釣りビジョン

2012.9.15号

船宿 まる八・東京都平和島
東京湾・中ノ瀬周辺のシロギス、20cm級揃いで食味も抜群!

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9月半ばとは思えない残暑が続いているが、東京湾では“落ちギス”釣りが開幕。今シーズンはまだまだ潮温が高く、浅場での数釣りも続いているが、この時期は何と言っても良型狙いが大きな魅力だ。大田区・大森(平和島)の船宿『まる八』は、小物専門の“江戸前船宿”。9日の日曜日、“落ちギス”の様子を窺いに乗合船で出掛けた。

東京湾で最もポピュラーな釣り物・シロギス

「まだ気温、水温が高くてシロギスは落ち切っていないから、船頭には厳しい時期だよね」。そう言いながら『まる八』の主人・飯島正宏さんが迎えてくれた。飯島さんは、『東京湾遊漁船業協同組合』の理事長殿。江戸前の海は勿論、東京湾の魚、釣りに精通した頼もしいオヤジさんである。最近は、東京湾のハゼを後世まで残したいと、水産庁や大学研究機関などの活動にも手を貸している。

シロギスは、東京湾で最もポピュラーと言われる釣り物であり、周年楽しめる魚でもある。基本的には数釣りを楽しむ釣り物だが、これからの時期には「数より型」が狙いとなり、小生は最も好きなシーズンである。

仕掛け図
胴突き仕掛け

初獲物は20cm級の良型!

『まる八』の出船時間は、午前7時40分。京浜急行・平和島駅から徒歩15分(電話すれば、送迎もしてくれる)、十分に電車で出掛けられる船宿でもある。高橋広司船長が舵を握り、定刻に船着き場を離れた船は、羽田空港脇を通ってアクアライン目指して走り出した。

9月も半ば、例年なら既に“落ちギス”シーズンに入り、釣り場も明確になる時期だが、今シーズンは未だに潮温が高く、盤洲周辺の浅場から中ノ瀬の深場に至る一帯まで幅広く散っているようだ。数を狙うなら浅場を中心に船を流せば、まだまだ束釣り(100尾以上)が出来ているようだが、船長は「数より型」に狙いを絞って釣り場選び。まずは木更津沖でパラシュートアンカーを入れた。

日曜日にも拘らず、周囲に釣り船の姿はなく、船長の思惑は「1隻で入れ食い」だったようだが、すぐに何尾かのシロギスが釣れたものの後が続かなかった。小生の竿にも小気味よいアタリで20cm級のシロギスが釣れたが、2尾目のアタリは中々なく、大きな群れがいる気配はなかった。

高橋広司船長
若干日陰の右舷側に釣り人が片寄った

“パックンチョ”入れ喰い初体験!

「後が続かないようなので、中ノ瀬に向かいますね」。船長からアナウンスがあり、東京湾を横断する形で中ノ瀬に向かった。15分程走ると、バラバラに散ってはいるものの10隻を超える釣り船がシロギスを狙っていた。慎重にポイントを決めた船長からの合図で再び釣り始めた。小潮回りのため、パラシュートアンカーが効かなかったようで、ここではエンジン流しに切り替えてスタートした。胴突き2本バリの仕掛け(オモリ15号)で20m程投げた。糸フケを取り、道糸を張った途端にクッと小さいが明確なアタリが来た。釣れて来たのは22cm級の丸々と太った立派なシロギス。竿掛けを使って2本竿を出してみた。どちらの竿にもボツボツとアタリはあるが、シロギスの倍以上の確率でイトヒキハゼ(通称“パックンチョ”)が掛かって来る。

今シーズン、絶好調なマゴチの餌としてパックンチョが使われていると言う話は聞いていたが、これほど魚影が濃いとは思ってもいなかった。その内、シロギス1尾を釣る間にパックンチョが3尾、4尾と釣れる状況となってしまった。これも高過ぎる潮温のなせる技なのかは定かではないが、これ程までのパックンチョ入れ喰い体験は初めてである。

これが“パックンチョ”

シロギスは、大半が20cm級の良型

それでも釣れて来るシロギスは、船長の狙い通り大半が20cm級で小型はほとんど交じってこなかった。そのため、パックンチョを交わしながらの釣りでも十分に面白く、クーラーボックスには徐々にシロギスが溜まっていった。

ところが、11時30分を過ぎ、潮の流れが止まってしまうと、シロギスのアタリが激減した。不思議な事にそんな状況でもパックンチョのアタリはさほど減らず、正午を挟んだ1時間程は、パックンチョのアタリばかりになってしまった。余程魚影が濃いのだろう。見兼ねた船長は、マメに場所替えを繰り返すが、午後1時近くになるまでその状況は続いた。

喰いが立った時間帯にはダブルも度々あった

兎に角、良型が多かった

後半はイシモチ入れ喰い!

後半はイシモチが入れ喰いだった
午後1時を過ぎる頃になると、潮が流れ出し、再びシロギスのアタリが出始めたが、同時にイシモチ(シログチ)のアタリが頻繁に出始めた。特に後半の小1時間は、イシモチが入れ喰いになってしまい、シロギス交じりのイシモチ釣りになってしまった。それでも午後2時半過ぎの納竿までに35尾(船のトップは52尾)のシロギスが釣れ、イシモチも20尾近くに達した。釣れたシロギスのサイズは、大半が20cm前後から23、24cmの良型揃い。しゃぶしゃぶ、天ぷら、フライ等の食材として十分な量を確保出来た。

間もなく、型・数共に楽しめる

飯島さんが言う通り、落ち切っていないシロギスの釣り場は特定が難しく、船長泣かせの時期のようだが、今シーズンの釣れっぷりを見る限り、魚影の濃さは疑いようもない。気温、潮温が下がり本格的な“落ちギス”シーズンが始まれば、間違いなく型・数共に楽しめるようになるはずだ。

(野口 哲雄)
(カメラ・兵頭 誠司)

今回利用した釣り船
東京都平和島『船宿 まる八』
〒143-0011 東京都大田区大森本町2-15-10
TEL:03-3762-6631
詳細情報(釣りビジョン)
まる八ホームページ
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