着底した状態を10~20秒キープ。アタリが無ければ頭上までスイープに誘いをかけ、1、2秒静止して再び着底させ10~20秒待つ。それでもアタリが無ければ軽く上げた後にリールのクラッチを切って着底させ再び同じ動作を繰り返す。ポイントはハリを如何に動かしてアピールできるか&アカムツの喰うタイミングを作れるかだ。ウネリのある日はそれを利用して誘いを掛けるのも有効だそうだ。

餌のイカは目と目の間を通す
1kg級のメダイ

やったね!人生初アカムツ!

午前6時半、右舷胴の間(中央)で“本命”が上がった。30cm級のアベレージサイズだ。これを機にと思ったが、相変わらずサバとドンコのオンパレード。午前8時半、喰いが一気に上向いたのは小移動した直後だった。「これは“本命”っぽいですよ」。左舷大ドモの釣り人が巻き上げ途中の引きを見ながら笑顔で教えてくれた。カメラを手に持ち、海面を覗き込むと34cmのアカムツが浮いた。そして、私も左舷胴の間から投入。仕掛けは船宿オリジナル仕掛け、餌はホタルイカとシンプルな内容だ。着底後、オモリトントンの状態にして底付近を漂わせ手持ち竿で待っていると…クンクン!竿先にアタリが出た。実はこの時点で2投目、誘いもほとんどかけていない。こんなに幸先良くていいものかと疑いながらスイープに竿先を聞き上げる。すると、ブルブル!乗った。強さこそないものの、巻き上げの途中で叩くような引きを見せて上がって来たのは嬉しい30cmのアカムツだった。「こっちも“ソレ”っぽいよ」と私の取り込みの直後に呼んでくれた釣り人は、私の右隣に座った浅井俊克さん。アカムツ釣り初チャレンジだと言う。“本命”であってくれと願っていると、海面には美しい魚体が見えた。「やったね!人生初アカムツ♪」。“人生初”はなんでも嬉しいもの、ニッコリと少年のような笑顔を見せてくれた。

船中第1号!
良型アカムツ&ドンコの一荷
私の竿にきたアカムツ

やったね!人生初アカムツ♪
1尾目!
2連発!

産卵シーズンはこれからが本番!

その後、浅井さんは1kg級のメダイ、良型アイナメを追釣。右舷胴の間では納竿間際の“本命”2連発等もあり、船中7人全員が型を見て沖上がりの12時半を迎えた。竿頭は“抱卵アカムツ”36cmを含む3尾を釣った木村義則さん。山中さんも見事2尾を釣り上げた。「今日は全体的に型が小さかったね」と船長の不満そうな言葉の裏には1kg超の“抱卵アカムツ”が今後十分期待できる!と言う意味が込められているに違いない。12月まで狙えるアカムツはこれからが本番。13日には竿頭8尾、2番手7尾、3番手6尾が2人と好釣果が出ている。

山中さんも2尾ゲット!
堂々の34cm級
竿頭の木村さん

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
茨城県波崎港『仁徳丸』
〒314-0408
茨城県神栖市波崎8573-5
TEL:0479-44-3651
詳細情報(釣りビジョン)
仁徳丸ホームページ
出船データ
アカムツ船=12,000円
午前4時集合、12時沖上がり
※ホタルイカ1パック&氷付
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