釣りビジョン

2010.9.1号

幸丸・千葉県飯岡港
千葉県外房・飯岡沖の“夏ビラメ”絶好調!

01_main.jpg
9月の声を聞いても記録的な猛暑が続いており、人間ドモはヒーヒー言っているが、魚たちは元気である。中でも千葉県・外房地区の“夏ビラメ”は、絶好調だ。飯岡港『幸丸』のヒラメ船に乗った。

人気の高さにビックリ

ついこの間まで午前4時といえば明るくなっていたが、気が付けば随分と日は短くなり、東の空が明るくなったのは、出船時間の午前5時前だった。出掛けたのは8月26日。“夏休み中”とは言え、木曜日の平日である。のびのび竿を出せる(空いている)だろうと、思って出掛けたが、「今日のヒラメ船は、14人です」と、主人の向後嗣一さん。好成績が続いているとはいえ、人気の高さにビックリ。『幸丸』のヒラメ乗合船は、20トン級の大型船だけに全く問題はないが、小生とカメラマンの2人で1本の竿を出すことにした。

下げ潮が効き始め、いきなりチャンス

この日舵を握った佐藤忍船長
「最初の釣り場までは50分程走ります。支度が出来た方はキャビンに入っていて下さい」。舵を握る佐藤忍船長から丁寧なアナウンス。エアコンの効いたキャビンでひっくり返っていると、アッという間に釣り場に到着した。キャビンの外は炎天下、風はまったくなく、快晴・ベタナギである。海が荒い事で知られる外房だけに嬉しい条件なのだが、今年の夏は話が別だ。少々波があってもいいから、風が吹いてくれていた方が有り難い。今年の夏、日本が温帯地方ではなく、亜熱帯か熱帯になったんじゃないかと思う程暑い。この日もキャビンを出た途端、汗が噴き出した。時刻はまだ午前6時前である。しかし、それでも流石に海の上、普段生活している都心よりは相当マシである。そんなことを考えていると、「まずは、沈船周りをやりますね。水深は45m前後です。1m程タナを切って下さい」と、船長からアナウンス。丁度、下げ潮が効き始めた時間帯。いきなりチャンスのはず。まずは魚好きのカメラマンのために、小生が1枚釣ろうと、竿を握った。

この日も暑かった
餌の活イワシ

15分足らずで3人が型を見る

全員の仕掛けが下りて、2、3分。いきなり小生の右隣の釣り人の竿が曲がった。“ヒラメ40”も何もあったものではない。落ちていったイワシを待ってましたとばかりに食いついたとしか思えないタイミングでハリ掛かりした。釣れて来たのは1kgに少し足りないサイズだったが、十分刺し身が取れる立派なヒラメだ。
 「両脇に釣られちゃいましたね」。この日、上乗りとして乗っていた『幸丸』の3代目・向後恵一若船長の冷やかす声に左隣を見ると、竿が満月に曲がっていた。ところが、次の瞬間、小生の竿先にイワシの暴れる手応えが伝わって来た。慌てて竿先を送り込み、数秒待って合わせると、ガッチリとハリ掛かり。左隣の魚はまだ上がっていなかった。「オマツリ…」、そう言いながら、佐藤船長が操舵室から顔を出す。「いいや」。少々余裕の小生の答えに船長もニッコリ。
 左隣の人のヒラメは600、700gと少々小さかったが、小生の獲物は、一回り大きく1kg弱あった。「これで今夜は、美味い刺し身が食えます」とカメラマンは大喜び。時計を見ると、6時を5分程過ぎたばかり。釣り始めたのは5時50分を過ぎていたので、15分足らずで3人が型を見たことになる。下げっ端(引き潮が始まった時間帯)の好タイミングだったとは言え、魚影が濃くなければ有り得ない好調ぶりだ。

なかなかの良型ヒラメ

ホウボウやマトウダイの“ゲスト”登場!

その後も1人、また1人とヒラメを釣り上げ、2枚目、3枚目を釣る人も現れ、玉網係りの恵一さんは、大忙しで船上を走り回っていた。しかし、午前9時を過ぎた頃からさすがにアタリが減った。それでも船長はマメに場所換えを繰り返し、その度に船中で1枚、2枚とヒラメが上がり、大きなホウボウや西洋諸国では大人気のマトウダイなんかが“ゲスト”として釣れて来た。

“ゲスト”で釣れた西洋諸国で人気のマトウダイ
大型のホウボウ
仕掛け図

15人中、オデコは1人だけ

正午ジャスト。定刻に納竿となったが、小生を含めた15人の乗船者でオデコは、たった1人(小生と1本の竿を使ったカメラマンは、マトウダイ1尾とヒラメのバラシ1枚)だけ。残る14人は1~4枚(最大は2.7kg)のヒラメを釣り上げた。
実は、この釣果、ちょっとしたものである。10人乗って0~7、8枚、しかし、釣った人は3、4人という釣果はよくあるが、15人中14人に釣らせるのは至難の業である。誤解を恐れず言わせて貰えば、佐藤船長は、トップの数を伸ばすことよりも、一人でも多くの人に釣って貰おうというタイプのようだ。その証拠にこの日の竿頭は、左舷胴の間、ミヨシ(船首)から4人目に座った人だった。トップの数を伸ばそうと思ったら、常にミヨシか大ドモ(船尾)を中心に流して行けばよいのである。

ヒラメ、ヒラメ、ヒラメ…

魚影の濃さには太鼓判!!

いずれにしても、これだけの成績を上げられるのはヒラメの魚影が濃いからである。今シーズンは、記録的な猛暑もさることながら、9月の頭までに台風が7つしか発生していない。これも異常なくらい少ない。今後、どっと台風が発生してシケの連続-なんて事も起こるかも知れないが、そんな事でもない限りは、このまま好釣果が続きそうな釣れっぷりだった。

(野口 哲雄)

今回利用した釣り船
千葉県・飯岡港『幸丸』
〒289-2705 千葉県旭市飯岡3374
TEL:0479-57-2258
詳細情報(釣りビジョン)
幸丸ホームページ
出船データ
予約乗合
午前5時出船・正午沖上がり
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー