オーシャンサポートサービス 代々丸・和歌山県白浜・富田浦袋港
和歌山県・南紀白浜沖の高級根魚、肉厚ヒラメ&ハタを狙う!
ハリス14号、アジの泳がせで深場の大型魚を狙う
ヒラメをメインに狙うと言っても『代々丸』の仕掛けは、仕掛け図からも分かる通り、ハリス14号の太仕掛け。ヒラマサバリ13号にアジを鼻掛けし、泳がせて釣る。ハリスの長さは40cmと短め。長くすると仕掛けを動かした時のアジの動きが悪くなり、アピール度が落ちるからだ。捨て糸は10号1.5m。オモリが着底したらさらに50cm程底を切り、アタリを待つ。底から少し上のタナを狙う設定だ。ハタなどの大型根魚をかなり意識した仕掛けと釣り方で、ある意味ヒラメは“保険”とも言える。
“落とし込み釣り”用ロッドに中型電動リールがマッチ
出船は今の時期6時過ぎだが、1時間前には全員が集合。釣り支度を整えてスタンバイ。乗船は船長の指示があってから。釣り座も船長が指示するが、特別に指示のない場合は自由に好きなところに座っていいそうだ。出船前には必ず船長が全員の仕掛けとタックルをチェックして回る。この時、あまりに無謀な仕掛け(ハリスが細過ぎたり、水中ライトなどの余計なものを付けたり…)は、即、交換となる。全員同じ仕掛けと釣り方で、心を合わせて釣るのが『代々丸』スタイル。初めて釣行した人は、この時に船長と積極的に会話して、分からない事は何でも聞いておくといい。怒鳴ったり、素人をバカにしたりは絶対にしない船長なので、安心して仲良くなっておこう。電話で予約する時に、初めての釣りの場合はそのことを告げておくとなおいいだろう。
当日の釣り人は全員が「木曜日の常連」。何度も顔を合わせるうちに親しくなった釣り仲間だ。タックルは『代々丸』が得意としている“落とし込み釣り”用のロッドに、中型の電動リールをセットした人が多い。オモリは80号統一。ライトタックル系の人はおらず、ハタなどの大型魚を想定したヒラメにはややヘビーなタックルの人がほとんどだ。
肉が盛り上がったマッチョな70cmクラスのヒラメ
ポイントは富田(とんだ)沖。港から15分程の近場(今回は波が出てきて大きくポイント移動する事が出来なかった)。水深は70~90m。ベイトの反応があるところを探して船を流していく。海底の状態は比較的フラットなところもあれば、凹凸の激しいポイントもある。そんなところは船長がアナウンスしてくれるので、リールを1~2m巻いて根掛かりを回避する。
9時を回った頃、右舷トモ(船尾)の釣り人にアタリが出て、大きく竿が曲がった。しかし、残念ながらこれはサメ。暫くして左舷ミヨシ(船首)の人の落とし込みロッドが弧を描いた。意外に抵抗せず上って来たのは待望のヒラメ。肩の肉が盛り上がったマッチョな70cmクラス、肉厚でいかにも美味そうなヒラメだ。『代々丸』では孫バリを使用しないので、口にうまくフッキングすれば、大きくてもスムーズに上ってくる。この1尾で船上に気合が入った。しかし、それらしいアタリはあるものの途中で離してしまう。潮が速いのと風波で仕掛けにテンションがかかってしまい、ヒラメがアジを咥えても抵抗があるので離してしまうようだ。不思議なもので、ヒラメ釣りは同じ人が続けて釣ることが多い。その例にもれず、左舷ミヨシの人のロッドがまた曲がった。だが、今度はヒラメではなく、マハタだった。少し小ぶりだが、釣り人は大喜び。「ここではいろんな種類のハタが釣れます。80cmくらいまでこのロッドで釣ったことがありますよ」と言う。
ライトタックルの人がいないわけが分かった
しかし、その後は風が強まり、波も高くなってポイント移動もままならないほどの荒れた海になった。
アップダウンが激しいピンポイントを流していた時、ひったくるような激しいアタリでまたまた同じ人のロッドが曲がった。竿先が海中に引き込まれていきそうな程の強い引きだ。ライトタックルの人がいなかったわけがこの時分かった。揺れる船上で足を踏ん張り、スタンディングで必死にロッドを起こし、巻き上げにかかる。周りの釣り人も自分の釣りをやめてやり取りを見守る。笑顔を絶やさない釣り人だったが、今回は厳しい表情で真剣そのもの。慎重に少しずつ巻き上げていく。しかし、正体不明の大物は半分ほど巻き上げられたところで最後の抗いを見せて竿先を激しく叩く。その時、運悪く大きな波が来て船のミヨシが持ち上げられた。ロッドにさらにテンションがかかった時、竿先が真っ直ぐに戻った。
「あ、切れた!」、「切れた?………………」、「なんやろ今の?……ホウキハタか……?」。丁度餌を飲み込まれたあたりから切れていた。ハリスの切断部は歯に当たって切れたような感じだった。結果的には釣り上げられなかったものの、全員妙に納得して釣りを再開。
その後、船長が何度も繰り返しポイントを攻め続けたが、残念ながらそれらしいアタリはなく、この日の釣りは終了。「明日はもっとシケるので出られない…」。船長はすまなそうに呟いてブリッジへ戻った。条件によって当たり外れは大きいが、気配は決して悪くない。『代々丸』は4月一杯ぐらいまで肉厚のヒラメと根魚を狙って出船する。
(上野 英輝)
今回利用した釣り船 |
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和歌山県白浜・富田浦 袋港『代々丸』 〒649-2334 和歌山県西牟婁郡白浜町富田浦袋港 TEL:090-3168-1739 詳細情報(釣りビジョン) 代々丸ホームページ |
出船データ |
(交通) 車は阪和自動車道~みなべIC~R42で串本方面へ約40分。 一目坂トンネルを超え約1分、釣具店「釣太郎 白浜店」を過ぎ約100m右折、富田浦・袋港へ。 電車はJR紀伊富田駅か椿駅からタクシー。 (出船データ) 乗合船半日釣り<6時間の釣り>1人1万2000円。 一日釣り<10時間の釣り>1人2万円。深海釣り1人1万4000円。 氷付き、ノマセ釣りの餌代は別途必要。 |