第八幸松丸・静岡県沼津静浦
“新型テンヤ”で静岡県・沼津沖“ドラゴン”級タチウオを狙う!
“餌釣り派”にも“ルアーマン”にも楽しめる“新型テンヤ”
近年、全ての釣りがLT(ライトタックル)化していく中で、「更に手軽でルアーマンと餌釣りファンの両方に楽しめる釣り方はないか?」と船長と常連さんが1年以上試行錯誤の上完成したと言う“新型タチウオテンヤ”(サーベルテンヤM3)。ヒントにしたのが関西地区の船釣りで主流となっている“タチウオテンヤ”と沼津地区の漁師が行っている引っ張り漁で使う“鉛針(なまりばり)”。「タチウオは、不思議と引っ張り漁やジグのように動きのある物にあくでぇ喰いをする時と、フリーフォールさせたサンマの切り身餌にしか反応しない時があります。その両方に対応できるようにと考えて出来たのがこのテンヤです。最大の特徴は、マダイのテンヤのようにアタリがダイレクトに出ると言う事ですね。掛けた後のやり取りはテンヤがジグより軽い分、ジギングより更にスリリングです」(船長)。重さは30gと35g、メイン色はグロー(夜光)&紫だ。
午後4時、7人を乗せ“千本沖”へ出船!
午後3時半、沼津静浦港へ到着すると既に7人が船の前に並んでいた。午後4時の定刻に河岸払い。開始は午後6時過ぎなのになぜここまで早く出船するのか船長に聞くと、「今の時期は“千本沖”がポイントです。そこは、海岸から急に落ち込み崖のようになっています。そこを西から東へ大群のタチウオが行列になって毎日泳いで来ます。その通過する群れの真ん中に船を入れられるかが釣果を左右するわけです」。少しでも良い場所を取るために早めに出船すると言うわけだ。港から出て西へ舳先を向けフルスロットルで波を切って進んで行く。航程10分、アッと言う間に釣り場に到着。船長は、慎重に場所を選びアンカーを投入した。「開始までまだ時間がありますからね、ゆっくり準備をして待っていて下さい」と、船長からアナウンス。
タックルは30gが背負えればなんでもOK!
早速、テンヤの準備にとりかかった。右舷ミヨシ(船首)では稲村武則さんがメバルタックルにスピニングリールをセット、左舷ミヨシでは船長とテンヤを開発した常連の村上友規さんがテンヤマダイ用のタックルをセッティング。船長は、「リールも特に拘りは無く、ベイトリールでもOK」との事。道糸はPE0.6~0.8号を100m以上。リーダーはフロロ6~8号0.5~1m。そこにスナップを付けてテンヤをセッティング。テンヤにサンマの切り身を縫いざしにして完成だ。午後6時、投入の合図が出た。前日は“爆弾低気圧”で出船出来なかったが、前々日は午後6時過ぎにはソナーや魚探にはバッチリと反応が出ていたと言う。「なぁ~に、日によって回遊の時間は変わるから、その内待っていればタチウオは泳いできますよ」と言いながら船長は、自信の笑みを浮かべた。
魚探には真っ赤な反応!入れ喰いタイムは始まった!
「おっ、来たぞ!」。ソナーで右舷ミヨシの先にタチウオの反応を捉えた。「まだ深いな。よっし、ちょっと船の位置を変えよう」。そう言いながら舵やアンカーロープを微調整する船長。次の瞬間、船長が大きく頷いた「魚探を見てみな」と言う船長の言葉に魚探を覗くと35~50mまでビッシリと真っ赤な反応が出ていた。釣り人なら誰もがワクワクする瞬間だ。「お~い、喰ったよ~」。魚探を撮影していると、左舷ミヨシから声が聞こえた。村上さんの竿が弓なりに大きな弧を描いていた。「よいっしょ」と重そうに船中に抜き揚げられたのは堂々“指6本”弱1kg級の“ドラゴン”だった。「今のは、スプールを手で抑えながらフォールしていく最中でラインが止まった所で合わせを入れました」。幸先の良いスタートに笑顔が零れた。
基本的な誘いは指示ダナでのリフト&フォール
村上さんの基本的なテンヤの誘い方を聞くと、海面からスプールを抑え1~2m刻みでフォールさせていく。その間に弛んでゆっくりと落ちていくラインが止まった瞬間がアタリ。ベイルを返し、すかさず大きく合わせを入れる。合わせがキッチリ入るようにドラグはきつめに絞めておく。もし、海底までアタリがない場合、着底後に30~50cm刻みで誘いをかけて巻き上げて来る。たまに餌をタチウオに見せて止めてあげるとそこでアタリが出るそうだ。もし、アタリが同じ水深で頻発するようであれば、アタリがあった道糸の色を覚えておいて、その場所で海面から頭上まで大きく素早く上げ、ゆっくりとフォールさせていく「リフト&フォール」を同じ場所で繰り返すのも効果的だと言う。フォール中のアタリは喰いが良い時には明確に出るそうだ。
“指6本”ドラゴン級がついに浮上!
「今日も喰いは順調ですね。やっぱり“ドラゴン”級は最初に喰う事が多いんですよね。後は終盤に期待です」。左舷、右舷ともに全員が開始1時間で10尾ずつをキープ。サイズも“指2本”以下は交じらず、食べ頃の“指3本~4本”がメインだ。左舷胴の間(中央)に座った大嶽亜理沙さんも船長からアドバイスを受けながら快調に数を伸ばしていく。私も竿を借りて出してみた。船長の指示ダナは30m前後、道糸の色の変り目を海面に合わせリフト&フォールを繰り返す。すると、カツカツ…まるでひとつテンヤでマダイを狙っている時のように竿先に明確なアタリが出た。すぐに余分なラインを巻き大きく合わせを入れる。ギュン!乗った。最初の5m鋭い引き込みを見せたため“指4本”はあるかと思ったが“指3本”サイズだった。引き味はかなりのものだった。すると、「裏でデカイの上がったよ」と船長。慌てて駆けつけると右舷大ドモ(船尾)で天ビン仕掛けの餌釣りで狙っていた人が“指6本”1.5kg級の“ドラゴン”を持って満面の笑みを浮かべていた。
竿頭40尾!2月一杯までは十分楽しめる!
この日の竿頭は天ビン仕掛けの餌釣りで挑んだ井家上信行さんで40尾。テンヤで挑んだ人も含め船中平均30尾と全員が大満足の釣果で沖上がりの午後11時を迎えた。「冬のタチウオは群れも固まりますし、型も今日みたいな“ドラゴン”級が交じります。今の時期のタチウオは脂も乗っていて超~美味いですよ」と船長。大きさ、引き味、数。全てにおいて申し分のない沼津沖のタチウオ釣り。テンヤでドラゴン級の引きを味わえば病みつきになる事間違いなし!
(吉田 洋一郎)
今回利用した釣り船 |
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静岡県沼津静浦『第八幸松丸』 〒410-0105 静岡県沼津市馬込135-1 TEL:090-2578-8218 詳細情報(釣りビジョン) 第八幸松丸ホームページ |
出船データ |
タチウオ船=9,000円(氷・餌付) 午後3時半集合、4時出船、11時沖上がり |