釣りビジョン

2013.11.1号

弥生丸・千葉県保田港
千葉県・保田沖で “アジ五目”を堪能!

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今年の秋は散々である。釣行計画をたてる度に、「嵐だ」、「強風だ」と中々釣りに出られない。今回も千葉県・大原港のフグを計画していたら台風27号の余波で出船できないとの連絡で断念。そんな中、比較的シケに強い千葉県・内房、保田港『弥生丸』で“アジ五目釣り”が好調と聞き、10月22日に釣り仲間と出掛けた。

釣り場は航程10分の超近場

港から10分程の近場でアジを中心にマダイ、ワラサ、アマダイ、イサキ、カワハギ等が釣れると話すと、「行くしかないでしょう!」と釣友達。
午前1時、釣友の野口壮一さんが車で迎えに来てくれて自宅のある横須賀市を出発。国道16号線、アクアライン、館山自動車道を経て途中休憩をしながら4時前には『弥生丸』の駐車場に到着した。
対岸には久里浜の火力発電所の煙突や剣崎灯台の灯が見える。野口さんと「海を越えて直線で来たら20分だね」と笑う。4時過ぎにもう一人の釣友、野中篤さん(武蔵野市)が姿を見せた。少し空が白みかけた5時過ぎ駐車場に車が入って来た。千葉県袖ケ浦市から来たと言う『弥生丸』常連、山下辰三さんだ。これで釣り人は4人となった。明るくなった5時半、網代竜弥船長が受付用の簡易テーブルを持って現れた。テーブルで乗船名簿に記入、船長の車に釣り具やクーラーを積みこむ。船着き場まで80m程だ。4人なのでミヨシ(船首)寄りの左右に席を取ったが、山下さんは、「オマツリを避けたい」と左舷のトモ(船尾)へ。船長がコマセ用のアミをバケツに入れて配ってくれた。独特のアミの匂いがする。エンジン音が一段と高くなって船が桟橋を離れた。

配られたアミコマセ
80号の中折式のプラビシとテンビン

飛ぶ様な潮に苦戦、こまめに入れ直しがポイント

仕掛け図
海面は、北風で多少波立っているものの絶好の釣り日和。10分も走っただろうか、「水深85m、底から5m位上げて下さい」と、船長からアナウンス。80号のビシカゴにコマセを詰め、ハリに沖アミを刺した。仕掛けは『弥生丸』特製のハリス3号2m、ハリは金色アジ平打ち3号2本バリ、クッション1.5mm×1mをセットした。この仕掛けなら余程の大物でなければ取り込めそうだ。ビシカゴを投入すると潮が速い。右舷ミヨシの野口さんのビシが船底をこするように吸いこまれて行く。2番目に陣取った野中さん、堪らず左舷ミヨシに席替え。それでも何とかコマセを振り、タナ取りしてアタリを待つ。左舷トモで長めの竿を出した山下さんの道糸は右前方斜めになっている。コマセもビシも飛ぶように流れる中、船中1号は小まめに入れ直していた野口さん。竿先がクンクンと揺さぶられて、上がってきたのは20cm程のアジ。潮の流れでビシが吹き上がってしまうので、小まめに入れ直しをするのがポイントだ。

スパンカーを張る網代竜弥船長
潮が速いのでこまめに入れ直してアジをゲット
これが80号のビシとテンビンと『弥生丸』の特製仕掛け

何が喰っているのかな!?“五目釣り”の楽しさ

余りの潮の速さに、野口さんが20号のオモリを足す。糸フケを調整しながらタナ取りをしていた野中さんにアタリ。しかし引き込みは弱い。85mの底から上がって来たのは透き通ったピンクに輝くネンブツダイ、それも一荷(2尾)。野口さんのバケツの中を見ると、数尾のアジが泳ぎ廻っている。野中さんの竿がクンクンと隣から見ても引き込みがわかるアタリ。取り込んだのは20cm級のムツ。直後に私にもアタリがあり、グングンと引き込む。2、 3回手でリーリングして電動リールのスイッチON。竿先を揺らしていたが、あと30m位と言う処で引き込みが消えた。上げて見るとハリスがザラザラになって切れている、多分ムツの鋭い歯がかみ切ったのだろう。ハリを付け直し再投入すると直ぐに、クンッと鋭いアタリ。しかし、釣れて来たのはササノハベラ。野中さんは小振りだが“本命”のアジをゲット。しかし、相変わらず潮が速くタナ取りに苦戦するのをみて、「巻いてください。移動します」と船長。

ムツ、こいつがハリスを切ったのか?
レギュラーサイズのアジ
アジは口が弱いのでタモで掬った

潮が緩んだ時合のチャンスにハナダイが、マハタが

まあまあサイズのイサキ、一荷だぜ
少し富浦寄りの35m立ちに移動。しかし、ここでは、20cm足らずのアジがたまに釣れるだけ。船長は、再度竿上げの合図で55m立ちに移動した。回りを見回すと対岸に三浦海岸、目前に保田の港が。やっと潮も緩んで来てタナ取りも楽になった。いきなり野中さんの竿先が突っ込むようにもっていかれた、「大物か」と、カメラを構え固唾を呑んで見ていると銀色の肌が輝く良型アジの一荷。「来ました」の声は太めのハリスで頑張っていたトモの山下さん。長い白い竿がグングンと引き込まれる。海中に白っぽく見える魚体が走った。タモを探している内に抜き上げたのは30cmオーバーのハナダイ。ピンクの魚体にブルーの斑点が光る。野中さんの竿がまた引き込まれた。今度は何が掛かったのか“五目釣り”の楽しい瞬間だ。クンクンと小気味よい引きは白と黒の横線の入った30cm強のマハタ。更に野中さんは、25cm級のイサキも一荷で釣り上げた。野口さんもアジの一荷にイサキの一荷、更にカサゴと立て続けにゲット。私もビシを海底から3mほど上げ、コマセを撒いて更に2mほど巻き上げ、再度コマセを撒くと小気味よいアタリ。小振りだがイサキの一荷、直ぐ後にアジと釣り上げた。この一時がこの日のハイライトだった。

山下さんの長い竿が引き込まれる
狙っていたハナダイ、やりました
アジとサバの一荷、引いたよ

潮が適当に流れれば楽しめるのだが

“時合”で一時、アジやイサキが賑わしてくれたが、潮が止まってしまうとパタリとアタリも止まってしまった。たまにサクラダイが一荷で釣れたり、ネンブツダイが掛かって来るだけ。底潮が動かなくなると、漁礁なのか、網でも海底にあるのか根掛かりの連続。私と野中さんは仕掛けを幾つも取られてしまった。時計を見ると13時を回っている。船長は何とか皆に釣らせようと時間を延長してくれたのだが、魚の喰い気は戻らず無念の沖上がりとなった。
結果は、太い仕掛けでイナダやマダイを狙っていた山下さんが、ハナダイとアジ3匹、野口さんや野中さんはマハタをはじめソーダカツオ、サバ、アジ、ムツ、イサキ等の文字通り“五目釣り”でそれぞれ20尾前後。私もアジとムツ交じりで15尾程の釣果。
この日は、全般に潮ぐあいが悪く見られなかったが、条件のいい日には4、5kg級のマダイやワラサ、ショッパチ(小型カンパチ)、アマダイ、カワハギなどの実績もある釣り場だ。日並みを見て再度挑戦したい。

縞模様が残っているけど立派な
イサキ
潮が悪かったね…

(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)

今回利用した釣り船
千葉県保田港『弥生丸』
千葉県安房郡鋸南町大六79
TEL:0470-55-0747
詳細情報(釣りビジョン)
弥生丸ホームページ
出船データ
・アジ五目=アミコマセ、付け餌(沖アミ)、氷付 8,500円
・タイ五目=アミコマセ、沖アミブロック1.5kg、氷付 9,500円
出船 午前6時 沖上がり午後1時
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