博栄丸・静岡県御前崎港
静岡県・御前崎沖の秋マダイ“本格始動”!
次の台風接近にも関わらず10人が乗船
実はこの日、南東には次の台風が接近していた。そのため風&ウネリは予想出来た。台風接近の予報に果たして釣り人は来るのかと心配しながら午前5時過ぎ、御前崎港へ到着。すると、そんな心配をよそに目の前には釣り人がズラリ。平日の台風前にも関わらず何と10人が船の到着を待っていた。常連の山本敏信さんは、「台風が近づいているから出船出来る内に来ようと思ってね。昨日も釣れていたし、次いつ出られるかわからないからね。今日は釣りますよ」と気合十分。午前5時40分、係留場所から移動して来た船が到着。早速、恒例の釣り座決めのクジ引きが行われ、定刻の午前6時に河岸払いとなった。
強風を避け風裏となる岬の南側へ航程20分
港を出ると案の定、海上には“ウサギ”が跳んでいた。「釣り場は御前崎岬の南側なので風裏になります。暫く波を被りますからキャビンに入っていて下さい」と若船長から丁寧なアナウンス。『博栄丸』では、上乗りに大澤克博大船長が同乗、オマツリやタモ入れ等をやってくれる。暫く岬を周り風裏に入ると風は少しあるものの“ウサギ”の姿は消えた。風表と裏ではこれ程違うのだ。午前6時半、舵を握る若船長の洋輔さんからアナウンス。「準備が出来た人は始めて下さい。タナは32m、4号2本バリでやって下さい」。コマセカゴ投入後、スルスルと10mの長ハリスが流れるように潜っていった。
1投目から“本命”ヒット!
左舷ミヨシ(船首)の本多政巳さんの横で1投目の様子を撮影していると、竿先にクンクンとシグナル。「小さいけどアタってますね~」と本多さん。電動のレバーを入れて巻き上げ開始。1投目に400g級のマダイを釣り上げた。「小さいね、もっと大きいのを釣るよう頑張ります」と本多さん。右舷ミヨシではイサキのダブル、両舷胴の間(中央)でもイサキ。ひと流し目から活発なアタリが続き、船全体に電動リールの巻き上げ音が鳴り響いた。15分後、アタリが止まり小移動。若船長に近況を聞くと「昨日はイサキよりも先にタイが喰ったんですけど、今日はイサキの群れが集まって来ましたね。潮はあまり行ってないですが、潮色は薄濁りで条件は悪くないですよ」。コマセを撒き出した途端、イサキの濃い反応が出て来たと言う。
タナ取りは海面から。2m刻みで誘い上げる
大船長に基本的な釣り方を聞いた。「ウチの場合、指示ダナは海面からです。今、水深は43mありますが、指示ダナは32mです。道糸を見ながら落として行き、指示ダナ+10mの42mで止めます。5秒ほど待ってハリスが潮に馴染んだら約3m誘わずに巻き上げます。そこから2m刻みに3回、シャクって巻き、最後に1m誘って置き竿にします」。すると…すぐに竿先にアタリが来た。グン、グーンと最初から強めの引きを見せる。海面を割ったのはイナダ。“探検丸”を覗くと、底から1m付近から数m上下に真っ赤な反応。すると、右舷胴の間の山田博之さんの竿がギューンと大きく入った。「“本命”なんじゃない?」と周りから歓声が飛ぶ。海面には期待通り1kg級のマダイが姿を見せた。
午前8時、3kg、2.4kgがヒット!
その後もイサキの良型や1kg前後のマダイは顔を見せるが、前日に上がった“大ダイ”は顔を見せず午前8時を回った。小移動の時、操舵室で若船長と魚探を見ていた私は思わず「おっ!」と声を上げた。水深36mラインの28~35mにバッチリまとまった魚群が映った。若船長、すかさず投入合図。数分後、先程1kg級を釣った山田さんの竿が海面へ突き刺さった。隣の人が「これはモノが良いよ。ひょっとしたらワラサ?」と羨ましそう。ハリスは4号、クッションゴム付きだが無理は出来ない。竿尻を腹にあてドラグを絞りだす強烈な引きに耐えながらポンピング。ハリスを持ってゆっくりと手繰ると海面下に薄ピンクの魚体がグルグルと回わりながら上がって来た。「よ~し、いい型だ!」と大船長がグッドサイズのマダイに山田さんを称えながらネットイン。その直後、左舷大ドモで2.4kg、右舷ミヨシで1.8kgと次々に良型が上がった。
波がある時は長ハリスを“ビシマ”で落ち着かせる!
その後、2時間以上アタリが止まる時間帯があった。ほとんどの人は、“置きっ放し竿”で待っているが、右舷大ドモ(船尾)の常連、武藤朝夫さんはマメに仕掛けをチェンジ。見せて頂くと、ハリスに“ビシマ”に使うオモリを付けていた。「ハリスにこれを付ける事で船の揺れが多い今日みたいな状況では、ハリスが安定します。これで釣りますから見ていて下さいね」と笑顔で語る。その10分後、皆が餌を取られない状況の中、武藤さんの竿が絞り込まれた。2kg近いマダイを持ってニッコリ。その後良型のイラも釣り上げた。
残り約1時間で“食材調達”の真剣勝負!
「お~い、このままじゃマダイ料理用の材料が無いよ」と大船長。ハッと気付かされた私は残り1時間、カメラを置いて真剣に竿を持った。釣り座のイケスには大船長の釣ったイナダ、イサキが1尾ずつ入っている。ここに是非とも“本命”を追加したい。1投目、大船長に教わった通り指示ダナの22m+10m沈め、22mまでシャクリ上げて置き竿で待った。すると、竿先にアタリ。しかし、“本命”にしては引きが弱い。海面に顔を出したのはイサキ。その後は沖上がりの12時半前までアタリは無かった。そして、諦めかけて他の釣り座を覗いていると、「お~い、君の竿アタってるよ~」と大船長。慌てて駆けつけ、巻き上げると600gの“本命”が浮上。感動の瞬間だった。
御前崎沖の秋は数釣り、冬は型が楽しめる!
この日の竿頭は、鈴木昌司さんと本多政巳さんの6尾。数こそ負けてしまったが、3kg、2.4kgを上げた山田さん山本さんらも3、4尾ずつ“本命”を仕留め、大満足の釣果。潮温の高い内は数が出る御前崎沖の“秋マダイ”。これからは少しずつ潮温も下がると大型も増える。比較的海が穏やかな初秋の内に大物一発が期待出来る御前崎沖に出掛けてみては如何だろう。
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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静岡県御前崎『博栄丸』 〒437-1621 静岡県御前崎市御前崎4145 TEL:0548-63-3337 詳細情報(釣りビジョン) 博栄丸ホームページ |
出船データ |
コマセマダイ船:11,000円(氷付・コマセ&餌別) 出船時間:午前5時半集合揃い次第出船、6時半竿入れ、12時半沖上がり |